iPhone 17徹底特集! 5.6mmと驚異の超薄型iPhone Airに、これは買いなiPhone 17と注目点多数 第37回
実機を触ってわかった! AirPods Pro 3の装着感とノイキャンがもたらす没入体験はイヤホン好き必見
2025年09月15日 21時00分更新
アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods Pro 3」は、音楽を聴くためのツールを超えて、ヘルスケアデバイスとしても便利になりました。9月19日の発売を前に実機を試したのでレポートします。
Apple H2チップが実現した
「耳に装着するコンピュータ」
AirPods Proの初代は2019年10月に発売され、アクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みモードを備える、ワイヤレスイヤホンのブームの先駆けとなりました。間にAirPods Pro 2を経て、アップグレードされた最新モデル「AirPods Pro 3」が19日に登場します。価格は据え置きの3万9800円。
第3世代のAirPods Pro 3も、アップルが独自に開発したApple H2チップを搭載しています。専用設計のAppleドライバー、内蔵するアンプと連携しながらH2チップが高度な演算処理をこなします。AirPodsシリーズのフラグシップモデルのイヤホンであるAirPods Pro 3は、さながら「耳に装着するコンピュータ」のようなデバイスです。
高性能なH2チップにより、ユーザーの耳の形、装着状態に合わせてオーディオの聞こえ方を最も良いバランスに最適化し続ける「アダプティブイコライゼーション」を搭載しています。
その機能は音楽のチューニングや音量を整える役割にとどまらず、AirPods Pro 3では外部音取り込みモードに切り替えた時の環境音の聞こえ方も調整します。2024年秋に無料ソフトウェアアップデートで、AirPods Pro 2に「ヒアリング補助機能」が搭載されたことから、アップルはAirPods Pro 3から外部音取り込みモード時に「自分の声」が自然に聞こえるようにアダプティブイコライゼーションを拡張しています。ユーザーの耳の形、装着状態を自動判定して、外部音取り込みの精度を高め、加えて新しい低ノイズマイクも内蔵してハンズフリー通話の音質も明瞭度が上がっています。
付属のイヤーチップを一新
フィット感がより向上
イヤホンはフィット感を高めるために、AirPods Pro 2から形状を変更しています。イヤホンを並べてみると、イヤーチップの先端からイヤホンの背中までの幅はAirPods Pro 3の方が少し長くなっています。そのぶん、ドライバを格納するハウジングが少しコンパクトになりました。見た目にはわかりにくいかもしれませんが、耳に装着すると形状が変わったことを実感します。
ハウジングがコンパクトになったことで、イヤーチップの先端を耳の奥まで挿入できる感覚があります。耳のサイズに合うイヤーチップを付けることで、実際にイヤホンのノズル先端が鼓膜の近くに到達するため、サウンドはより鮮やかに聴こえます。また、ノイズキャンセリング機能をサポートするイヤーチップの「耳栓効果」も高くなっています。
AirPods Pro 3の充電ケースは少し大きくなりました。フロントのLEDは点灯時のみ、その位置がわかるように隠れるデザインになりました。背面のペアリングボタンもなく、前面パネルをダブルタップするとペアリングモードが起動します。AirPods 4と同じ仕様になりました。
イヤホンと充電ケースは、どちらもIP57等級の防塵防水仕様です。汗濡れにも高い耐久性能を備えています。バッテリーの持ちも良くなって、イヤホン単体の場合、ANCをオンにした状態で約8時間のリスニングが可能です。AirPods Pro 2は約6時間でした。かわりに充電ケースを合わせたトータルの連続再生時間はAirPods Pro 2の約30時間から、AirPods Pro 3では約24時間に減っています。
充電ケースには最新のUltra Wide Bandチップが載ったことで、「探す」アプリから探索できる距離がAirPods Pro 2の約1.5倍になりました。
iOS 26の提供開始に伴い、AirPodsのファームウェアも更新されます。AirPods Pro 2とAirPods 4に追加されるスタジオ品質の音声録音機能とカメラリモート機能は、もちろんAirPods Pro 3でも使えます。
サウンドは別モノ級に進化
ノイキャン効果はきめ細やか
AirPods Pro 3のサウンドをチェックします。その前に、AirPods Pro 3の設定メニューから「音響の密閉状態をテスト」して、耳に合うイヤーチップを選択します。
AirPods Pro 3はイヤホンの形状だけでなく、付属するイヤーチップも刷新されました。イヤーチップの先端部分には、耳に挿入した後から形状が変わる柔らかいフォーム素材を封入しています。先端を指でつまんでみると、AirPods Pro 2のイヤーチップはヘナヘナしていますが、AirPods Pro 3の方は弾力感があります。筆者はAirPods Pro 2までは両側Mサイズのイヤーチップを装着していました。装着テストの結果、AirPods Pro 3は左がM、右がSという組み合わせが一番フィットするようです。
