業務を変えるkintoneユーザー事例 第325回
日本エイジェント・えひめレスQセンターが“業務改善のループ”を築くまで
平均年齢60歳の現場を変えたZ世代女子 kintoneで電話・紙・入力をなくしたら、仕事が楽しくなった
2026年08月14日 09時00分更新
平均年齢60歳の部署に、唯一のZ世代女子として配属された中川さん。不安と孤独の中で彼女を待ち受けていたのは、「電話」「紙」「入力」に忙殺される現場だった。アナログな業務と消極的だった彼女は、kintoneとの出会いによって大きく変わる。
サイボウズは、2026年6月、kintoneのユーザー事例イベントである「kintone hive 2026 matsuyama」を開催。中国・四国地区のNo1事例を決めるイベントで、サイボウズ創業の地である松山市での開催は3年ぶりとなった。
トップバッターを務めたのは、地元松山の不動産会社である日本エイジェントの中川楓香さん。kintoneで改善文化の醸成まで達成した現場と彼女自身の変革ストーリーが語られた。
電話・紙・入力の非効率な業務に「もう諦めるしかないのかな」
日本エイジェントは、愛媛県松山市に本社を置く不動産会社である。主に賃貸仲介・不動産管理業を手掛けており、管理戸数は愛媛県内トップ、契約数は四国トップを誇るという。
中川さんが所属するのは、賃貸管理を担う「えひめレスQセンター」だ。同部署は、トラブル解決・ビルマネジメント・メンテナンスの3チームに分かれ、中川さんはこれらをサポートするチームの一員として勤務している。
このえひめレスQセンターは、中川さんが配属された当時、平均年齢が60歳というベテラン揃いの部署だった。「さらに、Z世代の女子は私ひとりだけ。不安と孤独でいっぱいのスタートだったことを未だに覚えています」(中川さん)
さらに中川さんを待ち受けていたのは、電話、紙、入力が中心の非効率な業務だった。事務所には電話が飛び交い、オーナーや入居者向けの紙書類にあふれ、その入力作業に追われる日々――。課題に感じるも、それを打破する知識もなかった中川さんは、「自分ひとりでは何もできない。もう諦めるしかないのかな」と途方に暮れていた。
転機となったのは、入社2年目に誘われたkintoneの社内勉強会だ。そこで、ITアレルギーだった中川さんの「アプリ開発は難しい」という固定観念が打ち砕かれる。「これならえひめレスQセンターを変えられるかもしれない」と、まずはやってみるかの精神でkintoneによる業務改善が始まった。
現場との情報格差をなくし、書類作成も効率化
中川さんが取り組んだ業務改善のアプローチは2つ。ひとつは「現場と事務所の情報格差の解消」、もうひとつは「書類作成業務の効率化」である。これらの課題を打破した具体的なkintoneアプリが紹介された。
現場との情報格差を解消したのが「物件設備マスタ」だ。これまで事務所には、各地の現場スタッフから確認の電話が相次ぎ、提案や受電といった本来の業務に集中できない状態が続いていた。その解決のために、管理物件の情報を集約した同アプリを作成した。
その特徴は、現場スタッフがどこにいても知りたい情報にアクセスでき、その場で手軽に更新できるところだ。同アプリの導入で、1日あたり約15件もあった事務所への確認電話がゼロになったという。
書類作成の効率化では3つのアプリを作成した。
「設備点検報告書作成アプリ」は、給水設備の点検における「現場でのメモ書き・撮影→事務所での過去データ確認→Word・Excel入力→印刷」という一連のプロセスを排除するアプリだ。現場で必要項目の入力・写真添付して、帰社後にボタンをクリックするだけで書類ができあがり、1件当たり20分かかっていた入力作業はゼロになった。
「貯水槽清掃告知書作成アプリ」は、入居者向けの断水や作業の知らせを作成するアプリ。別アプリからのデータ転記により、「入力ほぼゼロ」を実現した。「注意文書マスタ・文書作成アプリ」は、入居者向けのマナー関連の知らせをテンプレート化・出力するアプリ。この2つのアプリで文章の標準化も進み、告知文章の作成時間も半分まで削減できている。
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