気になる「コンポジットRAW」と「エクステンデッドRAW」も テストしてみました
6680万画素+秒30コマ連写:6月5日発売のソニーα7最高モデルを徹底チェックしてみた=「α7R VI」実写レビュー
2026年06月01日 01時00分更新
ソニーのフルサイズミラーレス機「α7RⅥ」が6月5日に発売となる。「α7」シリーズの「R」系は初代「α7R」(2013年)から高解像度モデルという位置付けだったが、第2世代の「α7RⅡ」(2015年)ではフルサイズ初の裏面照射型4240万画素を搭載。
第3世代の「α7RⅢ」(2017年)は大型バッテリーの採用やメディアのデュアルスロット化などボディーの信頼性を向上。第4世代の「α7RⅣ」(2019年)は6100万画素とさらに高解像度化された。
第5世代の「α7RⅤ」(2022年)には被写体認識などのAF性能を向上させた「AIプロセッシングユニット」を搭載と、常に「α」シリーズを代表する最新の技術が盛り込まれてきた。
今回「α7RⅥ」となり、どのように進化したのかは気になるところ。ソニーから試用機を借りたのでチェックしていこう。
ボディーデザインは変わらず
最大の変化は「新バッテリー」の採用だ
ボディーは微妙な違いはあるものの大きな変化はなく、サイズもほぼ同等だ。これは既に前モデル「α7RⅤ」の完成度が高かったとも言える。
例えば各ボタン類はストロークが深く柔らかい押し心地で、上部には3つのコマンドダイヤルを備え、絞りとシャッタースピード(もしくは露出補正)にISO感度といった露出に関わる項目がシャッターボタンを構えたままでも素早く変更することができる。
細かい違いとしては上面のFnボタンとコマンドダイヤルの間に「イルミネーション」ボタンが新設され、背面操作系を点灯表示することができるようになった。
また撮影モードダイヤルにアスタリスク(*)のポジションが追加され、メニュー画面から撮影モードを変更することが可能になっている。
いずれも暗所での操作に役立つ、細かいながらも便利な変更点だ。
背面液晶はチルト式とバリアングル式を組みあわせた4軸マルチアングル。EVFも944万ドットと高精細で視認性は最高峰だ。
メディアはSD(UHS-II)とCFexpress Type-Aに対応したデュアルスロットと変わらず。側面端子は昨年末発売のスタンダードモデル「α7Ⅴ」と同様にUSB Type-Cが2基搭載され、データ転送と充電を同時に行うことができる。
このようにボディー周りは基本的に前モデル「α7RⅤ」を踏襲しているが、そのなかでもっとも大きな違いとなったのはバッテリーが互換性の無い新型の「NP-SA100」変更されたことだろう。
従来のバッテリー「NP-FZ100」は2017年発売の「α9」に採用されて以降、フルサイズ「α」すべてで共通化されてきた。そのため複数の機種を運用するときや、買い替えでも所有バッテリーを使い回せるのがメリットだったので、新バッテリーの採用は既存ユーザー的には複雑に感じる。
ただバッテリー変更の経緯を伺うと、撮像素子やEVFの高解像度化や画像エンジンの処理能力アップなどで、既に従来バッテリーでは電圧がギリギリだったらしい。将来的に各ディバイスの性能がさらに向上していくことも予測し、新型バッテリーの採用を決断したとのこと。そう聞くと今後のカメラに進化のためには英断だったと言えるだろう。
新型バッテリー「NP-SA100」は容量もアップして、公称撮影可能枚数は前モデル「α7RⅤ」の440枚から600枚に増えている。実際の撮影ではRAW+JPEGで262カット524枚撮影した時点で残30%だった。
新型バッテリー「NP-SA100」(写真手前)は従来バッテリー「NP-FZ100」より少しサイズは大きめ。電圧は7.82Vで容量は2670mAh。(「NP-FZ100」は電圧7.2V、容量2280mAh)。単体の量販店価格は1万5400円。
「NP-SA100」を2個同時に充電できるチャージャー 「BC-SAD1」(単体購入1万9800円)が付属する。充電方法はPD対応18W以上のUSB Type-C。2個同時の急速充電には45Wが推奨されている。
なおバッテリー変更のためグリップの形状も少し改良されたとのことだったが、前モデル「α7RⅤ」もホールド感が優秀だったこともあり、正直変化には気が付かなった。
新開発の積層型6680万画素センサー
最高画素機に相応しい精細な描写
撮像素子は新開発の積層型6680万画素を採用。第4世代「α7RⅣ」以来の変更となり、従来の6100万画素からフルサイズ機最高画素数を更新した。
まずは画質から見ていこう。実際に撮影したJPEG撮って出しの写真を見ると、細部の解像感はもちろんだが、シャープネスが向上しヌケの良いクリアな印象を受ける。画素数的には約10%のアップに留まるので、画像エンジンによる絵作りが改良されたのかもしれない。いずれにしろフルサイズ機最高画素数に相応しい精細な描写だ。
遠景で解像感をチェック。拡大すると細部の精細さに驚かされる。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離24mm・絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100。
