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旅の達人が伝える! スマートトラベラーへの道 第132回

飛行機の下で働く“ヤバい車”全部見せます。羽田空港で約3000台が稼働する“グラハン車”の世界

2026年02月04日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス/ASCII

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●飛ばすための準備は命がけ。安全運航を守る専門車両

【安全運航を守る「整備・支援のプロ」】

 飛ぶ前に終わっていなければならない作業があります。最後は、飛行機のコンディションを整える専門車両たちです。

⑧ スノーバー

 冬の空港で安全を守る守護神です。アームの先にゴンドラやノズルがついており、機体に積もった雪や氷を取り除いたり、凍結防止液(防除雪氷液)を散布したりします。翼に氷がついていると揚力が得られなくなるため、冬場の安全運航には欠かせない存在です。

冬の空港で活躍するスノーバー(SV)

高い位置にある翼に凍結防止液を散布するため、相当な高さまで上がります

⑨ リフト・カー

 トラックの荷台部分がそのまま垂直に上昇するユニークな車両。エンジンや翼、ドアなど、高所にあるパーツの整備を行う際に使用されます。重い整備機材を持ち上げたり、整備士さんが乗り込んで作業したりするための「足場」となります。

高所での作業に使われるリフト・カー(LC)

実は筆者も航空機撮影などで、何度か乗ったことがある唯一の車両です

⑩ ホイール・ブレーキ・チェンジャー

 航空機のタイヤは巨大で非常に重いものですが、この車両はそれを交換するための専門車両です。

グラハン車両のなかでも特に珍しいホイール・ブレーキ・チェンジャー(WB)

 車両にはクレーンや、タイヤを挟んで保持する「ホイールドーリー」という装置が装備されています。重いタイヤをミリ単位で位置合わせし、安全かつ効率的に脱着作業を行います。

航空機のタイヤ交換に使われます

⑪ 電源車

 駐機中の飛行機に、電気を供給するための「移動式発電所」です。飛行機はエンジンを止めている間、機内の照明や空調、計器類に必要な電気を外部から受け取る必要があります。

駐機中でもエアコンで涼しいのは、この電源車のおかげ!

 「Aircraft servicing(航空機サービス)」カテゴリー(45台)に含まれる車両の一つで、機体の外部電源接続口にケーブルを繋いで電力供給を行います。ちなみに、一部の航空機牽引車(TUG)には、この電源機能が内蔵されているタイプもあります。

180kVa(180万ボルトアンペア)とあるので、144kW程度の電源供給が可能です

●次に空港へ行ったら、窓の外を見てほしい理由

 これらいわゆる自動車やトラックの形状をしたものは、公的な運転免許のほか、ANA独自の資格認定試験があり、誰でも運転や操作ができるわけではないそうです。羽田空港には、今回ご紹介した以外にも、機内の清掃や備品補充を行う車両(Cabin servicing)や、制限エリア内を走るバスなど、多種多様な車が働いています。

そのほか機内の汚水を抜き取るラバトリーサービスカーや、機内食を運ぶ車など、空港には数多くのグラハン車があります

 次に空港へ行ったら、搭乗前の待ち時間にぜひ窓の外をのぞいてみてください。そこでは、名前も知られていない“プロ専用の車”たちが、今日も黙々とフライトを支えています。飛び立つ飛行機だけでなく、「あ、あれはハイリフトローダーだ!」、「今のプッシュバックはトーバーレスだな」などと観察して過ごすと、空港で待つ時間もより楽しいものになるかもしれません!

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

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