ノンAIのサービスでもAWSのイノベーションは続いていた
AWSガーマンCEOが10分で怒濤の新発表25連発 LTチャレンジにレガシーAWSファンも大歓声
2025年12月03日 21時30分更新
AWS CEOのマット・ガーマン氏が登壇した「AWS re:Invent 2025」の基調講演。AI一色の内容で幕開けを迎えるかと思われた講演のラスト、ガーマン氏はノンAI系の膨大な新発表について10分のLT形式(Lightning Talk)で語るというチャレンジに出る。レガシーAWSファンからも大喝采を浴びたLTの模様をレポートする。
いわば基調講演分1回分の発表を、たった10分で
AI関連の新発表とゲスト登壇を終えたガーマン氏は、「今日はAIの価値を解き放つ旅の大きな舞台です。私たちはあらゆるスタックに強力なイノベーションをもたらしています。今日、AIエージェント全体で起きているイノベーションは本当に驚くべきものです」と語る。
誰もが2時間に渡る講演のまとめに入ると思われたそのとき、ガーマン氏は「多くの方が私たちのコアである『ノンAI』サービスへの素晴らしい追加についても聞きたいと思ったでしょう」とコメント。とはいえ、AIが台頭する以前は、AWSもAI以外の新サービスだけで2時間の基調講演を構成していたくらいで、発表内容はとにかく膨大だ。
しかし、ガーマン氏は「みなさんがもう少しだけいっしょにいてくれたら、25におよぶエキサイティングな新しいサービスと機能を発表します。それを実行するために、10分だけ自分に与えます」とまさかのLT宣言で会場を沸かせる。
舞台の横から10分のカウントダウンウォッチが登場すると、歓声が沸き起こる。「シートベルトをしっかり締めて下さい」。ガーマン氏のチャレンジが始まる。
最新のIntel XeonやAMD EPYCを搭載したインスタンスを投入
まずはAWSの強みとも言える幅広いインスタンスファミリーの強化だ。顧客に求められるのはあらゆるワークロードに対応するベストなコストとパフォーマンス。今回は最新のIntel XeonやAMD EPYCを搭載したAmazon EC2の5つの新しいインスタンスを発表した。
・Amazon EC2 X8iインスタンス(プレビュー)
カスタムのIntel Xeon 6を搭載。前世代のX2iと比較して1.5倍のメモリ(最大6TB)と最大3.4倍のメモリ帯域幅を提供する。
・Amazon EC2 X8aedzインスタンス
最大5GHzで動作する第5世代AMD EPYCを搭載し、「クラウドで最速」を謳う。最大メモリは3TB。X2iezn比で最大2倍の演算性能、最大31%の高いコストパフォーマンスを実現する。
・Amazon EC2 C8eインスタンス
第5世代のAMD EPYCを搭載するが、X8aedzインスタンスと異なり、最大4.5GHzで動作する。C7aと比較して、最大30%高速で、最大19%の高いコストパフォーマンスを誇る。メモリの帯域幅も33%向上。CPU負荷の高いアプリケーションに最適。
・Amazon EC2 C8neインスタンス(プレビュー)
第6世代のIntel Xeon Scalable Processor(Granite Rapids)を搭載し、ネットワーク処理にフォーカスする。最新のNitro v6カードを備え、C6inと比較して、最大2.5倍高いパケット処理性能を実現。インターネットゲートウェイに対して、最大2倍の帯域幅、ENI(Elastic Network Interface)で最大3倍のメモリ帯域幅を提供する。
・Amazon EC2 8aznインスタンス(プレビュー)
第5世代のAMD EPYCを搭載し、最大5GHzで動作する。M5znと比較して、最大2倍の演算性能を提供。M8aと比較しても、最大24%の高い性能を実現する。シングルスレッドの計算処理が高く、マルチプレイヤーゲーム、高頻度取引、リアルタイムなデータ分析に向く。
Macハードウェアそのものを利用することで、大手事業者で唯一提供しているMacインスタンスも強化。「非常に人気がある」と語るガーマン氏は、「Amazon EC2 M4 Max Macインスタンス」はApple M4 MAX StudioのハードウェアにNitro Systemにより、最大の10Gbpsのネットワーク帯域、最大8GbpsのAmazon EBS(Elastic Block Store)の帯域幅を提供する。さらに「Amazon EC2 M3 Ultra Macインスタンス」もアナウンスされ、近日登場することが予告された。
LambdaにもDurable Functionsが登場
AWS Lambdaに関しては、複数ステップのアプリケーションとAIワークフローを構築できる「AWS Lambda Durable Functions」が発表された。
もともとAWS Lambdaは単一処理を短時間で実行するタスクに用いられていたが、AWS Lambda Durable Functionsを用いると、待機が発生するような長時間を要するタスクに利用できる。具体的には、タスクの一時実行や再開という操作が追加され、実行停止中は課金が発生しない。
従来、こうした複数ステップの処理を組むのにはカスタムの状態ロジックを実装したり、Step Functionsのようなオーケストレーションサービスを利用していたが、AWS Lambda Durable Functionsでは既存のLambdaの開発者体験をそのままに、複数ステップのアプリケーションやAIワークフローでも利用できる。












