このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ファストドクター・NTTドコモビジネスが描く社会課題解決の設計図

国内トップSIerの“9割”が選ぶAIキャンバス イノベーションの基盤へと進化を続けるMiro

2026年07月13日 12時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ファストドクター:Miroで“医療現場を解剖”、生まれたエージェントをソリューションに

 説明会では、実際にMiroを通じて社会課題の解決に挑む2つの企業が登壇した。

 まずは、救急往診やオンライン診療を手掛けるファストドクターの事例だ。創業10周年を迎える同社は、一貫して「医療アクセス」という社会課題に向き合い、医療現場とテクノロジーの両面からその解決に挑み続けている。

 この医療を届ける現場では、多様な専門職、そして患者やその家族に至るまで、多くの関係者が関与する。同社の代表取締役である水野敬志氏は、「こうした環境下で、現場の安全性や医療者の納得感、患者体験の3つを同時に成立させるには、関係者全員が見られる共通のキャンバスが必要になる」と語る。

ファストドクター 代表取締役 水野敬志氏

 そこで、同社では医療現場のあらゆる業務をMiroに書き起こした。患者体験や医師の判断、システムの画面、例外処理、手戻りなどを視覚的に整理することで、職種ごとに埋もれていた暗黙知を「業務フロー」として扱えるようにするのが狙いだった。そして、この医療現場を俯瞰した地図を、AIを実装できるプロセスを特定するためにも活用した。

Miroは現場でAIを入れる場所を見つけるための“解剖台”だという

 実際にエージェント化したのが、「診療報酬算定」の業務だ。その結果、ユーザー数が3倍へと拡大する中でも、担当人員を8分の1にまで削減できている。医師の診断後に発生するタスクを順次、自動処理していく設計であり、例外が発生した際には人が介入できる「Human-in-the-loop」を取り入れているのもポイントだ。

「Human-in-the-loop」をワークフローに実装

 さらに、この仕組みを「算定エージェント」というソリューションとして、外部の病院へ展開し始めている。導入にあたっては、病院ごとに異なるシステム構成が障壁となったが、その病院のスタッフとともにMiroで業務フローを整理することで解決。結果、最初のユーザーとなった病院では、外来患者の会計処理における77%の自動化を達成している。

 水野氏は、「重要なのは、自動化だけではなく、エージェント化する過程の中で算定ルールが標準化されたこと。Miroが暗黙知を組織知に変えていく」と振り返った。

NTTドコモビジネス:“UXファースト”なビジネスプロセス設計の基盤に

 続いては、「産業・地域DXのプラットフォーマー」になることをビジョンに掲げる、NTTドコモビジネスの事例だ。同社で事業創造を担う部署を率いる福田亜希子氏は、「イノベーションとは、単なる業務効率化にとどまらず、産業構造そのものを変えること」だと語る。

NTTドコモビジネス ビジネスソリューション本部 ソーシャルイノベーション部長 執行役員 福田亜希子氏

 同社が推進するイノベーションのひとつが「自動運転」だ。2030年には必要なドライバーの数が約30%不足すると予測される中、特定条件下ですべての操作をシステムが担う「レベル4」の自動運転に取り組んでいる。現在、ローカル5Gや高周波通信、路側インフラなどの技術を掛け合わせて、全国で実証実験を展開中だ。

 他にも治験の長期化が深刻化する医療業界では「治験DX」、教員の長時間労働が叫ばれる教育業界では「校務DX」に挑んでいる。同社がこうした新しい領域でのイノベーションを推進できるのは、「KOEL」という組織横断のデザイン組織の存在が大きいという。

 KOELでは、技術的に実現可能か(Feasibility)、ビジネスとして利益を生むか(Viability)、そして人々のニーズがあるか(Desirability)という3つの観点でビジネスプロセスを設計する。この設計のための共通基盤にMiroを採用し、UXファーストなデザインアプローチを実践しているという。

ビジネスプロセスの設計基盤にMiroを採用

 福田氏は、「KOELはファシリテーターの集団でもあるが、その採用や育成は困難。MiroのAI機能には、ファシリテーションをある程度のレベルまで担ってくれることを期待している」と展望を語った。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング
ピックアップ