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田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第42回

ChatGPT、Gemini、Claude、Grokの違いを徹底解説!仕事で役立つ最強の“AI使い分け術”【2025年12月最新版】

2025年12月03日 13時00分更新

文● 田口和裕

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 2025年11月は、AI開発競争の転換点として記憶される月になった。わずか2週間で、OpenAI、Google、Anthropic、xAIの4社が相次いで新モデルをリリースしたからだ。

  • 11月12日: OpenAI「GPT-5.1」
  • 11月17日: xAI「Grok 4.1」
  • 11月18日: Google「Gemini 3 Pro」
  • 11月24日: Anthropic「Claude Opus 4.5」

 これほど短期間に主要モデルが一斉刷新されるのは異例だ。各社が互いの動きを見ながらリリースをぶつけてきた可能性が高い。

 最も重要なのは、競争の主軸が「ベンチマークの点数」から「実際に何をこなせるか」へシフトしたことだ。各モデルの狙いどころを順に見ていく。

OpenAI「GPT-5.1」──モードを気にせず使える万能型

 GPT-5.1の核心は、性能向上よりもUXそのものの刷新にある。従来は「4o」や「o1」を用途別に使い分ける必要があったが、この煩雑さが完全に消えた。

InstantとThinkingの自動切替

 GPT-5.1は「Instant」と「Thinking」の2つのモードで構成される。Instantは日常的な質問に高速で応答し、Thinkingは複雑な推論が必要なタスクで深く考える。重要なのは、ユーザーが意識的にモードを選ぶ必要がない点だ。「GPT-5.1 Auto」が自動的に最適なモードを選択する。

モード選択画面。Autoを選ぶと最適な方を自動選択する

 たとえば「npmとは何?」のような単純な質問にはInstantが数秒で返答し、「スタートアップの事業計画を評価してほしい」といった複雑な依頼ではThinkingが裏で推論プロセスを走らせる。Instantモードでも、必要に応じて「適応的推論(adaptive reasoning)」が発動し、難易度の高い質問には自動的に思考時間を確保する。これによりAIME 2025(数学)やCodeforces(プログラミング)などのベンチマークで大幅な性能向上を記録した。

トーン設定とパーソナライゼーション

 GPT-5.1は従来より自然で人間らしい応答をデフォルトにしつつ、8種類のトーンプリセット(デフォルト〜皮肉っぽい)」から選択できる。さらに実験的な機能として、簡潔さ、温かみ、スキャン性(読みやすさ)、絵文字の頻度まで細かく調整可能だ。会話中にユーザーが特定のトーンを求めると、GPT-5.1が自動的にスタイル変更を提案することもある。この柔軟性により、ビジネス文書からカジュアルな雑談まで、同じモデルで対応できる。

トーン設定画面。6つのプリセットから選択でき、さらに細かい調整も可能

便利だが"親切すぎる"一面も

 誤答回避を優先する設計のため、不要な意図確認次の行動提案の挿入が頻発する。作業テンポを重視する場面では明確にノイズとなり、やり取りの流れを阻害することがある。

 たとえば「大阪で観光プランを考えて」と質問した場合、Claudeなら即座に「道頓堀、大阪城、USJを中心に...」と提案が始まるが、GPT-5.1は「予算は?」「同行者は?」「興味のあるジャンルは?」と確認を重ねてから提案に入る。ていねいではあるが、スピード重視の作業では明確にノイズとなる。

 もっとも、こうした反応がノイズに感じられるのは、筆者が正確な情報を素早く文章化することを要求されるライター職である点も大きい。一般的な利用シーンや、むしろ詳細な条件を詰めていきたい場合には、この慎重さが適切に機能する可能性もある。

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