ゲームデザイナーのKyohei Lehr氏、クリエイティブディレクターのMike Henry氏にインタビュー
LoLの世界観を格ゲーに持ってくる難しさとは? 2XKO開発者インタビュー
2026年05月03日 10時00分更新
ライアットゲームズが展開している格闘ゲーム「2XKO」。同社の「リーグ・オブ・レジェンド」のレジェンド(キャラクター)が登場し、2対2のタッグバトルなのでソロプレイで2体のチャンピオンを操作したり、友達と一緒にデュオで楽しんだりもできる。
5月1日から3日まで開催中の「EVO JAPAN 2026」では、賞金総額9万ドルのメジャー大会が実施されるほか、ブースも出展している。今回、EVO JAPAN 2026に合わせて会場に駆けつけていたゲームデザイナーのKyohei Lehr(キョウヘイ・レール)氏、クリエイティブディレクターのMike Henry(マイク・ヘンリー)氏にインタビューを実施した。
LoLでチャンピオンのアビリティーを使った側使われた側両方の気持ちを考えて2XKOに落とし込む
まずは、Kyohei Lehr氏からお話を伺った。
──まずは2XKOにおけるゲームデザイナーはどういったお仕事なんでしょうか?
Kyohei Lehr氏:アート以外で、チャンピオンに関わるすべてのことをデザインしていますし、ゲームプレイは自分が作ることになっています。アートディレクターやアーティストがたくさんいるので、アート自体にはそこまで深く関わっていませんが、それ以外のゲームプレイや初期のバランス調整、アビリティーの作成などは、最初の土台作りからすべて積み上げていくような感じでやっています。
──チャンピオンをデザインする上で大切にしていることを教えていただけますか。
Kyohei Lehr氏:キャラクターにもよりますが、そのチャンピオンが愛されているところをどう活かしながら格闘ゲームに落とし込んでいくかという点を、最初からすごく重視しています。 私はLoLのコアなプレイヤーではないので、最初はアビリティーを使っている側や、使われている側の気持ちがそこまで分かっているわけではありません。
ですので、それを把握できるまでキャラクターをやり込んでみたり、そのキャラクターを使っているプレイヤーに「どういったキャラクターか」を聞いて回ったりする作業を黙々と行います。そして、どういうキャラクターにしていくかを考え出し、そこから格闘ゲームのキャラクターを作っていくという感じです。
── LoLのプレイヤーから見ても「あ、このキャラクターだな」と思えるような動きを作っていくのは結構難しいのではないでしょうか。
Kyohei Lehr氏:そうですね。アビリティーを使っている側と使われている側の気持ちは、例えばLoLでアカリがクナイを使うとしましょう。使っている側、使われている側がどういう気持ちでその動きを見ているか。その気持ちをそのままゲームでどう表現できるか、もとのイメージにどう近づけられるか、といったことを考えるのが難しいですね。
アカリは初心者でも始めやすく、慣れてくると攻撃の幅が広がる
──今、アカリのお話が出たので伺いたいのですが、どういったキャラクターなのか、また初心者でも使いやすいかというところを教えてください。
Kyohei Lehr氏:アカリは機動力がすごく高く、移動技やアビリティーがたくさんあるキャラクターです。ただ、そのたくさんある技の中で汎用性が高いものはそこまで多くありません。 初めてプレイする人でも、弱攻撃や強攻撃などボタン連打で出せるコンボや繋ぎ技があるので、最初は簡単な技を使いながらプレイしてもらえる作りになっています。
そこから、色々な技を組み合わせて中級者コンボに繋いでいくことができます。 立ち回りでも、初心者は分かりやすいクナイなどを使い、そこから「トワイライトシュラウド(煙幕)」が自動で出るような仕様の技を使って、さらに強くなれるキャラクターです。最初はベーシックなアビリティを使って煙幕を発見し、「ほかの技もこういうところに入るんだ」というように上達のプロセスを楽しめるはずです。入りやすい要素もありつつ天井がすごく高いので、やり込むには数ヶ月かかるような深みのあるキャラクターだと思っています。
──LoLファンを2XKOに連れてくるために努力しているところはありますか?
