採用DXを、自社都合の“効率化”から候補者への“還元・育成”へ
就活生に寄り添うエンジニア採用のプロ「AIメンターコヤマさん」 なぜ他社志望者にも無料開放するのか?
2026年09月14日 10時00分更新
専門採用の知見とコーチング的なエッセンスを融合
こうした就活生の行動から生まれたのが、AIメンターコヤマさんだ。15年以上の採用実務やプロコーチの経験を持つAPCの採用責任者・小山氏の思考プロセスを再現し、採用側の視点から助言をするAIである。
チャットベースのUIで、24時間いつでも自由に相談ができるほか、あらかじめ用意された「よくある質問」から選択することもできる。特に、モデルとなった小山氏や同社の知見を活かせるIT業界(とりわけITインフラ業界)の動向や、キャリアパスの相談を得意としているという。
基本的には質問や相談に対して肯定的に受け止めつつ、行動変容を促すアドバイスも添える設計となっている。「単なる採用的な知見だけではなく、コーチングのエッセンスを加えることで、一般的な生成AIとの差別化を図っている」(小山氏)。
なお、デザインや名前についても、同社の新卒社員らにヒアリングを行い、就活生が親しみを感じられるよう工夫している。
このAIメンターコヤマさんは、exaBase 採用アシスタントを基盤として、Exa Enterprise AIとAPCのタッグで共同開発された。もともと同サービスは、各企業に個別最適化された回答で候補者の動機づけを促すSaaS型のエージェントサービスである。小山氏が着想を得るきっかけとなったように、応募者のホンネを蓄積して採用活動に活かせる点が特徴だ。
開発にあたっては、小山氏の知見や講演内容をAIモデルに学習させている。ハルシネーションを抑制し、プライバシーに配慮した安全な設計は、Exa Enterprise AIの基盤によるものだ。同社の取締役である半田頼敬氏は、「最新の研究結果も活用し、小山氏の膨大な情報をいかに整理・評価して学習させるかを意識した。かつ、温かみがあり、学生が相談しやすいトーンになるよう、プロンプトエンジニアリングで工夫を凝らしている」と語った。
目指すはオープンで新しい“就職活動の形”
こうして開発されたAIメンターコヤマさんは、会員登録不要で、APCの応募者でなくとも無料で利用できる。今回、自社応募者に限定しなかったのは、「『AI時代の就活生』に相談場所を提供したい」という想いからだという。それは、企業の「Taker的」なAI活用から、候補者に還元する「Giver的」な活用へのシフトであり、これからの採用活動のあるべき姿だと小山氏は期待を寄せる。
「AIを通して自社の知見を還元し、その結果として会社理解を深め、志望意欲を高めてもらう“ナーチャリング(育成)ツール”としてのAI活用が進んでいくのではないか」(小山氏)
加えてAIには、これまで対人では打ち明けにくかった「リアルなホンネ」が集まり、これまで把握できなかったデータを基に採用活動を改善できる。小山氏は、「正直、まだ前例がほとんどないため、我々自身も試行錯誤しているフェーズ。だからこそ、就活生から得られたデータをサービスや採用の改善につなげ、新しい就職活動のスタンダードを作っていきたい」と展望を語った。
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