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もう“バックアップのVeeam”ではない、新戦略を示した「VeeamON Sydney 2026」レポート

AIエージェントがデータにもたらす2つの脅威 Veeamが「保護レイヤー」の必要性を強調

2026年08月31日 14時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「安全なAIインフラ」の実現に向けて、データ環境に求められる要件

 それでは具体的に、AIエージェント時代の安全なAIインフラの求められる要件はどんなものか。ジェスター氏は、次の4点を挙げた。

1. 詳細かつ粒度の高いデータ・ID制御
2. コンテキストがデータのライフサイクル全体を通じて移動する(ID/権限/制御はアプリケーションやエージェントに委ねず、データと共に移動させる形とする)
3. ランタイムレベルでの完全なコンテキスト/ID認識(この新たな層をクリアしない限り、AIエージェントがデータにアクセス/編集/操作できないようにする)
4. 精密なリカバリ(環境内のすべてのAIエージェントをガバナンスし、それらが読み取り/書き込み/編集/削除するデータを把握したうえで、精密に復旧できる能力)

 こうした課題認識から、Veeamは2025年12月にSecuriti AIを買収した。Securiti AIは、データセキュリティポスチャ管理の大手で、Veeam史上最大規模の企業買収になったという。「データレジリエンス分野No.1のVeeamと、データセキュリティ分野No.1のSecuriti AIを統合し、データとAIのトラスト・カンパニーになる」とジェスター氏は述べた。

 Securiti AIは、データ層とAIモデルの間に「Data AI Command Platform」という新たなレイヤーを組み入れることで、AIモデルがデータにアクセスする前にアクセス権限の確認などを実行し、セキュリティを高めるという。

従来のAIスタックに「データとAIの信頼性」レイヤーを追加するというのが、Veeamの構想だ

「Data AI Command Platform」とは

 このData AI Command Platformについて、Securiti AIの創業者であり、現在はVeeamで製品/テクノロジー担当幹部を務めるレハン・ジャリル氏だ。

Veeam 製品&テクノロジー担当プレジデントのレハン・ジャリル(Rehan Jalil)氏

 ジャリル氏は、最先端のAIモデル(フロンティアモデル)が驚くべき速さでサイバー攻撃を実行できる現実や、自社AIエージェントの誤動作リスクなどからデータを守り、企業をレジリエントにしていくためには、「データのコンテキストが重要だ」と強調した。コンテキストとは、たとえば「なぜこのデータが存在するのか」「誰が作成し、誰がアクセスできるのか」「AIエージェントはアクセスできるのか」といったことだ。

 「AIエージェントは、いわば“脳のない身体”のようなものだ。腕や脚と同じで、それ自体に判断する力はない。判断を担っているのは、そこに結びついた複数のAIモデルであり、そのモデルの正体は、突き詰めればデータそのものだ」(ジャリル氏)

 こうした複雑な状況下でデータを保護し、レジリエントを保つためにVeeamが採用するのが、グラフベースのアプローチである。データに関係するコンテンツ/分類/権限といった断片的な理解をつなぎ合わせ、“データのソーシャルネットワーク”を作ることで、部分最適に陥らずに全体を俯瞰するという。

 Data AI Command Platformは、これを実現するためのレイヤーとなる。ちなみに、この名前に含まれる「AI」は、人工知能に加えて「アクセス(Access)とアイデンティティ(Identity)」も意味しているという。このプラットフォームは、セキュリティ/ガバナンス/コンプライアンス/プライバシーの各コントロールと、サイロ化されないレジリエンスの層を重ねる構造になっている。

 具体的には、同じナレッジグラフを分類/権限/ID/AIエージェントといった複数の切り口で可視化でき、「toxic combination(有害な組み合わせ)」という概念によって、機密情報の露出や過剰な権限付与といったリスクを自動的に検出/提示する仕組みを持つ。検出するだけでなく、自動修正やデータオーナーへの通知、さらにはAIエージェントによる修正作業支援も組み込まれている。

「Data AI Command Platform」を発表

 このレジリエンス層は、既存の「Veeam Data Platform(VDP)」や「Veeam Data Cloud(VDC)」を利用している顧客にも無関係ではない。ジャリル氏によると、既存顧客が現在のコンソールや運用方法を変える必要は一切なく、VDP/VDCのインスタンスをData AI Command Platformに接続することで、同じレジリエンス機能を利用できるようになるとのことだ。データ移行は不要で、あくまで「新しい管理・可視化のレイヤーが上に加わる」形だという。

 ただし現時点では、この接続機能が一般提供されているのはVDC for Microsoft 365のみで、プレビュー提供の段階にある。VDPやその他のVDCワークロードについては、「今後利用可能になる」という将来形での説明にとどまっており、正式な提供時期は明言されていない。

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