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BoxのCOOに聞く、非構造化データから価値を解き放つ方法

Boxが自ら実践するボトムアップ型のAI変革 優先順位を可視化する「4象限マトリクス」と「5段階の成熟度」

2026年04月22日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田 元

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 企業データの9割は「非構造化データ」であり、AIこそがその存在価値を解き放つ――。そう語るのはBoxの最高執行責任者であるオリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)氏だ。

 Boxは、同社プラットフォーム上の非構造化データをAI活用するための「Box AI」や「Box Agent」を展開している。特筆すべきは、Box自身がこれらのAI機能を“使い倒して”AI変革を実践している点だ。その過程で、AI中心の組織になるためのフレームワークが生まれ、顧客支援にも活かされているという。

 非構造化データの可能性に惹かれてBoxに参画したというノッテボーン氏に、AI変革の歩みについて聞いた。(インタビュアー/TECH.ASCII.jp編集長 大谷イビサ)

Box 最高執行責任者(COO)オリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)氏

AIファーストの歩みにおける“最初の気づき”

 Boxは、約2年前に、同社のコンテンツ管理プラットフォームに「Box AI」を実装した。これは、Box上のドキュメントに対して質問や要約といった“生産性アクション”を実行できるAIアシスタントだ。

 続いて投入されたのが「Box AI for Hubs」だ。最大2万個のコンテンツを保存できる“Hub”に対して、複数ファイルを横断して生産性アクションを実行できる。Boxは、これらのAI機能を通じて「コンテンツとAIの力を解き放つ」というメッセージを発信していた。

Box Hubs for AI

 一方で、こうしたメッセージを届けるには、まず自分たちが実践しなければならない――。そう決断したのが2025年初頭だった。まず全従業員にBox AIのアクセス権を付与するところから、BoxのAIファーストへの歩みが始まった。同年春には「Box AI for Hubs」も全社展開している。

 Boxはこの段階で、「AIを真に役立つ存在にするには、参照させるコンテンツを吟味しなければならない」という学びを得た。ノッテボーン氏は、「単純なことだが、多くのAIプロジェクトを停滞させた一因になっている」と指摘する。

 だからこそBoxの各チームは、Hubで情報をキュレーションしていった。例えば、日本のマーケティングチームは、製品カタログや事例集、イベントコンテンツなどを集約し、膨大な資料をすぐ使えるナレッジへと昇華させている。

ボトムアップでエージェントの“千の花を咲かせる”

 こうしたAI活用の立ち上げを経て、次なるステップとして、カスタムエージェントの開発ツール「Box AI Studio」を社員に展開した。同ツールでは、利用者のアクセス権限内でBox内のコンテンツを参照し、特定のタスクを遂行するエージェントをノーコードで作成できる。

 ポイントは、誰もが自由にエージェントを開発できる「ボトムアップ型」のアプローチを貫いたことだ。学習用のリソースを配布し、安全に検証できるサンドボックス環境は整えたが、あえて「どのようなエージェントを作るべきか」は指示を出さず、現場主導の自主性に委ねている。

 「現場に課題があり、明確な目標さえあれば、社員は自律的に革新を起こし、素晴らしいものを生み出せると信じていた」とノッテボーン氏は振り返る。その結果、100個以上のエージェントが生まれ、Box内で「千の花を咲かせる(letting a thousand flowers bloom)」と呼ぶムーブメントにつながった。

 そして2025年9月には、全従業員を対象とした「AI認定プログラム」を立ち上げた。その狙いは、AIの有効性に加え、潜在的なリスクについても正しく理解させることにある。社員は現在、AIの基礎から市場トレンド、BoxのAI機能に至るまでを、四半期ごとに継続して学習している。

 「Boxに在籍することで、AIの旅を共に歩み、その最前線で学び続けられるという価値を感じてもらいたかった」(ノッテボーン氏)

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