Kyohei Lehr氏:どのキャラクターを2XKOに持ってくるかという決定には、私は参加していません。ユーザーや内部からの要望を考慮してチームが決め、選ばれたチャンピオンが私に振り分けられます。 私に回ってくるチャンピオンは、私が元々格闘ゲームをずっとやっていたこともあり、テクニカルで「曲者」なキャラクターが多いです。「もとのデザインがこうだから、こういうことをしたいんだけどやってくれないか」といった具合ですね。
──ご担当されたチャンピオンの例を挙げてもらってもいいですか?
Kyohei Lehr氏:ティーモやヤスオですね。ティーモなんかはそもそも格闘ゲームに向いていなくて、キノコで戦うチャンピオンじゃないですか。最初は「格闘ゲームに持ってきてどうするんだ」という感じでした。 でも幸運なことに、チームにはティーモが好きな人がいっぱいいるんです。チームのみんなから色々なアイデアをもらい、その中からいいアイデアを取り入れて、技構成を作りあげていったのがティーモです。。
──ティーモこそ、使う側と使われる側の視点が全然違うじゃないですか。使う側は可愛いですが、使われる側は目の敵にしますよね。
Kyohei Lehr氏:そうなんですよ。私もそういう作りにしたいと思っていたんですが、そういう作りになってしまうとキャラクターのバランス調整がすごく難しいんです。今は「強い」といわれてしまっているんですが、自分たちが出したい強さと、ユーザーが感じる強さが違っていて、それを一致させるのが難しいところですね。
──先ほどおっしゃっていた「やった側、やられた側の気持ち」がどちらもLoLと同じ感情になるという点では、ブリッツクランクなんかはまさにそうですよね。
Kyohei Lehr氏:それが伝わっているのはとてもうれしいことです。
初心者にはティーモがオススメ
──そんな中でも、ぜひおすすめしたい、お気に入りのチャンピオンはいますか?
Kyohei Lehr氏:初心者にお勧めできるのは……ティーモですね(笑)。弱攻撃など簡単に使えるツールがありますし、キノコを投げているだけでもいい。ダーツを吹きながら立ち回っても強いですし、アビリティーだけで強い作りになっています。 ほかの格闘ゲームから来ている方であれば、ダリウスやイラオイなどのチャンピオンの方が入りやすいとは思います。
──個人的に普通に遊ぶとしたらピックするキャラクターはありますか?
Kyohei Lehr氏:ティーモとジンクスですね。自分が携わったということもありますが、他のキャラクターと合わせやすいと思っています。ジンクスをベースにして他のキャラクターを遊ぶという感じです。気分が乗っていたら、アカリやヤスオも好きです。
いい意見も悪い意見もデータ化して、開発に活かす
──2XKOが日本の格闘ゲームシーンにより深く入っていくために、コミュニティに向けて今後どういったことをしていきたいとお考えですか?
Kyohei Lehr氏:ライアットゲームズは、元々コミュニティの声を聞くことに特化している会社なので、ユーザーの声を聞きながら調整していっているのが現状です。今はまだお披露目から数ヶ月で、自己紹介を終えたような感じだと思っています。
そこからのユーザーの声を聞きながら、私はチャンピオンデザインにその声を活かしていきたいですし、ゲーム全体でもその声に対応した作りをしていきたいです。まだ発表できないことも色々とあります。
──コミュニティーの声を拾う中で、「確かに」と思う意見と「それは仕方ないじゃないか」と思う意見があると思いますが。
Kyohei Lehr氏:厳しい言い方がだったり、消極的なコメントもあったりしますが、それも一応データとして受け止めています。解釈の仕方を変えたり、「このユーザーはどういう経験をしてこれをいうに至ったのか」を考えたりして、データとして取り入れています。ですので、悪いことが書かれているから読まないというわけではなく、平等に見ていっています。情熱的なコメントもよく拾っています。
──最後に、今後2XKOをどういったゲームにしていきたいですか?
Kyohei Lehr氏:これは個人の意見ですが、今だと2v2のチームゲームってちょっと「曲者」じゃないですか。そうした曲者ゲームが好きなプレイヤーやコミュニティーが、熱狂できるようなゲームにしていきたいと思っています。 2XKOが2on2だから、もっと簡略化されてみんなができるようになっていく、1on1になっていったり操作がもっと簡単になっていったりするだろうという予想もあると思います。
でも、ペースや毛色が少し違ったゲームが好きなコミュニティがあることを私は知っています。そのコミュニティを大切にして、熱狂できるようなゲームにしていきたいと思っています。
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