なお、AirPods Pro 3には心拍数センサーが内蔵されています。その位置はノズルの近く、イヤホン前方側の黒いオビのところにあります。この部分が耳の前面で覆われるように装着すると、ワークアウト中の心拍計測が正確にできます。
AirPods Pro 3の「設定」に追加された、正しいイヤホンの装着方法のガイダンス。ANCの効果を最大化して、ベストなサウンドを楽しむために重要なステップです。新しく内蔵された心拍数センサーによる正確な計測を行なうためにもチェックしましょう
ペアリングしたiPhoneでApple Musicの音源を再生しました。AirPods Pro 3は、前世代のモデルよりも音の鮮やかさに磨きがかかりました。楽器やボーカルの張りと艶が増して、音像もクッキリと力強く描かれます。空間オーディオの音源は言うまでもなく、ステレオ録音の楽曲まで立体的な音場の広がりが一段と豊かさを増しています。
生々しくリアルなサウンドに引き込まれました。低音がダブつくことなく、引き締まって聞こえます。iPhoneでNetflixの映像を再生すると、今まで以上にサウンドの迫力が増していることを実感できます。
アクティブノイズキャンセリング機能の効果は、アップルによると「AirPods Pro 2の2倍」に向上しているとされています。新旧モデルを交互に試聴すると、AirPods Pro 3の消音効果はただ強くかかるのではなく、オーディオリスニングの開放感を残しつつ、不要なノイズだけを正確に消してくれるような感覚があります。そのため、ノイズキャンセリングイヤホン特有の耳にかかるプレッシャーが少なく、長時間リスニングが心地よく楽しめます。AirPods Pro 2に比べると、ANCをオンにした時の低音の“こもり”が大きく解消されています。
AirPods Proの外部音取り込みモードは、ライバルのイヤホンよりもクリアに環境音が取り込めることで定評があります。AirPods Pro 3は聞こえてくる環境音の明瞭度が一段と高くなりました。特に装着した状態でユーザー自身の声を含む「人の声」が聴きやすくなっています。
新機能のライブ翻訳と心拍計測を試す
AirPods Pro 3には「ライブ翻訳」の機能もあります。iOS 26を搭載するiPhoneのApple Intelligenceと「翻訳」アプリを活用して、AirPodsを装着しながら目の話者との会話を自動翻訳してくれる機能です。AirPods Pro 3、Pro 2のほかアクティブノイズキャンセリング機能を搭載するAirPods 4で利用できます。
対応する言語は、AirPods Pro 3の発売当初は英語/フランス語/ドイツ語/スペイン語/ポルトガル語の5つ。日本語は年末までに対応する言語の中に含まれているため、今回は先日のApple Eventの動画を英語で再生しながら、フランス語でライブ翻訳を試しました。
登壇者が1フレーズを読み終わると、少し遅れてそのフレーズの頭からライブ翻訳が付いてくるスピード感です。止まることなく進む動画の場合、やや翻訳が遅れてくるストレスを感じますが、対面の会話であれば相手が少し話すペースを落としてくれたりもするので、十分に実用的な使い勝手かもしれません。日本語ではどうなるのか楽しみです。
あらかじめiPhoneに各言語のライブラリを含む翻訳モデルをインストールしておけば、iPhoneがオフラインの状態でも利用できます。
新機能の心拍計測も試しました。AirPods Pro 3の心拍数センサーはワークアウト中に起動して、不可視光を毎秒256回放ちながら耳の皮膚による血流の光吸収を測定します。イヤホンは耳の皮膚に密着するため、汗の影響なども受けやすいリストバンドタイプのデバイスよりも、正確な心拍計測ができると言われています。
iOS 26から、iPhoneのフィットネスアプリにワークアウトの選択と計測のメニューが加わります。ワークアウトを開始すると、AirPods Pro 3で計測する心拍数と消費カロリーのステータスがリアルタイムに画面に表示されます。
なお、Apple Watchを併用しながら計測すると、フィットネスアプリが定期的に心拍数データを解析して、より信頼性の高いデータを自動的に識別しながら記録します。合わせ技により、正確な心拍と消費カロリーの計測ができるというわけです。
アップルのHealthKitというフレームワークにより、ユーザーの心拍数などのヘルスデータを外部アプリ・デベロッパが活用できる仕組みがあります。今後はAirPods Pro 3で音楽を聴きながら、健康的にワークアウトを楽しむ時間がさらに充実しそうです。
筆者はアップルが2023年に発売したAirPods Pro 2(USB-C)を数あるワイヤレスイヤホンの中でもよく使っています。バッテリーの劣化はまだないので、まだ第3世代に買い換える必要はないかと思っていました。でも一段と磨きをかけたサウンドを聴いてしまうと物欲が一気に膨らんできます。
これから買い換え・買い増しを検討する方は、お店などで今使っているAirPodsとぜひ聴き比べてみてください。

筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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