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BoxのCOOに聞く、非構造化データから価値を解き放つ方法

Boxが自ら実践するボトムアップ型のAI変革 優先順位を可視化する「4象限マトリクス」と「5段階の成熟度」

2026年04月22日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田 元

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“AI投資の優先度”や“AI成熟度”を可視化するフレームワーク

 2025年冬には、社員が創出した「“千”花繚乱」なエージェントを精査・統合する、最適化を図るフェーズへと進んだ。すべてのエージェントを確認して、類似機能を持つものは最も完成度の高いものに統合している。

 さらに、どのAIエージェントを本番適用するかは、AIがどの領域で価値を発揮するかを見極めるために開発した、独自の「4象限マトリクス」を活用している。

 このフレームワークでは、業務プロセスを2軸で分類する。縦軸は判断の高度さを示す「クリティカルシンキング(Critical Thinking)」、横軸は実行頻度を示す「反復性(Repeatability)」である。これらを掛け合わせることで、一定の業務負荷と頻度を伴う「AIを投資すべき業務プロセス」が、効率曲線として可視化される。

 各エージェントをこのフレームワークに当てはめ、優先順位を明確にした上で本番適用を進めている。同時に、マーケティングや営業、プロダクト、ITといった各部門のAIリーダーで構成される「運営委員会(Operating Committee)」を設立。毎月、エージェントの採用や利用状況を共有し、全社的な最適化も図っている。

4象限マトリクスのフレームワーク

 こうしたBoxのAIファーストへの歩みは、そのまま顧客支援へと還元されている。顧客がBox AIやBox Agentをどこに投入すべきかを、4象限マトリクスなどを活用して特定していく。「BoxのプラットフォームでAIファーストを目指す企業には、まず業務プロセスを整理するところから着手してもらう」(ノッテボーン氏)

 一方で、自社のAIビジョンが描けない顧客に対しては、AI活用の成熟度を5段階で評価する「AI成熟曲線(AI Maturity Curve)」を用いて、現在地や目指すべき姿を提示している。

 第1段階は、AIを情報の取得やインサイトの抽出に活用し、意思決定やワークフローの実行は人が主導するフェーズだ。Boxもここから歩み始め、多くの企業がこの段階でとどまっている。第2段階では、AIが事前定義したワークフローを実行し、人はプロセスの定義や監視を担うフェーズへと進化する。

 第3段階では、複数のAIが相互に連携するようになり、人は重要な意思決定に専念。さらに第4段階に進むと、AI自らがパフォーマンスを改善し始め、人の介入は最小限に抑えられる。そして、最終的目標である第5段階では、AIが状況に応じて全機能を管理し、人はビジョンを描くだけになる。

 この高みに至るまで、Box自身もまだ道半ばにある。現在はエージェントの能力を最大限に引き出すべく、業務プロセスの再設計に注力しているところだ。今後も、この挑戦で得た知見や失敗を価値として顧客に返しつつ、BoxのAIファーストへの旅路は続いていく。

エージェント浸透の鍵はシームレスに業務に組み込むこと

 最後に、同じようにAI変革を進める日本企業に向けて、ノッテボーン氏よりアドバイスが送られた。

 まず着手すべきは、価値のあるコンテンツをBoxのようなセキュアなプラットフォームへ集約することだ。AI導入における最大の懸念がセキュリティである以上、信頼できる基盤でデータを管理することが、エージェント活用の大前提となる。

 そして、エージェントを浸透させる鍵は、単に利用を指示するのではなく、一般的な業務プロセスの中で実践させることにある。業務手順を習得するフローの中に、エージェントに触れる機会を設ける手法が有効だ。

 Boxの営業部門でもこのアプローチを採用しており、商談サイクルの研修フローに、実務の指導に交じる形でエージェント活用のトレーニングが組み込まれている。ノッテボーン氏は、「AIを使うことを目的とせず、仕事をより良く、効率的に進める手段としてAIエージェントを活用すべき」と締めくくった。

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