「直流800V給電」「液冷技術」導入から「資産価値の維持」まで、ライフサイクル伴走型で進化を支援
AIデータセンターの「電力・冷却課題」打破へ シュナイダーが営業・設計・現場を直結する新組織立ち上げ
2026年09月24日 07時30分更新
従来の常識や手法が通用しないAIデータセンターの構築・運用
シュナイダーでは、2007年のAPC買収から、およそ20年間にわたってデータセンター向け事業(UPS、冷却装置など)を展開してきた。今回、新たに組織体制の強化が必要となった背景には、AIデータセンターの特殊性があるという。
青柳氏は、日本におけるデータセンターの変遷を例に挙げて説明した。1970年代の電算機室から近年のクラウド(ハイパースケール)データセンターまで、主な変化点はサーバー台数や通信容量といった「量の拡大」だった。一方でAI時代のデータセンターは、GPUを高密度に実装することが目的の中心となり、大量の電力消費と大量の排熱を生むようになっている。
「つまり、AIの登場によってデータセンターのアーキテクチャそのものの転換が起きており、データセンター設計の中心課題が『電力』と『冷却』になってきている」(青柳氏)
実際、データセンターの電力容量も、従来のハイパースケールデータセンターは1棟あたり数十MW~100メガワット(MW)程度が主流だったが、AI時代になって1ギガワット(GW)、5ギガワットクラスの大規模キャンパスへと拡大している。5ギガワットのデータセンターキャンパスは、従来データセンターの50棟ぶんに相当し、人口100万人都市の年間電力需要にも匹敵するという。
そのためAIデータセンターの設計においては、単純に建屋だけではなく、電源、電力システム、冷却設備、蓄電設備、運用を支える人材まで、一貫したプランニングが必要になると、青柳氏は指摘する。その一方、AIニーズの急拡大に伴ってAIデータセンターの建設には“スピード感”も求められており、さまざまな設備調達もスムーズに行えなければならないという課題もある。
「AIデータセンターでは、設計、サプライチェーン、建設、運用が相互に依存している。したがって、工程ごとに担当が違っていたり、分断されていたりすると、プロジェクト全体の最適化が妨げられてしまう」(青柳氏)
加えて、電力については日本の特殊事情も考えなければならない。電力系統接続や送配電容量の制約、50/60ヘルツの地域差、さまざまなビジネス慣習への適応といったものだ。海外で標準化されつつある技術を、日本の制度や既存設備との整合性を保ちながら実装する必要がある。
こうした背景から、シュナイダーはAIデータセンター構築支援に特化した、今回の新体制を立ち上げた。青柳氏は「従来の製品ごと、工程ごとに分かれた体制ではなく、AIデータセンターの構想から運用までを、責任を持ってつなぐ体制が必要だった」と、その意図を強調した。
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