巨大GPUクラスタ「OCI Zettascale10」、データ+AIの包括基盤「AI Data Platform」など発表
オラクル“転機の年”に独自AI戦略を加速 「Oracle AI World 2025」を米国で開催
2025年10月23日 08時00分更新
価値のある推論に必要なプライベートデータ、それを握るオラクル
もう1つの「AI推論(Reasoning)」は、AIモデルを利用する側、つまりユーザー組織向けのビジネスを指している。
エリソン氏は、前出の「AIモデルのトレーニングが巨大な成長産業になっている」という発言に続けて、次のように語っている。
「ただし、『真に世界を変える』のは、モデルの開発そのものではない。世界が変わるのは、わたしたちがその卓越した電子頭脳を使い始めたときだ。つまりAIモデルを使った『推論(Reasoning)』こそが、世界を変えうる大きな可能性を持つ」(エリソン氏)
AI企業が開発するモデルは、インターネットに公開された膨大なデータを用いてトレーニングされている。その結果、人間に近いなめらかな文章を書いたり、一般知識についての幅広い質問に答えたりする能力を得た。ただし、個々の企業が非公開で持つプライベートデータは学習していないため、これだけでは適切な推論は行えず、そこから得られる価値も限定される。
この点について、前出のシシリア氏と共にCEOを務めるクレイ・マグワイク氏は、「AIがとても役立つことは明白だが、それはAIがアクセスできるデータ次第だ。むしろプライベートデータにこそ高い価値がある」と強調する。
ただし、企業が保有するプライベートデータには、AIに提供するうえで、インターネット上の公開データとは異なる課題がある。たとえば「データ保護のために適切なアクセス制御が必要」「データが複数のシステムに分散しておりアクセス方法がそれぞれ異なる」「データの文脈や意味が自明ではない」といった課題だ。
結論としてマグワイク氏は、「最先端のモデルに対して、安全かつ管理されたプライベートデータへのアクセス手段を提供する必要がある」と述べ、こうした課題をオラクルが解決していく方針を示す。
同様に、エリソン氏も「世界中で、価値の高いプライベートデータの大部分はOracle Databaseに保存されて」おり、オラクルの果たす役割は大きいとしたうえで、「すでにOracle Databaseにあるプライベートデータを、AIモデルからアクセスできるようにすることで、公開データとプライベートデータの両方に基づく推論を実現する」と述べた。









