最新パーツ性能チェック 第472回
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ
2025年09月24日 11時00分更新
ビデオカードの性能は、GPU自体の性能とそれを活かせるカードの設計。そしてグラフィックスドライバーで決まると言っていい。GPUを開発しているAMDなどのメーカーは、ドライバーの開発を定期的にしており、それにより新たなゲームへの最適化や新機能の実装がされている。
また、ドライバーの更新によりシステムの安定性も向上する。これは、特定のゲームやアプリケーションで発生していた不具合(バグ)が多数修正されるからだ。これらの修正により、特定の条件下で発生していた予期せぬエラーや強制終了がなくなり、よりスムーズで安定したゲーム体験が可能になる。
つまり、ドライバーを新しいものへと更新することで、ゲームパフォーマンスが向上する可能性があるわけだ。事実、海外のニュースサイト、VideoCardz.comによると、ドライバーの更新だけで27%もフレームレートが上昇し、競合製品を上回る場面も見られたという。
そこで、「AMD Radeon™ RX 9070 XT」(以下、RX 9070 XT)を用意し、リリース時のドライバーと最新のものとでパフォーマンスがどのように変化するか確かめてみたい。
ドライバーの更新でゲームへの対応やFSR 4やAFMF 2.1など新機能が利用可能
AMDは新しいバージョンのドライバーを公開する際、リリースノートにその内容をまとめている。例えば、RX 9070 XTに合わせて用意された「AMD Software 25.3.1」では、AMDの超解像度技術である「Fidelity FX Super Resolution 4」(以下、FSR 4)を新たにサポートした。
FSR 4は、RX 9070 XTなどRDNA 4アーキテクチャーに基づくGPUのみ、すなわちRX 9000シリーズのGPUが利用できる機能で、より高画質なアップスケーリングを実現する。
つまり、描画を低い解像度で処理できるようになるため、ゲームパフォーマンスが向上するわけだ。ただ、アップスケーリングを行なう際、一律に画像を大きくするとどうしても画質の劣化が発生してしまう。
そこで、FSR 4ではGPUに用意されたAI処理ユニットである第2世代AIアクセラレーターが、機械学習アルゴリズムを使用して微細なディテールを抽出して、時間的安定性と呼ばれる時間によって変化があまりない箇所を判断し、アップスケーリングの度合いを適宜変更し、画質の向上に努めている。
具体的には、動いている物体のゴーストが軽減し、煙や炎といった自然現象を表現するパーティクルエフェクトにおいてその詳細が描画されるようになったとAMDは説明している。ただし、FSR 4を利用するには、この25.3.1以降のドライバーに加えて、ゲーム側の対応が必要となる。
さらに、25.3.1では、中間フレームを生成してフレームレートを向上させる「AMD Fluid Motion Frames 2」(以下、AFMF 2)が2.1へとバージョンアップされた。AMDの説明では、このバージョンアップにより、AIによってフレーム生成が最適化され、生成フレームの画質が向上する。
しかし、AFMF 2ではフレームを生成するため、どうしても描画の遅延が発生してしまう。ところが、2.1ではその遅延も低減されているという。なお、AFMF 2.1はFSR 4とは異なり、ゲーム側のサポートを必要とせず、AMD Software側で有効にするだけで、ほとんどのゲームで利用できる点は、ゲーマーにとって大きなメリットだ。
そして、25.6.3では「モンスターハンターワイルズ」と「Grand Theft Auto V Enhanced」におけるFSR 4対応を実現。25.8.1では「VALORANT」のUnreal Engine 5版をサポートし、「Battlefield 6」のオープンβ版への対応を果たすなど、バージョンが進むにつれて新しいタイトルへの対応を進めている。
また、ゲームではないものの25.3.1で「Adobe Lightroom」や「Topaz Photo AI」、それに「DaVinci Resolve」への最適化が図られパフォーマンスが向上。ちなみに、25.3.1以降、リリースノートで最適化が謳われたゲームはなく、あくまで対応の範囲に留められている。
この“対応”がどこまでの範疇を示すのかは明示されていないため、パフォーマンスの最適化が施されたのか、とりあえず正常な動作が実現する程度なのかはわからないが、もし遊びたいと思っているゲームがあるのであれば、AMD Softwareのリリースノートでそのゲームへの対応がなされているかどうかを確認してみるといいだろう。
そして、原稿執筆時点で最新バージョンとなる25.9.1では、FSR 3.1対応ゲームでFSR 4が自動で利用できるようになった。どういうことかというと、ゲーム側でFSR 3.1を使用するように設定し、AMD Software側でFSR 4を有効にした場合、FSR 3.1ではなくFSR 4を使用して超解像度が処理され、より高画質でフレームレートの向上が実現するというわけだ。
