2025年5月5日、マイクロソフトはSkypeのサービスを停止した。22年前に生まれた老舗のIP電話サービスがいよいよ終止符を打ち、今後はTeamsの利用が推奨されることになる。
Skypeのなにがすごかったのか? 「無料IP電話の始祖」と言われることもあるが、インターネット電話やチャット自体は1990年代後半からさまざまなサービスがあった(関連記事:さらばSkype! Windows&MSのコミュニケーションアプリの30年)。クラウド電話というアーキテクチャも実はSkype後期から採用されたもので、当初はクライアント同士が通信するP2Pというアーキテクチャ(Winnyと同じ)を採用していた。つまり、Skype自体が技術的にすごく斬新だったかというと、実はそういう訳でもない。強いて言うと、開発元のSkype Technologiesがルクセンブルグ発のIT企業というのが珍しかったくらいだ。
ただ、登場のタイミングが絶妙だった。2003年は、ちょうどブロードバンドが普及し、インターネット電話のボトルネックだった帯域の問題が解消されつつある時期。ドットコムバブルの崩壊で、次のキラーアプリケーションが求められた時期にキラ星のごとく現れたのがSkypeだった。やはりサービスは先進性より、世に送り出すタイミングが重要だ。当時はスマホ登場前だったが、着信を待ち受けるべくWindowsのタスクバーに常駐していたシンプルなSkypeは、今から考えればスマホアプリに見えなくもない。電話やチャットといった「コミュニケーションがアプリになる」という世界を、われわれに見せてくれたのがSkypeではないかと思う。
スマホとAI前提に世代交代を遂げたコミュニケーションツールの世界では、Skypeはすでに引退選手。マイクロソフトもよく14年間もホストしてきたと思う。いわゆる「サ終」はさまざまなトラブルやハレーションが起こりがちだが、今回のSkypeの終了は「安らかに眠れ」という厳かなお別れが似合う。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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