2026年6月に証明書の期限切れを迎えることで、セキュアブートに関する記事をよく見かけるようになった。マイクロソフトのサイト上にも詳しい情報が掲載されている。しかし、ネット上ではPVを稼ぎたいのか、ユーザーを不安にさせるような、「起動不可能になる?」的なアオリを入れた記事は少なくない。しかし結論から言えば、Windows Updateさえちゃんと実行していれば、何も心配はなく忘れてしまってもいいような問題である。
もっとも問題の内容をきちんと理解したい人もいるだろうから、ここでは、基本に立ち返り、セキュアブートや証明書の更新などについてきちんと解説する。
そもそもセキュアブートとは?
Windowsには、さまざまなセキュリティ機能が組み込まれているが、これらが基盤とするのは、Windows自身が正しい状態にあることだ。Windows自体がなんらかの悪意を持ったソフトウェアに影響されていては、いくらセキュリティを高めても意味はない。
Windowsが一番脆弱になるのは、その機能が完全に動作していない起動時である。一般的にOSは、起動メディアに記録されているブートローダーがメモリに読み込まれ、これが、オペレーティングシステムを起動する準備をする。つまり、ブートローダーを書き換えてしまえば、OSを改変して起動させることが簡単にできてしまう。
その対策として、2012年のWindows 8で導入されたのが「セキュアブート」だ。セキュアブートはファームウェアがUEFIであることが前提となる。UEFIにはWindows Vista 64bit版から対応が始まったが、その後のWindows 7/8/10では推奨とはなったものの、必須ではなかった。つまり、Windows 10まではIBM PCから続くBIOSからの起動も可能だった。UEFIが必須となったのはWindows 11からである。
セキュアブートでは、電子署名と電子証明書を使い、ブートローダーが改変されていない正しいものであることを確認する。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、ここで簡単に電子署名と電子証明書について解説しておく。電子署名とは、対象のデータ(ファイル)の作成者を示すとともに、改竄されていないことを証明するものだ。それには公開鍵暗号を使う。秘密鍵で暗号化したデータは公開鍵で検証できる。
逆に言うと、公開鍵で検証が可能なら、電子署名を作成したのは秘密鍵の所有者であることが確認できる。このとき、データの改竄を検出するために、データのハッシュ値を暗号化する。
ハッシュ値は、デジタルデータの並びに対して生成される値で、改竄がされるちハッシュ値が変化してしまう。ハッシュ値は元のデータから計算することは簡単だが、ハッシュ値からそれを生成できるデジタルデータを作ることは困難であり、ハッシュ値を変えないようにデジタルデータを変更することは事実上不可能に近い。
ハッシュ値を使うことで、対象のデータ自体を使わずに済むので、電子署名自体が小さくなり、短時間で計算できるようになる。
ただしこのままでは、暗号化したのが誰なのかを確認できない。これを証明するのが「電子証明書」である。これは、認証局と呼ばれる組織が、署名者(秘密鍵の持ち主)の存在や正当性を確認したうえで、署名者の身元情報とその公開鍵を結びつけたものだ。
認証局に問いあわせすることで、署名者の公開鍵と身元情報が得られ、電子署名から得られた署名者情報と比較して一致すれば、電子署名をした署名者の身元を確認できる。この電子証明書自体は改竄を防ぐために認証局が電子署名を行う。電子証明書は、具体的には、「公開鍵証明書」(X.509証明書)と呼ばれるデータである(https://ja.wikipedia.org/wiki/X.509#%E8%A8%BC%E6%98%8E%E6%9B%B8)。
簡単に言えば、対象のデータのハッシュ値と署名者情報を秘密鍵で暗号化したものが「電子署名」で対象データと一緒に配布する。さらに電子証明書を使うことで、電子署名をした署名者の身元が確認できる。
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