MSIのTitan 18 HX AI A2XWをレビュー、CPUだけで最大250Wに衝撃
こんなゲーミングPCを気楽に買える人生が欲しかった Core Ultra 9 285HX&RTX 5090 LTで約100万円のロマンに浸る
2025年07月25日 10時00分更新
2年前のハイエンドゲーミングノートPCと比較
さて、ここからがパフォーマンス検証となる。今回は比較対象に2023年に登場した第13世代Coreプロセッサーを搭載したRazer製ノートPC「Razer Blade 16 (2023)」を準備した(当時のレビュー記事)。自作PC向けのCPUやGPUレビューのように条件を揃えられないという前置きは必要だが、Arrow Lake-HXを搭載したノートPCが2年前からどう進化したのかご覧いただきたい。
どちらの環境もGPUドライバーは検証時点の最新版であるGameReady 576.88を使用。メモリー保護やカーネルモードハードウェア強制スタック保護は有効にしている。CPU内蔵GPUとRTX 5090 LTの切り替えはNVIDIAの推奨するDDS(Dynamic Display Switch。要するに現在のデフォルト設定)を用い、Optimusではなない点に注意してほしい。
| Titan 18 HX AI A2XWの主なスペック | |
|---|---|
| CPU | インテル「Core Ultra 9 285HX」(24コア/24スレッド、最大5.5GHz) |
| グラフィックス | GeForce RTX 5090 Laptop(24GB、GDDR7) |
| メモリー | 64GB、DDR5-6400 |
| ストレージ | 6TB SSD RAID 0(2TB SSD×3、PCIe 4.0) |
| ディスプレー | 18型(3840×2400ドット/リフレッシュレート120Hz) |
| 通信規格 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
| インターフェース | Thunderbolt 5(USB PD対応)、USB Type-A(10Gbps)×3、HDMI、SDカードリーダー(SDXC対応)、オーディオ入出力(4極プラグ対応) |
| サイズ/重量 | 404(W)×307.5(D)×32.05(H)mm/約3.6kg |
| OS | Windows 11 Pro(24H2) |
| Razer Blade 16(2023)の主なスペック | |
|---|---|
| CPU | Core i9-13950HX (24コア/32スレッド、最大5.5GHz) |
| グラフィックス | GeForce RTX 4090 Laptop(16GB、GDDR6) |
| メモリー | 32GB、DDR5-5600 |
| ストレージ | 1TB SSD×2(PCIe 4.0) |
| ディスプレー | 16型(3840×2400ドット/リフレッシュレート120Hz) |
| 通信規格 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
| インターフェース | Thunderbolt 4(PD対応)、USB Type-C(PD対応、10Gbps)、USB Type-A(10Gbps)×3、HDMI 2.1、SDカードリーダー(UHS-II対応)、オーディオ入出力(4極プラグ対応) |
| サイズ/重量 | 355(W)×244(D)×21.99(H)mm/約2.45kg |
| OS | Windows 11 Home(24H2) |
結果は大勝、理由は技術の進歩?それとも電力消費量の差?
本稿はArrow Lake-HXのパフォーマンス観察に主眼を置いているので、CPUの馬力対決から見ていこう。
「CINEBENCH 2024」
CPUの馬力対決と言えば、CINEBENCH 2024である。Razer Blade 16 (2023)に搭載している「Core i9-13950HX」は24コア/32スレッド。つまり、論理コア数はCore Ultra 9 285HXよりも8基多い。マルチスレッドテストではその8基ぶん有利になりそうだが、Core Ultra 9 285HXは2世代新しく、Titan 18 HXはMTPも220Wと電力を豊富に使える巨艦設計だ。ここがどう結果に影響してくるのかチェックしたい。
マルチスレッドテストでは、Titan 18 HXのCore Ultra 9 285HXがRazer Blade 16 (2023)のCore i9-13950HXを軽く超えるどころか、ダブルスコアーというにわかには信じがたい結果を出した。新アーキテクチャーの前にはコア数のハンデなぞ関係ないといったところか。
ただし、純粋にCore Ultra 9 285HXのアーキテクチャーの勝利というわけではなく、Titan 18 HXのMTP設定が220Wと非常に高い(=電力を惜しみなく使える)という点も寄与しているはずだ。しかし、残念ながらどこまでがMTPのおかげなのかまでは、このデータから読み取ることはできない。
シングルスレッドにおいてもCore Ultra 9 285HXが勝利した。とはいえ、こちらはCore i9-13950HXの15%増し程度にとどまっている。シングルスレッドテスト中におけるCPU Package Powerはマルチスレッドテスト時よりもぐっと低く、Titan 18 HXのCore Ultra 9 285HXの場合でも32〜40W程度だった。
最大140Wまで伸びることもあるがほんの一瞬で落ちるため、MTP 220W設定が強く影響するとは考えにくい。つまり、マルチスレッドテストの結果はTitan 18 HXがMTPを大盛りにしている影響が強い可能性があるが、シングルスレッドテストの場合はArrow Lake-HXのアーキテクチャーの優位性であると考えられる。
「Blender Benchmark」
続いてはBlender Benchmarkだ。バージョンは「v4.4.0」を指定し、CPUでレンダリングしたスコアーを比較した。
Blender Benchmarkもマルチスレッド処理だが、CINEBENCH 2024のマルチスレッドテストよりも差は大きくなった。ノートPCの場合、これを「電力を注ぎ込んでブン回している」と表するのは少々意地悪な言い方である。電力を注ぎ込んでも安定動作できるMSIの技術力があってこそ、このスコアーが出たとポジティブな評価をしたいものだ。
「Office 365」(UL Procyon)
続いてはUL Procyonに収録している「Office Productivity Benchmark」だ。Office 365を実務っぽいシナリオに沿って動かし、その処理時間からスコアー化するテストである。今回は比較対象が2製品しかないため、Wordなど各テストのスコアーのみを比較することにしよう。
今回の検証結果は、WordとExcel、PowerPointとOutlookの2つのグループに分かれているように見える。つまり、新旧CPUの差があまり出なかったPowerPointとOutlookに対し、WordとExcelはCore Ultra 9 285HXを搭載したTitan 18 HXのスコアーがよく伸び、Core i9-13950HXのRazer Blade 16 (2023)をだいぶ引き離している。
全体的にCINEBENCH 2024やBlender Benchmarkのような大差がつかなかった理由は、Office 365の処理ではマルチスレッド処理があまり使われていないためだ。また、その中でも差が比較的大きいWordとExcelはマルチスレッド性能が重視される(つまり、処理の並列度が高い)処理のようだ。















