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最新パーツ性能チェック 第473回

「Ryzen 7 9850X3D」速攻検証:クロックが400MHz上がった以上の価値を見いだせるか?

2026年01月28日 23時00分更新

文● KTU (加藤勝明) 編集●北村/ASCII

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クロックが上昇した分クリエイティブ系処理は高速に

 ゲームの検証に入る前に、少しだけクリエイティブ系処理におけるパフォーマンスも見ておこう。「UL Procyon」を利用し、「Photo Editing Benchmark」を実行した。これは実際に「Photoshop」と「Lightroom Classic」を動かし、一連の処理(ワークロード)にかかった処理時間からスコアーを算出するテストだ。

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのスコアー(Overall)と、その根拠となったワークロード別のスコアー

 このテストではRyzen 7 9850X3Dが9800X3Dに対しクロックが高い分スコアーが高くなっているが、誤差程度の差でしかない。ただコア数の多いRyzen 9 9950X3DやCore Ultra 9 285KよりもRyzen 7 9850X3Dのスコアーが全般的に高い点に注目したい。シングルスレッド寄りの処理が多いとRyzen 9 9950X3Dのようなコア数の多いCPUはベースクロックも低いため逆に不利。ベースクロックが高くコア数も少ないRyzen 7 9850X3Dや9800X3Dの方が有利になるのだ。

 続いてはUL Procyonの「Video Editing Benchmark」だ。このテストは「Premiere Pro」でH.264の動画を4本エンコードする時間からスコアーを算出するテストだ。テストにあたってはGPUエンコードを使用した。

UL Procyon:Video Editing Benchmarkのスコアー

UL Procyon:Video Editing Benchmarkにおいて、テストに使用された4本の動画のエンコード時間

 GPUエンコードだとCPUパワーの差が出なくなるように思えるが、Premiere Proの場合はCPUパワーもある程度影響する。その証拠にクロックの高いRyzen 7 9850X3Dのエンコード時間は9800X3Dより明らかに短縮している。Ryzen 9 9950X3DやCore Ultra 9 285Kの処理時間からは、コア数が多すぎても(GPUエンコード時は)かえって足枷になることが示されている。あくまでPremiere ProのGPUエンコード中心で攻めるという限定された状況においては、クロックが上がっただけのRyzen 7 9850X3Dが輝くシーンもあるのだ。

高クロック化の恩恵はゲームで味わえる

 ここから本命のゲームにおける検証に入る。本稿では以下のような条件で計測した。

  • 解像度はフルHD(1920×1080ドット)のみ
  • 画質は低設定
  • FSR 4はドライバーレベルで有効化
  • FSRが利用可能な場合は「クオリティー」設定とする
  • フレームレートは「CapFrameX」で計測し、msBetweenDisplayChange基準
  • ベンチマーク中の消費電力はPowenetics v2経由で取得

 解像度をフルHD、画質を低設定としたのはGPU側のボトルネックを回避するためだ。今回ビデオカードはRadeon RX 9070 XTを採用したが、それでもゲームによっては画質を盛るとGPU負荷がかなり高くなり、CPU本来の性能差が見えにくくなってしまうためである。

「ARC Raiders」

 ARC Raidersは画質「低」+RTGI「スタティック」に設定。練習場における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

ARC Raiders:1920×1080ドット時のフレームレート

 2025年登場のゲームのわりには描画負荷が非常に軽いため、低設定に落とすとフルHDでも相当なフレームレートが出る。ゆえにCPUクロックの影響を受けやすくRyzen 7 9850X3Dは9800X3Dに対し平均フレームレートで約10%、最低フレームレート(正確には1パーセンタイル点以下の平均値)においては約13%高い値を示した。ブーストクロックがRyzen 7 9850X3Dと同じ5.7GHzのRyzen 9 9950X3Dに関してはRyzen 7 9850X3Dよりもフレームレートが伸びなかった。

ARC Raiders:ベンチマーク中のCPUおよびシステム全体の消費電力(平均値)

 上のグラフはベンチマーク時に観測されたCPUおよびシステム全体の消費電力である。ただしPCI Express x16スロット経由の電力については、計測機材の問題から除外している。まず消費電力でトップに立ったのはRyzen 9 9950X3D。CPUコア数がRyzen 7 9800X3Dより多いため消費電力も高くなり、かつフレームレートも出る(=GPUが電力を消費する)ためこのような結果となった。コア数の多いCore Ultra 9 285Kのシステム全体の消費電力が低いのは、CPUパワー不足からGPUも仕事をしていないから、といえる。

 そして肝心のRyzen 7 9850X3Dだが、CPU単体の消費電力は9800X3Dに対し+20W程度の上昇。システム全体の消費電力は40W程度増えたが、これはCPUの性能が高まった結果、GPUもより働くようになったため、と説明できる。

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