このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

CxOアプローチ、SAP市場開拓、パートナーの「脱人月」で描く成長戦略

“リアルタイム経営”で日本企業を勝ち組に New Relic古舘社長が語るビジネスオブザーバビリティの真価

2026年09月15日 12時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 国内オブザーバビリティ市場で圧倒的なシェアを誇るNew Relic。2026年4月に日本法人の執行役員社長に就任した古舘正清氏は、「日本をリアルタイム経営の先進国にする」というビジョンを掲げる。

 このビジョンは、従来のアプリケーションパフォーマンス管理(APM)を中心とした“システムの監視”から、ビジネス成果と紐づけてリアルタイムな意思決定を実現する“ビジネスオブザーバビリティ”への転換を促すものだ。

 古舘氏に、同ビジョンに至った経緯や達成に向けた施策、ここまでの手ごたえについて聞いた。

New Relic 執行役員社長 古舘正清氏

40年のキャリアから辿り着いた“リアルタイム経営”

 これまで40年以上にわたりIT業界を歩み、F5ネットワークスやヴィーム・ソフトウェア(Veeam)の日本法人代表を歴任してきた古舘氏。インフラビジネスの最前線に身を起き続ける中で、ある種の「構造的なもどかしさ」を感じていたという。

 「インフラビジネスは、常に『守り』の文脈から抜け出せず、経営陣からコストセンターとして扱われがちだった。経営への貢献度が十分に評価されない歯がゆさがあった」(古舘氏)

 その背景には、ITインフラのゴールが長らく「安定稼働」と「コスト削減」に集約されていた構造があると、古舘氏は指摘する。その結果、インフラ責任者は予算申請のたびに「この投資は適切なのか」と厳しい追及にさらされてきた。

 そんな古舘氏のもどかしさを一変させたのが、オブザーバビリティとの出会いだ。「オブザーバビリティはビジネスに直結するインフラ。そして、従来のインフラのあり方を根本から覆せるパワフルなソリューションを提供していることが、New Relicに参加した大きな理由」と振り返る。

 ただ、オブザーバビリティも「問題を早期発見し、迅速に修復する」だけでは、結局は「トラブルシューティングのコストが増えただけ」と見なされてしまう。監視結果が開発・運用のエンジニアの中にとどまり、その先にある顧客の問題解決や売上にまで視点が届いていないからだ。

 こうした課題を変えるのが「ビジネスオブザーバビリティ」である。システムの指標とビジネスの指標をリアルタイムに結びつけ、システムの障害や遅延などがもたらすビジネス影響を可視化することで、素早い経営判断を下せるようになり、ITインフラへの投資効果も明確になる。

 ビジネスオブザーバビリティに基づくリアルタイム経営を日本企業で浸透させ、ITインフラにも光をあてる――。これこそが、古舘氏のNew Relicにおける新たな挑戦だ。

オブザーバビリティの進化

デジタルサービスやビジネスプロセスの“速度を改善”

 古舘氏は、リアルタイム経営によるビジネスインパクトの大きな領域として「デジタルサービス」と「ビジネスプロセス」を挙げる。

 まず、顧客が直接触れるデジタルサービスでは、わずか数分止まるだけでも、売上機会や顧客体験が失われてしまう。だからこそ平均単価やエラー率などをリアルタイムに監視し、ビジネスロスを把握する仕組みが欠かせない。

 「例えば、タクシー配車アプリのS.RIDEでは、タクシーの実車率を上げるためにNew Relicの画面を毎日チェックしている。まさにリアルタイム経営だ」(古舘氏)

 もうひとつのビジネスプロセスは、製造業を中心にその停止が莫大な損失を生み出す一方で、可視化が進んでいない領域だ。複雑なプロセス全体から迅速にボトルネックを特定し、機会損失と結びつける必要がある。

リアルタイム経営のビジネスインパクト

 そして、こうした損失は、従来のBIツールだけでは対処できない。古舘氏は、BIは過去のデータを基に“未来を計画するツール”である一方で、オブザーバビリティはリアルタイムで問題を発見して解決する“ビジネスの速度を改善するツール”であり、その両方が必要になるとする。

 「タクシー配車アプリを例にするならば、今日この瞬間に実車率が下がっているのを、今日の夜中までに解決することは、BIではできない」(古舘氏)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ビジネス・開発

    ラスボスCOBOLを倒すために、7チームはなにを選択し、なにを捨てたのか?

  2. 2位

    ITトピック

    現役情シスにゆるーく聞いた“生き残るSaaS”の条件と、意外すぎる“SaaS格付け”

  3. 3位

    Team Leaders

    Teams会議後に“自分好みの自由な形”で要約が読めるフローを作ろう

  4. 4位

    データセンター

    AIは「チップ」から「物理限界」の戦いへ――エクイニクスが語るインフラ分散と液冷・地域共生の工学

  5. 5位

    sponsored

    「セキュリティ強化で仕事が増える」悩みを解決! 中小企業IT担当者のための新常識

  6. 6位

    ITトピック

    AI利用の多い技術者ほど「人間の責任」も意識/AI利用を隠すのは「手抜きと思われるのがイヤ」/AIが実行するサイバー攻撃が急増、ほか

  7. 7位

    sponsored

    「眠れるデータ」をAIの力で呼び覚ます 中堅・中小企業が選ぶべきデータ環境の“現実解”

  8. 8位

    デジタル

    通信からモジュール、ゲートウェイ、デバイス開発まで ―― IoTビジネスを加速させるソラコム・パートナーの実力

  9. 9位

    ITトピック

    SaaSに代わりAIエージェント支える“AaaS”が台頭/議事録作成AIは「意思決定支援」へ進化/生成AIの顧客満足度・1位はClaude、ほか

  10. 10位

    ビジネス・開発

    就活生に寄り添うエンジニア採用のプロ「AIメンターコヤマさん」 なぜ他社志望者にも無料開放するのか?

集計期間:
2026年09月09日~2026年09月15日
  • 角川アスキー総合研究所