コミュニティイベントの真価はイベント終了後の懇親会にあると言われる。お酒を片手に見ず知らずのエンジニアにイベントの感想を聞いたら、記者が「えっ?いま何言った?」とおののくほどの金言がポロリと出てきたりする。先日取材したJAWS-UGの「AI Builders Day」で、とあるエンジニアから聞いたのは、「AIメインになり、エンジニアはマサカリを気にせず、登壇しやすくなったのは?」という意見だ(関連記事:AIエージェント開発の神セッションが集結した「AI Builders Day」 最高のキーノートで幕を開ける)。
登壇やブログに対して、技術的な指摘を行なう「マサカリを投げる」行為は、優れたエンジニアカルチャーだと思うが、エンジニアの意見表明やアウトプットを萎縮させてしまう面もある。過去には自分で書いた記事でマサカリが飛んできたこともあるし、登壇した記事に対する評価でナーバスになってしまうエンジニアも少なからずいた。この10年でテックブログカルチャーはエンジニア業界に広く根付いたが、建設的な議論に結びつかなかったり、出た杭が打たれることも多かったと思う。
その点、現時点でのAI活用はいわゆる正解がない。精度面では正しいが、コスト面で課題があったり、実現したいことに対する選択肢が多かったり。楽しい反面、エンジニアにとっては茨道だ。そのため、失敗経験を積んだチャレンジャー、試行錯誤を次につなぐために自身の体験をシェアし、いろいろな人の話を聞くオープンなエンジニアの方が尊ばれる。実際のAI Builders Dayでも、いち早くドッグフーディングした数々のエンジニアの試行錯誤は喝采を浴びていた。エンジニアイベントで、さまざまな挑戦と失敗がオープンになり、建設的な議論と試行錯誤のカルチャーがエンジニアに根付いていけば、日本の開発力はますます高まっていくはずだ。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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