巨大GPUクラスタ「OCI Zettascale10」、データ+AIの包括基盤「AI Data Platform」など発表
オラクル“転機の年”に独自AI戦略を加速 「Oracle AI World 2025」を米国で開催
2025年10月23日 08時00分更新
米オラクルの年次イベント「Oracle AI World 2025」が、2025年10月13~16日、米国ラスベガスで開催された。
今年のオラクルは、昨年まで続いた「Oracle CloudWorld」のイベント名を“AI”に塗り替え、イベントのキーメッセージにも「AI changes everything.(AIがすべてを変える)」という言葉を掲げた。こうした変化が象徴するように、イベントで発表された新製品/新機能も、紹介された顧客事例も“AIづくし”だった。
2人のCEOによる新たな経営体制となった転機の年、オラクルは、クラウドインフラ/ミドルウェア/アプリケーションというすべてのテクノロジーレイヤーでAI時代への対応を進め、「顧客のAI活用を支援するデータ企業」としての独自姿勢を鮮明に打ち出したと言える。
感染症死亡率も大幅に引き下げる、進行中の“AI革命”がもたらすインパクト
新CEOの1人であるマイク・シシリア氏は、1日目に行われた基調講演で、「わたしたちはいま、『AIがすべてを変える』という一世代に一度の瞬間に直面している」として、現在進行中の“AI革命”がもたらすインパクトを語った。
「AIは、もはや『テクノロジーの変化』や『新機能の追加』という言葉にはとどまらない存在になっている。AIは、顧客へのサービス提供方法、最高の人材の見つけ方、コストの節約方法、生産性の加速方法、イノベーションの方法など、あらゆる場面でビジネスのやり方を変えている。わたしたち全員がいま、この驚くべき革命の中心にいるのだ」(シシリア氏)
シシリア氏の基調講演では、オラクルの顧客企業を次々に招き入れて対談したが、そこで紹介されたのはすべて、AIに関連した活用事例だった。
そのうちの1社、ブラジルのバイオテクノロジー企業であるBiofy Technologiesは、Oracle AI Databaseのベクトルデータベース技術を利用して、70万種を超える細菌のDNAデータベースを構築。そのうえで、患者から採取した細菌が抗生物質の効かない「耐性菌」かどうかを、短時間で特定できる仕組みを作った。これにより、通常は5日かかる耐性菌の特定作業が「4時間」まで短縮できたという。
Biofy CEOのパウロ・ペレズ氏は、ブラジルでは細菌感染症の死亡率が70%程度に達していたが、耐性菌判定を早めて適切な処置を可能にするこのソリューションによって、死亡率を50%まで引き下げることができたと語った。「将来的には、この死亡率を30%以下まで低減できると考えている」(ペレズ氏)。















