このページの本文へ

初期構築も運用も不要、最短3か月でモバイル通信サービスを開始

格安SIMで企業ブランド強化を ミークモバイルが“非通信事業者”向けMVNO代行サービス

2025年10月31日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 近年、通信事業を持たない小売企業やエンターテインメント企業、インフラ企業などが、MVNOという形でモバイル通信サービスを提供するケースが増えている(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)。その目的は、メインサービスと連動させたポイント還元などの施策で、ブランドや顧客基盤の強化を図ることにある。

 MVNEサービスを展開するミークの子会社として2025年8月に設立されたミークモバイルは、10月30日、非通信事業者によるMVNO参入の障壁を取り除き、独自ブランドでのモバイルサービスの立ち上げを支援する「MVNO as a Service」を提供開始した。共通プラットフォームを用いてMVNOの提供・運用を代行するもので、最短3か月でモバイルサービスを提供開始できるという。

 ミークモバイルの代表取締役社長である小林敏範氏は、「これまで参入ハードルの高かったモバイルサービスを提供することで、ブランド戦略を一歩進めて欲しい」と語る。

ミークモバイル 代表取締役社長 小林敏範氏

“非通信事業者“がモバイル事業に参入する理由

 キャリアネットワークを利用して、MVNO向けに回線を提供するMVNEサービスや、法人向けにIoTプラットフォーム「MEEQ」を提供してきたのが、親会社のミークだ(MVNE:Mobile Virtual Network Enabler)。MVNEとIoTの両事業を手掛けているのが強みであり、上りと下りの通信帯域を無駄にしないことで、戦略的価格で通信サービスを展開している。

ミークのビジネスモデル

 ミークがMVNE事業者としてソニーネットワークコミュニケーションズから独立した2019年当時、MVNEサービスの顧客は9割以上が通信事業者だったという。それが現在は、非通信事業者が4割近くを占める状況だという。

 なぜ非通信事業者が、モバイルサービスを始めているのか。小林氏は、「モバイルサービスを事業の柱にしたいわけではなく、そこからポイント還元などを行うことで、メインサービスの利用につなげている。モバイルサービスによって、自社ブランドや顧客のロイヤリティを高めたい事業者が増えてきた」と説明する。

“非通信事業者“のモバイル戦略

 それでは、消費者側の需要はどうか。MMD研究所の「ポイント経済圏」に関する調査(2025年7月実施)によると、ひとつの経済圏内で利用しているサービスとして、「モバイルサービス」は、「クレジットカード」や「QRコード決済」に続く3位にランクインしているという。

 「参入するのが難しく、提供する事業者がまだ限定的な中でも、消費者はモバイルサービスを重要視している。かつ、“ひいきのブランド”でモバイルサービスを利用したい消費者は、今までと同じ品質のサービスを、同じ価格帯で利用したい層だと考えられる」(小林氏)

消費者がポイント経済圏で利用するサービス

 ただし、まったく経験がない非通信事業者が、いきなりモバイルサービスを開始することは難しい。なおかつ、MVNEサービスの支援により回線を得られても、課金や顧客管理の仕組みを用意するなど、自力で乗り越えなければいけない障壁が多く存在する。

 こうしたハードルを取り除き、モバイルサービスを迅速かつ低コストで立ち上げられるのが、ミークモバイルが提供開始する「MVNO as a Service」だ。

すべての“ブランド”にモバイルサービスを

 「MVNO as a Service」は、非通信事業者に代わり、ミークモバイルがエンドユーザーに対するモバイルサービスの提供から運用までを担う、「パッケージ型のMVNEサービス」である。通信インフラの構築・運用だけでなく、新規利用の受付やSIM配送、料金請求・回収、顧客管理、法令対応まで包括的にカバーする。

 そのため、非通信事業者はモバイルサービスを販売するだけでよく、売上の一部として支払われる販売手数料を利用して、エンドユーザーにポイントやクーポンなどを付与できる。ミークモバイルと連携して、エンドユーザーが使い切らなかった「残GB」を特典に変えることも可能だ。「あたかも自社でモバイルサービスを立ち上げたかのように利用できる」(小林氏)

MVNO as a Serviceの概要

 小林氏は、MVNO as a Serviceの特徴を3つ挙げる。ひとつ目は「ネットワーク運営能力」だ。10年以上MVNEサービスを運営し、これまで80万回線以上を提供してきたミークの実績をもとに提供される。

 2つ目は「主要3キャリア対応のネットワーク」だ。これにより、消費者が望む「これまでと変わらない通信環境」を提供できる。なお、3キャリアに加えて、楽天モバイルとの接続も準備中だという。

 3つ目は「料金プラン」だ。ミークモバイルが運用する共通プラットフォームを用いてMVNOサービスを提供するため、手数料をとりつつも「適正な価格帯」でのサービス提供を実現するという。3キャリア共通で、容量に応じた5プランを用意しており、4GBが980円、12GBが1780円、22GBが1980円、37GBが2580円、57GBが3980円となっている(全て税込)。

料金プラン

 また、事業者が開発・運用を担う従来のMVNEサービスと比べて、モバイルシステムの初期構築や運用コストが不要となり、開発期間も大幅に短縮できる。小林氏は「早くて3か月ほどでサービスを開始できる」と述べた。

 一方で、MVNO as a Serviceはパッケージモデルであるため、サービスの柔軟性は低く、売上・利益に関しても販売手数料だけに固定化されてしまうデメリットもある。

 「事業計画を練って、高い売上と利益を狙うような事業者は、自社でサービスを開発する。(MVNO as a Serviceは)モバイルサービスをライトに始めたい非通信事業者向けのサービス」(小林氏)

従来のMVNEサービスとの比較

 小林氏は、日本の全企業のうち通信事業者の割合は1.1%程度にとどまる一方で、モバイルサービスを始めるポテンシャルがある一般消費者向け事業者は49.6%を占めるとしたうえで、「これまでの45倍の企業にMVNOの提案ができるようになる」と語る。「すべての“ブランド”にモバイルサービスを」をコンセプトに、同サービスを幅広い業界に訴求していくと抱負を述べた。

ミーク 代表取締役 執行役員社長 峯村竜太氏、ミークモバイル 代表取締役社長 小林敏範氏

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  2. 2位

    ITトピック

    若手が言わない“本音の退職理由”上位は/「データ停止は景気後退よりも企業の脅威」6割/クライアントに告げずAI活用するフリーランス、ほか

  3. 3位

    ビジネス・開発

    最悪のシナリオは「フィジカルAI」による基幹産業の衰退 日本の勝ち筋は、“同期技術”と“ドメイン知識”

  4. 4位

    Team Leaders

    ファイル名が命名規則に合っているかの自動チェック、Power Automateのフローで実現しよう

  5. 5位

    TECH

    糖尿病超早期を採血なしで検出、予防へ! 代謝や臓器のつながりに着目した予防法開発

  6. 6位

    データセンター

    液冷技術の最先端が集うイノベーションラボ「DRIL」、印西のデータセンターに現わる

  7. 7位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

  8. 8位

    TECH

    “GPUなし”ノートPCで動くLLMで、ローカルAIエージェントを自作する

  9. 9位

    Team Leaders

    バックオフィス業務もAIに“丸投げ” マネーフォワードが「Cowork」機能を2026年7月に投入へ

  10. 10位

    TECH

    合成ゴムが及ばない天然ゴムの高性能のメカニズムを、現象発見から100年後に解明

集計期間:
2026年04月09日~2026年04月15日
  • 角川アスキー総合研究所