縦に伸びるThinkPadの狙いは「“閉じたら終わり”のPCを変えること」
パーソナルAIは1つ、デバイスは複数 ― レノボ・ジャパン副社長にデバイス戦略を聞く
2026年01月20日 07時00分更新
AI PCは「盛り上がっていない」のではなく「当たり前になった」
上述したThinkPadのコンセプトモデルのように、AI時代の新たなフォームファクタを模索するのと同時に、LenovoではAura Editionに代表されるような既存のAI PCの展開も進める。
AI PCに関しては、デバイスが安価ではないこともあり、市場の成長を懸念する声もある。「AI PCは盛り上がっていないのではないか」という記者の質問に対し、塚本氏は「“当たり前”の存在になってきた」と答えた。「ほぼすべてのメインストリームCPUが、(Microsoftが定義する)Copilot+ PCが求めるNPUの搭載、40TOPS以上の処理性能といったスペックを満たしている。今後は市場のパイが広がっていく」との見解を示した。
AI PCの具体的なユースケースについて、塚本氏は「将来性」を強調した。「まずはハードウェアとしてケイパビリティ(能力)を持っておくことが重要。今後数年間でそれを活用するアプリケーションが増えてくるだろう。AI PC、Copilot+ PCを買えば“AI Ready”になるので、今後アプリケーションが出てきても対応可能になる」。
ここでは特に「NPU搭載」という点が重要だという。「たとえば、LenovoがSentinelOneと協業して提供するエンドポイントセキュリティソリューションのように、バックグラウンドで動作するものが増えてくる。その中で、NPUの得意分野はローパワーでAI処理ができること。今後はバックグラウンドタスクとして、裏で静かに実行されるような用途が増えていくだろう」。
こうしたAI PCの特徴は、多種多様なアプリケーションが実行される企業向けPCにおいて、特に朗報だと述べる。
「それぞれのタスクに合ったコンピューティングリソースを使い分ける、ヘテロジニアスコンピューティングが大切。例えば行列演算を素早く終わらせたいならGPU、省電力で済ませたいならNPUが向いている」(塚本氏)
「パーソナルAIは1つ、それを使うデバイスは複数」という戦略
Lenovoが掲げる大きな構想として「ハイブリッドAI」がある。個人向けの“パーソナルAI”、企業/組織向けの“エンタープライズAI”、汎用的な“パブリックAI”の3種類を、適材適所で組み合わせるというビジョンだ。
塚本氏は、そのビジョンを実現するためには「クラウドだけで閉じるのではなく、ローカルのデバイスも非常に大事になってくる」と説明する。
Lenovoでは、ノートPC、デスクトップPCだけでなく、スマートフォン、タブレット、モニターと多様なパーソナルデバイスを提供している。これらを通じて目指すのは「one personal AI across multiple devices」――つまり、複数のデバイスから1つのパーソナルAIを使うという世界だ。今回のTech World @ CESにおいて、Lenovoは統合型パーソナルAIの「Qira」を発表している。
「どのデバイスでも同じようなAI体験ができ、ユーザーのコンテクストをきちんと理解しながら、あるデバイスで作業していたものが次のデバイスへ行ってもそのまま継続できる――。これがLenovoのデバイス事業のキーワードになっている」(塚本氏)