(以下の設定は共通。JPEGエクストラファイン・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード)
作例はクリックで実物大表示になります
街中の風景の一部を切り取っただけだが、解像感が高いおかげで立体的な奥行を感じられる。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離70mm・絞りF8・シャッタースピード1/200秒・ISO100。
色とりどりの看板が並ぶ街中。派手過ぎない自然な発色だが、しっかした色乗り。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離24mm・絞りF8・シャッタースピード1/400秒・ISO100。
何気に明暗差の大きいシーンだが、ハイライトの調子はギリギリ飛ばない程度に残っている。使用レンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM」・焦点距離180mm・絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100。
解像感が高いぶん、わずかなピントのズレも気になるので、近接では特に慎重に撮影した。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離70mm・絞りF2.8・シャッタースピード1/640秒・ISO100。
少し遠めの被写体でも、しっかりピントが合えば、シャープに解像してくれる。 使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離70mm・絞りF2.8・シャッタースピード1/500秒・ISO100。
高感度は常用最高ISO3万2000、拡張でISO102万4000と変わらず。撮像素子が積層型になったせいか少しザラツキが目立つような気もするが、ノイズ処理が改善されているようで常用感度内なら十分実用的。高画素機としては満足できる高感度画質だ。
常用最高感度のISO32000で撮影。ノイズ処理の影響はあるが、ノイズ除去と解像感のバランスは良好。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離24mm・絞りF8・シャッタースピード1/60秒。
拡張感度ISO51200で撮影。ノイズはあるが、そのぶん解像感も保持されている気がする。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離24mm・絞りF11・シャッタースピード1/13秒。
拡張ISO102400で撮影。さすがに細部の解像感低下はあるが、ある程度光量のあるシーンなら許容できそうだ。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離49mm・絞りF10・シャッタースピード1/15秒。
気になる「コンポジットRAW」と「エクステンデッドRAW」を
徹底テストしてみた
「α7RⅥ」では、連写した複数のRAW画像をPC用専用ソフト「Imaging Edge Desktop」で合成する「コンポジットRAW撮影」と1枚のRAW画像から解像度拡大とノイズ低減がおこなえる「エクステンデッドRAW処理」にも対応した。
「コンポジットRAW撮影」では解像度拡大するピクセルシフトとノイズ低減、HDRが選択できる。それぞれ連写で複数枚のRAW画像を撮影するは同じ。手持ち撮影には非対応なので三脚は必須だ。
いっぽう「エクステンデッドRAW処理」は解像度拡大とノイズ低減が一枚のRAW画像から生成できる。いずれもPC用専用ソフト「Imaging Edge Desktop」で処理をおこなう機能で、それぞれどのような違いあるのか試してみた。
まずは解像度拡大だが、「コンポジットRAW撮影」ピクセルシフトは撮影枚数が4枚と16枚が選べる。4枚撮影時の画素数(9984×6656ドット)は変わらないが、RGBそれぞれの画素情報を補完し細部の解像感が向上する。
16枚ではさらに画素数が拡大され19968×13312ドットになる。これは「エクステンデッドRAW処理」での解像度拡大も同じ。そこで通常に撮影した写真をAdobePhotoshopで解像度変換(「ディテール保持2.0」で処理、「スーパー解像度」ではありません)した画像を含め比較してみた。
なお「エクステンデッドRAW処理」では鮮明さを5段階から選べるが、今回は標準の3に設定した。 解像感ではわずかに「コンポジットRAW撮影」が高いが、窓にモアレが発生している。「エクステンデッドRAW処理」も通常のJPEGを拡大するよりは精細だ。
つぎにノイズ低減だが、「コンポジットRAW撮影」では4枚、8枚、16枚、32枚が選べるので、まずはその4種類を比較した。当然のごとく、枚数が多いほうがノイズは少ないが、全般的にノイズが残っている。もしかしたら処理の前にRAW現像でノイズリダクションの調整が必要なのかもしれない。
