みなさま、こんにちは。
三菱一号館美術館では、「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」展(https://mimt.jp/ex/renoir-cezanne/)を開催中です。この展覧会は、フランス、パリのオランジュリー美術館が、ルノワールとセザンヌという2人の印象派・ポスト印象派の画家に初めて同時にフォーカスし、企画・監修をした世界巡回展で、日本では当館のみの開催です。
さて、当館が立地する東京・丸の内には、美術館の他にもアートに触れられる場所があります。本日はこの7月に作品の(一部)入れ替えが行われた、「丸の内ストリートギャラリー」を紹介したいと思います。
「丸の内ストリートギャラリー」は1972年(昭和47年)にスタート。三菱地所株式会社と公益財団法人彫刻の森芸術文化財団が、 芸術性豊かな街づくりを目指し、丸の内仲通りを中心に近代彫刻や、世界で活躍する現代アーティストの作品を、 数年に一度入れ替えながら展示していくプロジェクトで、現在も続いています。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/
「丸の内ストリートギャラリー」としてご存じない方でも、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアのワーカーの方、丸の内仲通りを歩いたことがある方は知らず知らずのうちに目にしているかもしれません。
この度、4点がこの企画のために作られた新作として加わりました。その他、入れ替え作品3点、継続作品10点、合計17作品が丸の内仲通りに展示されています。新作を制作するにあたってのコメントやインタビューも以下のリンクよりご覧になれます。作家の方の想いが分かって、作品への理解が深まります。
◆新作4点と作家のコメント
Whirling Journey 中村萌
ゆっくりと、でも確かに、
内側の世界はまわり続けている。
何度も立ち止まりながら、
見えないものたちとすれ違いながら、
わたしはわたしを、育てていく。
混沌の渦をこえて、
その先に見えたひかりが、
今も、静かに瞬いている。
まわって、戻って、また少しちがう「わたし」へ。
どこか遠くて、でも確かに自分の中にある旅のかたち。
この作品が、そんな誰の中にもある、静かで力強い旅の存在を、
そっと思い出させてくれるようにと願っています。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/artist/moe-nakamura.html
眠りながら語らい、歌う 山本桂輔
地底には無数の生命が存在し、そして数十億年の営みの歴史が刻まれています。忘れられていく、無名で無数の物と事。そして思いや願い。地底という場所は、全てが溶け込み、混在している世界のように感じます。 茸は、本体は地底にある菌糸体であり、胞子飛散の為の仮の姿として、目に見えない菌糸が集積されて形作られたものです。 地底と大地と空を繋げるものが樹木であり、イメージはそこを通って生成されています。様々なものが戯れ、集積され、茸のように少しずつ形が現れていきます。それはあたかも地底のサーカス、地底王国の宴のようといえるかもしれません。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/artist/keisuke-yamamoto.html
Symbiosis(共生) 佐藤正和重孝
フンコロガシが何かを運んでいる---このユーモラスな光景は、実は環境浄化の一場面で、生き物たちによる浄化作業は、地球のいたるところでおこなわれている。彼らは大真面目で生きているのだが、その姿は微笑ましくもあり、またかけがえなく美しくもある。しかもそれがお互いの生を助け合うことになっているのだから、神々しくさえ思えてくる。甲虫の美しいカタチ、それはわたしにはまぎれもなく彫刻として感じる。わたしはそれを石を通して、発現させる。「ヒト」も彼らと共生できる、隣人の一員であると信じて。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/artist/seiwa-shigeyoshi-sato.html
No.2506031 イワタルリ
私は溶けて熱いガラスが好きです。 これが人それぞれの存在感に変化するからです。溶けているガラスは形を持ちません。それが人それぞれによって変化し、表現されるのです。生きていることは存在するということです。 私は自分の存在を確かめたいのです。感じたいのです。生きるということは私にとって実感することです。生きることは尊いことです。ですから私は戦争に反対します。私達は私達の存在感をそれぞれの生き方で尊重し合い大切にしましょう。 私はそんなことを考えながら制作を通して表現をしています。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/artist/ruri-iwata.html
一気にめぐるのももちろんよいですが、設置期間が長いので、(今回も3年ぶりの入れ替えです)ランチのついで(好きな飲食店や、キッチンカーの近くにある作品から…)や、職場の近くの作品からというように、日々の生活に取り入れながら、じっくりと作品と向き合ってみるのも楽しいと思います。気に入った作品があれば、時間帯や季節の変わり目に何度も会いに行ってみてください。作品たちは昼も夜も変わらず、皆さまをお待ちしています。
<ご参考:作品の理解をもっと楽しむ!>
耳で体験する、新しいアートの世界。
丸の内ストリートギャラリー×MRプラットフォーム「Auris」
各作品にまつわるエピソードや、丸の内の歴史を織り交ぜた、「アートと丸の内を楽しむ」オリジナルのガイドストーリー。丸の内ストリートギャラリーに配置されたアートの前で、視覚だけでは受け取ることのできない、作品の背景や物語、空気感をお楽しみください。
期間:7月8日(火)〜提供開始(利用時間は10時〜18時)
場所:丸の内仲通り(丸の内ストリートギャラリー)
詳細はWEBサイトにてご確認ください。
https://www.marunouchi.com/pickup/event/7085/
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