FSR 4のデメリットの1つとしてゲーム側のサポートが必須である点を挙げたが、この25.9.1を導入することで、FSR 4サポートを果たしていないゲームでもFSR 3.1に対応していれば利用できるようになり、AMDの説明では85タイトル以上のゲームでFSR 4の恩恵を享受できるようになったとのこと。
それぞれのバージョンでは、こうした新たなゲームへの対応や新機能の実現のほかに、さまざまな不具合修正も施されている。つまり、新しいドライバーを使用することで、安定性の向上も図られているというわけだ。
25.9.1であれば、それまでのドライバーで提供される新機能やゲームへの対応も含まれているので、こういった新機能を活用したいと考えるのであれば、最新のドライバーを導入するといいだろう。
| グラフィックスドライバーの更新で得られるメリット | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| バグの修正 | ソフトウェアには、開発段階で発見されなかった小さな不具合が常に存在する。ドライバのアップデートでは、特定のゲームで画面が乱れたり、システムがクラッシュしたりする原因となるバグを修正する。 | |||||
| 最新ゲームやソフトウェアへの最適化 | 新しくリリースされるゲームやクリエイター向けソフトは、新しいグラフィックス技術を使っていることが多くある。ドライバーを最新にすることで、これらのソフトウェアとの互換性が向上し、パフォーマンスと安定性を引き出せる。 | |||||
| パフォーマンスの改善 | ドライバのアップデートには、ビデオカードの性能をより効率的に引き出すための最適化が含まれることがある。これにより、フレームレートが向上するだけでなく、システム全体の負荷が下がり、結果的に動作の安定に繋がる。 | |||||
ドライバーを変えて性能をチェック
RTX 5070 Tiとの比較も実施
では、ドライバーの更新でゲームパフォーマンスがどのように変わるか、実際に検証してみよう。今回、テストにあたり、RX 9070 XT搭載カードとしてASRockの「AMD Radeon RX 9070 XT Steel Legend Dark 16GB」を用意した。
このカードは、動作クロック設定はリファレンスどおりながらも、「Striped Ring Fan」と呼ばれるブレード表面に特殊な処理が施されたファンを3基備えたGPUクーラーを搭載したかなり冷却性能に注力したモデル。このカードを使用して、25.3.1と25.9.1でゲームパフォーマンスに差が生じるかどうかをテストしてみようというわけだ。
テスト環境には、CPUにゲーミング性能で定評のある「Ryzen 9 9950X3D」、マザーボードにビデオカードと同じASRock製の「X870 LiveMixer WiFi」を使用。そのほかのテスト環境は表のとおりだ。
| テスト環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 9 9950X3D」 (16コア/32スレッド、最大5.7GHz) |
| CPUクーラー | CoolerMaster「MasterLiquid 240L Core ARGB」 (簡易水冷、240mmラジエーター) |
| マザーボード | ASRock「X870 LiveMixer WiFi」 (AMD X870、ATX) |
| メモリー | CORSAIR「VENGEANCE RGB DDR5」 (16GB×2、DDR5-5600) |
| ビデオカード | ASRock「AMD Radeon RX 9070 XT Steel Legend Dark 16GB」 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 Ti AMP Extreme INFINITY」 |
| ストレージ | SOLIDIGM「P41 Plus SSDPFKNU020TZX1」 (2TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
| 電源ユニット | SilverStone「ST1200-G Evolution」 (1200W、80PLUS Gold) |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」 |
また、RX 9070 XTがドライバー更新によって競合製品に対して位置付けが変わるのかどうかを調べるため、比較対象として「GeForce RTX 5070 Ti」(以下、RTX 5070 Ti)を搭載したZOTACの「ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 Ti AMP Extreme INFINITY」を用意した。

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