工具を使って工作をしていると、どうしても大小さまざまなケガをします。中でも多いのが、手や指先の切り傷。カッターが滑って手を切るという作業中のミスはもちろん、ガラスや金属板を持つときに切断面に触れてしまう、曲げていた金属板や線が跳ねて当たるなど、不意の事故があるからです。
PC自作でも、スチール製の激安PCケースを使って組み立てていたら、いつの間にか手が切り傷だらけになっていた……という経験をしたことがある人は多いでしょう。
もちろん、毎回指さし確認するくらい慎重に作業すれば防げることが大半ですが、そんなことをしていたら作業が進みませんし、なにより面倒。それなら、数日で治るような切り傷はケガのうちに入らないと割り切り、気にしない方が作業が捗ります。それも嫌だというなら、皮膚を硬くするか厚くして、切り傷そのものに耐えられる手にするしかありません。
工作のために手を鍛えるというオカシイ考えも嫌いじゃないですが、一朝一夕でできるものではないでしょう。これよりも、もっと簡単に“強靭な手”を手に入れる方法があります(手だけに)。それが、耐切創手袋を使うことです。
●具体的な用途を想定して耐切創手袋を選ぶ
耐切創手袋は100円ショップでも扱われていますが、廉価なものはガラス繊維を使ったものが多い印象です。薄くて柔らかいため指先を動かしやすく、細かい作業に向いているというメリットはありますが、そのぶん耐切創性能は弱め。また、滑り止めなどの加工がないため、小型のカッターナイフを使う時や、PC自作といった簡単な作業用だと思った方がいいでしょう。
木材や金属を扱うDIYであれば、もう少し耐切創性能の高いものが欲しいところ。いい感じに使える物はないかと探してみたところ、見つけたのがパナソニックの耐切創手袋「ストロングンテ」でした。
何より惹かれたのが、白熱電球のフィラメント技術を応用して加工した、タングステン繊維を使用していること。他社製品ではあまり使われることのない素材となるため、こういう珍しい部分をウリにされてしまうと弱いんですよね。
このシリーズは大きく2つの種類があり、ひとつはガーデニングや工作といった日常での用途を想定した「デイリーユース」。もうひとつは、金属加工や運搬作業を想定した「プロユース」です。
細かい作業ができることを重視したかったので、プロユースであれば「薄手・指先ゴムコート付」がよかったのですが、手のひらに滑り止めがないのは用途が限られそう。そこで、耐切創性能は落ちるものの、編み目が15ゲージとそこそこ細かくて柔らかく、それでいて耐切創レベルはDレベル。さらに、指先から手のひらまでゴムコートが施されている、「デイリーユース レギュラーシリーズ」(直販価格1760円)を試してみることにしました。
ちなみに、耐切創レベルは国際規格(ISO 13997)があり、A~Fの6段階で表記され、Fに近づくほど耐切創性能が高くなります。レベルDがどのくらいの性能かを大雑把にいうと、ナイフを15N(約1.5kgf)の力で押し付けながら引いても20mmまでなら耐えられる、といった感じでしょうか。
ストロングンテの製品ページによれば、綿の軍手はレベルB(5N)だそうなので、かなり耐切創性能が高いことがわかります。
ということで、どんな使い勝手なのか見ていきましょう。

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