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石川温のPCスマホニュース解説 第230回

【解説】ドコモ対Colt、接続料訴訟の裏に“音声通話”悪用スキーム

2025年03月27日 07時00分更新

文● 石川温

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過去には「トラポン」めぐり逮捕者も

 例えば、NTTドコモからA社に発信した通話が大量にあっても、AからNTTドコモに発信が全くなければ、NTTドコモからA社にだけ接続料が支払われるようになる。

 悪意を持ったX社がNTTドコモで「かけ放題オプション」を契約したSIMカードを大量に調達し、コンピューターを使ってA社に年がら年中、音声通話をつなぎっぱなしにする。するとX社は1回線あたり基本料金と1980円のオプション料金はかかるが、A社はNTTドコモから多額の接続料を得られることになる。この際、A社からX社に対して発信量に応じて接続料の一部を報酬として支払う「着信インセンティブ契約」というもの存在するという。つまり、X社はA社を通じて、大もうけができるというわけだ。

 ちなみに、2021年7月にはNTTドコモが支払った100億を超える接続料のうち、約30億円が電話再販会社「BIS」に流れていたとして、逮捕者が出ている。当時の朝日新聞によれば、120回線でかけ放題オプションを契約。2020年7〜8月、約30万回、約7万3590時間にわたって発信していたという。

 このBIS関係者が逮捕された際、トラフィック・ポンピングにColt社が関わっているという疑いが判明した。NTTドコモがColt社にトラフィック・ポンピングの説明を求めた際、内容については守秘義務を理由に情報開示を拒んだが、着信インセンティブ契約の存在は認めたという。

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