実はこうした分子の一部は、これまでも隕石から見つかっていた。近年では「はやぶさ2」や「OSIRIS-REx」が持ち帰った、地球の環境に触れていない小惑星のサンプルからも、アミノ酸や核酸塩基、リン酸などの存在が確認されている。
しかし、その中でも核酸をつくる上で欠かせない糖だけは、小惑星の純粋試料からは見つかっていなかった。
このため「代謝経路に使われる材料分子は、宇宙由来かもしれない」という考えを裏付ける上で、糖は、長い間“欠けたピース”として残されていたのだ。
グルコースを含む複数の糖が「地球環境に触れていない」小惑星から検出された事実は、生命に不可欠な代謝に使われる材料分子が、宇宙でも形成されうることを示している。とりわけリボースの検出は、核酸の材料がすでに宇宙空間で揃っていた可能性も示唆するだろう。
この発見は、生命が誕生した場所や条件についての従来のイメージを見直す契機となるかもしれない。









