「SAISON Technology Days 2025」で語られた“ERP移行の現実解”
そのERP移行の悩み、国産SaaSで解決できる? トップベンダー5社が推す「オフロード」という選択肢
2025年11月26日 11時00分更新
国産SaaSのオフロードが“ERP移行の現実解”なのか
大谷:松ヶ谷さんにポイントを語っていただいた「オフロード」は現実解なのでしょうか。
クレスコ 横尾氏:極端に走らないことが重要です。Fit to Standardの考えから、ERPに手を加えず、すべてを外で作ろうという時代もありましたが、やはり無理でした。アドオンにした方が効率的な領域は一定数あり、ERP移行でもアドオンを担保しているシステムもあります。アドオンとオフロードの見極めが必要だと思っています。
エイトレッド 青木氏:ワークフローは進化を続けており、内部統制を自動化する仕組みも登場していますし、申請や承認をAIが補助してくれるような世界も見え始めています。オフロードの先にある、さらなる効率化を見据えて欲しいです。
ウイングアーク 佐土原氏:データの観点では、収集と活用の2つの視点があります。まず、データ収集においては、当社の経営層や情シス向けのアンケートをみても、「取得に手間がかかる」「システム毎に分散」「形式が未統一」が課題のトップ3であり、いかに“データ取得の手間改善”に寄り添えるかが重要になっています。我々も様々なデータソースとの連携を進めていますが、iPaaSとの協業は必須だと感じています。
また、同アンケートでのデータ活用の課題は、「組織的な意識の低さ」が1位であり、「教育・トレーニングが不十分」が続きます。これに対しては、部門毎のデータ活用のメリットを訴求しつつ、自走化のハードルを下げていくことが後押しになると考えています。
サイボウズ 百目鬼氏:Fit to Standardがたびたび登場しましたが、現実的に業務を回そうとすると、業務の理想像にシステムをフィットさせる「Fit to “Company” Standard」が求められます。ノーコードツールは、企業の業務にフィットさせやすい、痒いところに手を届かせる、オフロードという現実解にピッタリなツールです。
大谷:kintoneが支持を集めるのは、企業オリジナルの業務を作れるからだと思っているのですが、ERP移行にも寄与しそうですね。
セゾンテクノロジー 松ヶ谷氏:iPaaSですと、ある意味、中間システムが増えたように見えてしまいます。そのため、ノーコードで修正できるテンプレートなどを用意して、つなぐハードルを下げることがオフロードを推進する上で重要だと思っています。
ERP移行はゴールとせず、データや国産SaaSの活用を
大谷:ERP移行後には、AIやIoTを導入したり、売上に貢献するITに挑戦したりと、色々な野望を達成している情シスの話を聞きます。ERP移行後に見える未来を最後にお聞きしたいです。
クレスコ 横尾氏:ERPを移行した後に未来を描くのではなく、移行前の段階から想定することが大事だと伝えたいです。なにしろERP移行は大仕事であり、それを終えてから構想しても、へとへとな状態ですぐに始められません。移行で得られた知見が断絶することすら起こり得るので、ERP移行が走り出す前から未来を見据えることが重要だと思っています。
エイトレッド 青木氏:ERP移行はゴールではないです。ワークフローでいうと、野良のExcelや申請書はまだまだ残ります。今は、市民開発で現場がワークフローをつくれる時代なため、ワークフローを統合するなど全員体制で会社を良くしていくのが先の未来になります。
ウイングアーク 佐土原氏:先ほどのアンケートには続きがあり、今後データをどう活用していきたいかという質問に対して、需要予測や収益シミュレーションが挙がりました。データとデータをつなぐことに加え、データのシミュレーションを支援することで、企業の業績向上に寄与していきたいです。
サイボウズ 百目鬼氏:大変なERP移行を経て、適材適所でシステムを振り分けた後は、是非そのシステムを楽しんで欲しいです。kintoneの場合、AI機能を試せる「kintone AIラボ」を用意しています。
セゾンテクノロジー 松ヶ谷氏:オフロードでシステムを分散した後は、データをただ連携するだけではもったいないです。各社システムのデータを分析することで新しいインサイトが得られるかもしれませんし、AI活用することで新しい価値を生み出せるかもしれません。我々もデータマネジメントのブループリントを打ち出しながら、皆さんが新しい未来を目指すのを支えていきたいです。












