田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第42回
ChatGPT、Gemini、Claude、Grokの違いを徹底解説!仕事で役立つ最強の“AI使い分け術”【2025年12月最新版】
2025年12月03日 13時00分更新
比較表
最後に、各モデルの主要スペックと特徴を整理した。カタログスペック上の数値競争よりも、「実際に現場で何が得意か」という実用面にフォーカスして比較している。自分の業務フローのどこに、どのピース(モデル)を当てはめるべきか、検討する際の材料にしてほしい。
| モデル | 強み・特徴 | マルチモーダル対応 | コンテキスト長 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| GPT-5.1 | 高速+推論自動切替、自然な会話 | テキスト、画像、音声 | 数万トークン級 | 日常利用、壁打ち、資料作成 |
| Gemini 3 Pro | 動画理解、生成UI、Google連携 | 画像、音声、動画、コード | 最大100万トークン | リサーチ、視覚タスク、アプリ生成 |
| Claude Opus 4.5 | PC操作、コード精度、丁寧な推論 | テキスト、画像認識 | 10万トークン以上 | コーディング、文書整理、自動化 |
| Grok 4.1 | 雑談・エンタメ文脈に強い軽快型 | テキスト、画像認識 | 数万トークン級 | 雑談、カルチャー系、軽めの生成 |
結論──"最強"ではなく"用途で選ぶ"時代へ
今回のリリースラッシュで改めて見えたのは、ベンチマークと実用性がもはや一致しないという点だ。各モデルは得意分野がまったく違う。
汎用性と会話の快適さを求めるならGPT-5.1。Googleサービスや視覚情報中心のワークフローならGemini 3 Pro。長文処理やコード生成・自動化ならClaude Opus 4.5。雑談やエンタメ領域はGrok 4.1がいちばん相性がいい。
筆者の場合、原稿の下調べや執筆補助、息抜きの相手、英会話練習まで用途が広いので、結局はタスクごとにモデルを切り替えている。具体的には、記事の構成案と初稿はGPT-5.1、技術的な事実確認と最新情報の検索はGemini 3 Pro、長文の推敲と論理チェックはClaude Opus 4.5、インタビュー記事のトーン調整やエンタメ系レビューの壁打ちはGrok 4.1といった具合だ。
使い分けの基準は「いま、どのAIなら一番イラつかないか」に尽きる。GPT-5.1の丁寧な確認質問は、余裕がある時は「気が利く」と感じるが、締め切り10分前の修羅場では「御託はいいから書け」と叫びたくなる。Claudeの慎重さは長文には頼もしいが、ビール片手の雑談には堅苦しい。Geminiの検索力は最強だが、ぶっ飛んだアイデア出しにはGrokの毒気が恋しくなる。この「相性」ばかりは、実際に喧嘩しながら付き合ってみないと分からない。
本音を言えば、毎月の請求額には頭を抱えている。筆者は現在、仕事の必要上とはいえOpenAI、Google、Anthropicの3社すべてに課金しているからだ。財布へのダメージは深刻で、できれば一つにまとめたい。だが、「ここぞ」という場面で各モデルの強みが代替不可能なため、減らすに減らせないのが実情だ。万能型が存在しない以上、この「複数課金地獄」はしばらく続くだろう。もちろん、読者の皆さんがこれに付き合う必要はない。無料枠のハシゴだけでも、タスクごとの使い分けさえ間違えなければ、業務の7〜8割は十分にカバーできるはずだ。
AIはもはや「聞けば答える物知り博士」ではなく、「言えば手を動かすバイトリーダー」になった。だからこそ、自分の仕事の中で「一番やりたくない面倒な作業」を特定し、そこだけを彼らに丸投げする。あれこれ試して、自分だけの「必勝パターン」を泥臭く作る。今はそれが、最も賢いAIとの付き合い方だろう。

1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事まで幅広く執筆。2019年よりタイ・チェンマイに移住。
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