「エクステンデッドRAW処理」のノイズ処理は標準と強の2段階が選べ、せっかくなら強に設定し、通常の画像(カメラ内ノイズ処理は標準に設定)と「コンポジットRAW撮影」で一番ノイズが少ない32枚で比較してみた。微妙にそれぞれ色調が異なるのは置いといて、解像感では「コンポジットRAW撮影」だが、ノイズが少ないのは「エクステンデッドRAW処理」といった感じだ。
最後の「コンポジットRAW撮影」のHDRだが、撮影枚数はノイズ低減と同様に4枚、8枚、16枚、32枚。またダイナミックレンジの幅はLv1、Lv2、Lv3の3段階のほかAUTOが選べる。もっとも効果が高そうな32枚のLv3で試してみたが、確かに階調は広がったが思ったより効果は控えめ。これもノイズ低減と同様にRAW現像での調整が必要なのかもしれない。
「コンポジットRAW撮影」のピクセルシフトは従来と同等の効果だったが、ノイズ低減とHDRは現像を活用するには少し深堀る必要がありそうだ。 「エクステンデッドRAW処理」は撮影時に手間がかからないのがお手軽。
同様の機能はAdobeやDxoなどの画像ソフトにも搭載されているので、いろいろと試してみるのも面白いだろう。
最高画素数で毎秒30コマ撮影
歪みは予想より少ない
積層型撮像素子ということで高速撮影性能にも注目したい。画素数的には最上位モデル「α1Ⅱ」(量販店価格94万4170円)の5010万画素を上回ることになるが、動体撮影時の歪みは「α7RⅥ」のほうが大きいとアナウンスされている。これは「α1Ⅱ」の積層型撮像素子が画素と回路、さらにメモリーも一体化されているのにたいし、「α7RⅥ」ではメモリーが省かれているため読み出し速度が少し遅くなってしまうらしい。
また「α1Ⅱ」は電子シャッターでも1/200秒でストロボ同調が可能だが、「α7RⅥ」は電子シャッター時のストロボは使用不可(例外として「ピクセルシフトマルチ撮影」時は最速1/50秒で同調できる)。このあたりはフラッグシップモデルの面目躍如といったところだろう。
ではどの程度歪むのか気になるところ、いつもの走行中の電車で比較してみたが、メカシャッターとの差はわずか。これなら実際の撮影で気になることは少なそうだ。
電子シャッター時はブラックアウトフリーの最高秒30コマの連写でプリ撮影も可能。この辺りのスペックは弟分の「α7Ⅴ」でも実現しているが、バッファ詰まりをUHS-Ⅱ対応SDで実測すると、JPEG-Lサイズのエクストラファインで158枚、ファインでは237枚。RAWはロスレス圧縮で67枚、圧縮(画質優先) では73枚、もっとも軽量な圧縮RAWなら156枚と「α7Ⅴ」を上回る容量を備えている。
AFも被写体認識の精度や粘り強い追随性も、動体撮影に不慣れな自分からすると「α1Ⅱ」同等に感じてしまう。
飛行中の野鳥を被写体認識で撮影。ピントがバッチリで拡大してみると結構目がコワい。使用レンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM」・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/3200秒・ISO800。
上の写真の後、水面かける様子を秒30コマ連写で撮影。使用レンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM」・焦点距離339mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO1250。
逆光でほぼシルエットだったが、それでも瞳を認識してくれた。使用レンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM」・焦点距離339mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/3200秒・ISO800。
餌をめぐって威嚇する様子。こんなシーンが撮れるのも高速連写の面白さ。使用レンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM」・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/3200秒・ISO6400。
公園を散歩中に野鳥にカメラを向けたら突然飛び立った瞬間。設定はAF-Sの単写で被写体認識もオフなのでまさに偶然に撮れた一枚。無駄に運を使った気がする。使用レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」・焦点距離70mm・絞りF2.8・シャッタースピード1/640秒・ISO100。
またボディー内手ブレ補正も中心部8.5段周辺部7段と強力。手ブレ補正非搭載レンズ「FE 24-70mm F2.8 GM II」では、遠景なら広角側24㎜ではシャッタースピード1秒程度、望遠側70㎜でも1/4秒程度でブレを防止してくれた。
実際に撮っているとシャッターの感触や、高画素機とは思えないレスポンスなども快適で楽しめた。バッテリーマネジメントや価格(なにせ前モデルより約4割増し)など悩ましいが面もあるが、「それだけの価値のあるカメラを造りました」と語ったソニーの自信に満ちた表情には納得だ。
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