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仮想化基盤にオープンソースの選択肢、サイバートラストとの協業で品質・サポート強化も

「“脱VMware”の市場ニーズをすでに実感」 NTTデータがKVM仮想化基盤を提供開始

2025年08月01日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 NTTデータは、オープンソース(OSS)の仮想化ソフトウェア「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」を利用した、仮想化基盤の管理・運用サービス「Prossione Virtualization(プロッシオーネ バーチャライゼーション) v1.0」を、2025年7月31日より提供開始した。

 同サービスは、KVM仮想化基盤の運用ハードルを下げるソリューション。提供の背景には、国内企業における「主権(ソブリンティ)確保」への要望と、仮想化市場における「脱VMware」の動きがある。

 まずv1.0では、仮想化基盤運用で共通して必要な機能を展開。今後は、サイバートラストとの協業により品質やサポート体制を強化しつつ、提供メニューや高度な機能を拡充していく。

 NTTデータの執行役員 テクノロジーコンサルティング事業本部長である新谷哲也氏は、「VMwareの買収により、特に、仮想基盤だけを利用したい企業に不満が募っている。本ソリューションは、そうした企業の新たな選択肢。社内外からかなりの反響があり、市場で強いニーズがあると実感した」と説明する。

NTTデータ 執行役員 テクノロジーコンサルティング事業本部長 新谷哲也氏

オンプレミス仮想化基盤の新たな選択肢を提示

 新谷氏は、現在のAI活用ニーズの高まりや、国際情勢の変化などを背景として、「データや運用の主権を確保したシステム基盤への要望が高まっている」と説明する。NTTデータでは、2024年10月に、金融・公共向けのクラウド基盤「OpenCanvas」でオラクルの「Oracle Alloy」を採用。NTTデータが運用主権を確保したパブリッククラウドとして提供している。

 一方、オンプレミスの仮想化基盤については、OSSの高い透明性による主権確保を提示している。そこで選択したのが、Linuxに含まれるサーバー仮想化ソフトウェア「KVM」である。

 NTTデータは、長年KVMのシステムを開発・運用してきた実績を持つ。金融業界向けシステムへのKVM適用に加えて、社内の統合開発クラウドでもKVM仮想化基盤を運用してきた。さらに、OSS専門の技術者集団も抱えている。「ある意味で“KVMを提供しなければならない”という状況」(新谷氏)

「Prossione Virtualization」の提供背景

 これらの実績や知見、人材を基に、VMware製品の乗り換えを検討する企業を中心に提案するのが「Prossione Virtualization」である。

「Prossione Virtualization」の概要

「共通して必要な機能」から始め、来春には大幅な機能拡充を予定

 Prossione Virtualizationでは、管理ツール「Prossione Virtualization Manager」と上述のOSS専門技術者によるプロダクトサポートが提供される。

 NTTデータのソリューション事業本部 OSSソリューション統括部長である濱野賢一朗氏は、「KVMは、ハイパースケーラーのIaaSなどでの実績は豊富なものの、設計や設定、運用には高度なノウハウが求められる」と説明する。こうしたKVMの導入障壁を解消するのが、Prossione Virtualization Managerだ。

NTTデータ ソリューション事業本部 OSSソリューション統括部長 濱野 賢一朗氏

 今回提供開始したv1.0では、まずはKVMを運用するにおいて、「共通的に絶対に欲しい」(濱野氏)とされる機能を厳選して提供する。主な利用手順は、KVMを利用した仮想基盤を構築、KVMが動作するホストサーバーにエージェントを、管理サーバーにコントローラーをインストールする形となる。

「Prossione Virtualization 1.0」の利用イメージ

 v1.0の主な機能は、「ホスト・仮想マシンの一元管理」だ。多数のホストサーバーや仮想マシンを一元的かつ直観的に把握でき、管理の煩雑さを解消する。

ホスト・仮想マシンの一元管理

 もうひとつの機能は、「仮想化基盤運用作業の簡易化」だ。メンテナンスや負荷分散のための「ライブマイグレーション」などの作業を、画面からの確認・操作で、容易に実行可能だ。

仮想化基盤運用作業の簡易化

仮想マシンの移行先ホストを選択する様子

 ある意味で、Prossione Virtualizationの本格展開が開始されるのは、2026年春に提供予定の「v2.0」からになる。このタイミングで、高可用性を実現するホストサーバー故障時の仮想マシン自動復旧や、他の仮想基盤からの仮想マシンのデータ移行、仮想マシン用のストレージ・ネットワークの管理など、より高度な機能を拡充する。

「Prossione Virtualization」のロードマップ

 Prossione Virtualizationの提供形態は、年単位でのサブスクリプションで、KVMが稼働するホストサーバーあたり90万円(標準価格・税別)で提供する。現時点では、ホストサーバーおよび管理サーバーの対応OSは「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のみであり、RHELのサブスクリプションは別途用意する必要がある。

 RHELの調達を望まなかったり、製品ライフサイクルの足並みを揃えたい企業に対しては、協業するサイバートラストによる「AlmaLinux」のサポートサービスを同梱した別メニューも用意する。こちらは2025年秋からの提供予定で、年額96万円(標準価格・税別)を予定している。その他にも、システムインテグレーションやトレーニングのオプションサービスも提供する。

「Prossione Virtualization 1.0」サービスメニュー

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