FinFETからMBCFETへ
Samsungが推し進めるGAAアーキテクチャー
ではSC1.1の話に移りたい。最初にCMOSスケーリングやPlaner/FinFETのスライドが十数枚続くがこれは割愛して、GAA世代の話である。まずGAAのメリットとして挙げられるのが、短チャネル効果に効くという話である。
GAAにもさまざまな構造が考えられるが、SamsungでいうところのMBCFET、世間ではRibbonFETと呼ぶ、Nanosheetを垂直に積み重ねる方式が、現時点では一番バランスが良いと考えられている。
Samsungは以前からMBCFETという用語を使っているが、今1つ普及しないのはやはり発音しにくいためか?
MBCFETの構造のもう1つのメリットは、トランジスタ密度を上げやすい(構成で密度が変化しない)ことだ。FinFETの世代では、駆動電流の大きさ(≒動作速度)をフィンの数で調整する(フィンを増やす)ため横幅がどうしても広くなるが、MBCFETではNanosheetを縦に積み重ねるだけなので、底面積および配線長は変化しないので、それだけ小型化できる。
ここまでの話はこれまでもさんざん説明してきた。厳密に言えば酸化膜の作り方などいろいろ違いがあって技術的な難易度は決して低くはないのだが、基本的にFinFETの世代とMBCFETでは同じ製造方法が利用できるとする。
ここからまた10枚ほど、そのMBCFET(GAA)の細かな特徴や特性、GAAに起因する構造上の制約やその回避法といった話が続くのだが、割愛して先の話に進む。FinFETではMulti-Vt(複数電圧)の作り分けはWF(Work Function)の変更で行なっていたのだが、これがMBCFETとRibbonFETでは難しいという話である。
そこで厚みは変えずに、ダイポール効果と呼ばれる、しきい値電圧を変化させる材料を充填することでMulti-Vtに対応させるとしている。
また、この先MBCFETが普及していくと信頼性の問題が出てくるが、現時点ではFinFETと同等以上ないし同等にできると説明されている。細かいことを言えばいろいろあるのかもしれないが、ある程度問題は克服できていると見なしていいだろう。
MBCFETの信頼性はFinFETと同等にできる。BTI/HCI/TDDBなどについては連載784回で説明しているので、そちらを参照して欲しい
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第894回
PC
AMD「Ryzen AI Embedded X100」のリアルタイムAI制御が、Jetsonの弱点であるCPU性能を突く -
第893回
PC
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む -
第892回
PC
Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏 -
第891回
PC
謎多き次世代Xeon「Diamond Rapids」を解剖、3D Meshの進化と新命令セットAPXがもたらす変革 -
第890回
PC
Samsung「SF2P」の全貌! GAA最大の弱点であるPMOS性能低下を克服し、TSMC追撃へ準備万端 -
第889回
PC
なぜ巨大チップは歪んで壊れるのか? SK HynixのHBM4「MR-MUF」とTSMCのCoWoS-Lを襲う熱膨張の罠 -
第888回
PC
NVIDIA Rubin Ultra開発中止の真相! 180層CoWoS-Lの歪曲トラブルと、急造ラックNVL576に透ける苦肉の策 -
第887回
PC
AIなしではもはや限界 TSMCが明かすメモリー開発にAIが不可欠となった現実 -
第886回
PC
CFETの足を引っ張るPMOSを救え! imecが提案する新絶縁層と、あえて精度を緩める「Notch Alignment」の妙手 -
第885回
PC
TSMCも次世代「CFET」の全貌を披露! Forksheetスキップの背景と、世界最小6T SRAM実証で見えた2030年への布石 -
第884回
PC
Samsungが次世代CFETの試作に成功! IBMの10万ドル方式に対抗する、量産重視な「一括形成プロセス」のリアリティ - この連載の一覧へ
















