もう“バックアップのVeeam”ではない、新戦略を示した「VeeamON Sydney 2026」レポート
AIエージェントがデータにもたらす2つの脅威 Veeamが「保護レイヤー」の必要性を強調
2026年08月31日 14時00分更新
Veeam Data Platform v13.1とVeeam Vault Archiveも発表
同日、一般提供を開始した「Veeam Data Platform(VDP)v13.1」は、サイバー攻撃からのクリーンで迅速な復旧をテーマに多数の特徴を盛り込んだ。「プラットフォームの拡張と企業規模での運用を両立させるリリース」だとジャリル氏は説明する。
まず、Red Hat OpenShift Virtualization、Sangfor aSV、XCP-ng、Citrix XenServer、VergeIO、Platform9と新たに6つのハイパーバイザーをサポートした。これにより対応ハイパーバイザーは合計14種類となり、業界カバー率は95%という。
このほか、EPIC EHRやDB2(Windows/Oracle)などエンタープライズアプリケーションへの対応拡充、NASへのマルウェアスキャン対応や、Active Directory Forest Recoveryによるアイデンティティ復旧の迅速化といった脅威検知・対応の強化も加わった。NIST準拠のポスト量子暗号対応、AWS S3 GlacierやAzure Archiveなどアーカイブストレージへの直接連携などの機能もある。
また、「Veeam Data Cloud Vault Archive」の一般提供開始も発表した。
これは、2025年にローンチしたAzure/AWS上で動く不変クラウドストレージ「Veeam Cloud Vault」に加わるアーカイブ階層で、利用頻度の低いバックアップデータを低コストなアーカイブ層に移すことで、コンプライアンスとコスト効率を両立させる。テープに代わる選択肢として位置づけられている。Veeamの調査によれば、バックアップリポジトリはランサムウェア攻撃の96%で標的にされており、こうした現実を踏まえ、不変性・論理的なエアギャップ・暗号化を備えた設計になっているという。
これからのレジリエンスはインテリジェンス――精密なバックアップなどで実現
ジャリル氏は最後に、Veeamが考えるこれからのレジリエンスについて説明した。
背景にあるのは、地域紛争によりデータセンター自体が標的となるケースの増加、フロンティアモデルの登場による攻撃の自動化などの状況だ。以前は高度な技術を持つハッカーが忍耐強く侵入を試みる必要があったランサムウェア攻撃も、今ではモデルのトークンにどれだけ投資できるかが鍵になっているという。
さらにジャリル氏は「今後12ヶ月の間に、自動化されたランサムウェアや、AIツールによるミスに起因するデータ破壊などのインシデントが増発するだろう」とも予想する。
「必要なのは、どのデータが破壊されたのかを把握するインテリジェンス、そして復旧すべきデータを高い精度で見極める能力だ。さらに、外部・内部を問わず攻撃者と同じレベルのスピードと適応力を備えたシステムであることも不可欠だ」(ジャリル氏)
このようなレジリエンス能力を「インテリジェント・レジリエンス」とする。構成要素は、次の5つだ。
・コンテキスト・インテリジェンス:ライブデータとバックアップデータを同じグラフ上で扱い、意図した通りにバックアップが取れているかを常に確認できるようにする。
・精密なバックアップ:「最小限の存続可能なデータ」を理解し、条件に合致するデータだけをバックアップする。
・精密なリストア:どのファイルを戻すべきかを正確に把握し、自然言語での問い合わせから対象ファイルを特定・選択的に復元する。
・ワークロードカバレッジの拡大:ハイパーバイザーに加え、Okta、Auth0、Entra、ADなどIDシステムへの対応も強化する。
・既存顧客への統合:VDP、Veeam Data Cloud(VDC)、Kastenの既存顧客が、コンソール変更やデータ移行を伴わずに新機能へ接続できるようにする。
これにより実現するのが、「Detect AI、Protect AI、Undo AI」だ。何のAIモデル・エージェントが存在し何をしているかを把握し(Detect)、望ましくない行動を未然に防ぎ(Protect)、それでも問題が起きた場合には取り消す(Undo)――という3段階だ。
最後にジェスター氏は、VeeamがMcKinsey、および300名のCIO/CISOと協働して策定した「Data and AI Trust Maturity Model」を紹介した。組織が自社の環境を評価し、安全なAIを実現するための準備がどこまで整っているか、どこにギャップがあるかを客観的にスコアリングできるアセスメントだ。業界他社とのベンチマーク比較も可能だという。今後、このモデルを業界標準にしていく意向も示した。
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