自民党の菅義偉元首相が次期衆院選に出馬せず、政治活動から引退する意向を表明した。
菅元首相といえば新型コロナウイルスのワクチン1日100万回接種や不妊治療の保険適用、ふるさと納税など数多くの功績がある。なかでも、官房長官を経て首相になった際には「携帯電話料金の値下げ」が目玉の政策となっていた。
菅元首相にハシゴを外された楽天モバイル
当時、菅氏は「日本の携帯電話料金は世界に比べて高すぎる。4割値下げできる余地がある」と主張していた。
確かに、その頃の日本の通信料金はアメリカと並んで高い部類と言えた。しかし、通信品質においては世界でもトップクラスであったことは間違いない。ドイツやフランス、イギリスなど日本に比べて通信料金の安い国もあったが、通信速度は遅く、圏外のところも多かった。
総務大臣の経験がある菅元首相は高止まりの続く携帯電話料金に競争環境を持ち込もうと、楽天グループに新たに免許が割り当てた。これにより、第4のキャリアとして楽天モバイルが誕生した。
しかし、全国にネットワークを構築するには時間とコストがかかるため、サービス開始早々から既存3社を脅かす存在にはなれなかった。
そこで、菅政権は既存3社に値下げの圧力をかけてきた。真っ先に菅政権の空気を読んだのがNTTドコモであり、オンライン専用プランとして「ahamo」を投入してきた。
3000円程度で20GB(当時)が使えるプランとして注目を浴び、KDDIは「povo」、ソフトバンクは「LINEMO」を投入せざるを得なくなり、結果して、日本の通信料金が4割程度、下がったように見えた。
「携帯電話の民主化」を掲げて参入してきた楽天モバイルの三木谷浩史会長は、菅元首相に見事にハシゴを外されたのだった。

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