RTX 5070 Ti・4070 Ti・RTX 4070、Radeon RX 7900 XT・GREとも比較
GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる
2025年03月04日 23時00分更新
RTX 5070 Tiとは異なるコアを採用
前述の通り、RTX 5070はRTX 5070 Tiとは異なるコアがベースになっているため、VRAM搭載量やメモリーバス幅はRTX 5070 Tiよりも規模が小さい。GPUの世代が1つ繰り上がると1世代前の格上モデルに下剋上、という近年の傾向をそのまま適用すると、RTX 5070はRTX 4070 Tiに対抗できるモデルと想定できる。
描画性能を左右しやすいSM(Steaming Multiprocessor)数では、RTX 5070はRTX 4070 Tiの80%にとどまる。しかし、RTX 5070はGDDR7を採用することで、約33%太いメモリー帯域(672GB/sec対504GB/sec)を獲得している。SM数が効く処理ではRTX 4070 Tiに負ける可能性はあるが、WQHD以上の解像度ではRTX 5070が優越する可能性が高い。
ただし、VRAM搭載量が12GBであるため、4Kで運用するには画質をやや控えめにする必要も出てくるだろう。このあたりがRTX 5070 Tiと決定的に異なる点だ。また、RTX 5070のTGP(Total Graphics Power)は250W。RTX 4070ほど低くはないが、SM数の多いRTX 4070 Tiよりは控えめと言える。
ここまでTGPを抑えてあれば、発火のリスクに神経を尖らせる必要はないと思われる。とはいえ、補助電源ケーブルは無理に曲げない、良質なものを使う、しっかり奥まで挿し込むといった基本はおさえて組み込むべきだろう。
Power LimitのW読みは定格250W、オーバークロック(以下、OCと略)ツールを利用することで最大275W(110%)まで引き上げられる。一般に流通するファクトリーOCモデルの場合、このデフォルトが引き上げられているモデルもあるだろう
RTX 50シリーズを使う最大のメリットは「DLSS Multi Frame Generation」(以下、DLSS MFGと略)対応であることだ。DLSS Frame Generation(以下、FGと略)よりもさらに中間フレームのコマ割りを増やすことで、より滑らかなゲーム画面を堪能できる。
ただし、RTX 5070では画質や解像度を欲張りすぎると、GPUパワーやVRAM不足でGPUがエンスト気味になり、折角のDLSS MFGが活きてこない可能性もある。これはゲームの設定画面と相談しながら決めると良いだろう。
もう1つはドライバーレベルでフレーム生成を行う「Smooth Motion」だ。DLSS FG非対応ゲームでもフレームレートのブーストが得られる。DirectX 11/12のゲームに限定される点や、まだ出始めなので不具合もあるなどの制約や懸念事項もあるが、旧世代GeForceでいまひとつフレームレートが伸びないゲームで絶大な効果が期待できる。
そのほか、eSports系ゲーム向けの「Reflex 2」対応が早い(「VALORANT」などが対応予定)ことや、次世代の描画テクニックである「ニューラルレンダリング」でも性能を発揮できる設計になっている。TensorコアがFP4に対応しているので、FP4ベースの学習モデルを使えばVRAMやストレージを圧迫しづらいといった将来への投資的な側面もある。
クリエイター向けの要素としては、4:2:2 10bitカラーフォーマット対応のNVEncとNVDecだが、RTX 5070の場合はNVEncもNVDecも1基ずつになっている。「DaVinci Resolve Studio」などで動画エンコード速度を1秒でも短縮したければ、NVEnc2基、NVDec1基のRTX 5070 Ti以上を選びだいたいところ。
RTX 40シリーズとRTX 50シリーズの兄弟分と対決
今回の検証環境はRTX 5070 Tiのテスト(前編・後編)から若干日数が経過していること、さらに間もなく到来する別ハード検証との兼ね合いから、メモリーモジュールを少々変更。ただし、メモリークロックはDDR5-5600とした。RTX 5070の比較対象には、1つ上のRTX 5070 Tiのほか、前世代の同格からRTX 4070 TiおよびRTX 4070を、そしてCES 2025の発表時において比較対象にされたRTX 4090を準備した。
RTX 5070がRTX 4090に勝てる条件は、RTX 50シリーズ最大の武器であるDLSS MFG(Multi Frame Generation:マルチフレーム生成)を利用した時だが、基本的ベンチマークやAIといった用途でも検証しないわけにはいかない。RTX 30シリーズはシンプルにスケジュールが厳しいため除外。なお、Radeon勢はRX 7900 GREのほか、RX 7900 XTを準備している。
消費電力系のデータはすべてHWBustersの「Pownetics v2」を用いて計測するが、PCI Express x16スロットに流れる電力も計測したいのでスロットに測定用のライザーカードを装着している。そのため、事前にPCI Express x16スロットのリンク速度はPCI Express 5.0ではなく同4.0に設定し直している(これがないと起動しない)。
RTX 5090〜RTX 5070 Tiのレビューで示した通り、RTX 50シリーズはPCI Express 4.0で動かしても性能低下は大きくて2%、差がない場合もしばしばあったので問題ないと判断した。よってすべてのデータはPCI Express 4.0環境で取得している。
また、GPUドライバーはGameReady 572.50 およびAdrenalin 25.2.1を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性やHDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。
| 検証環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 7 9800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.2GHz) |
| CPU クーラー |
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
| マザー ボード |
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.18.AS02) |
| メモリー | Crucial「Crucial Pro CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用) |
| ビデオ カード |
Palit「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro」(16GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 5070 Founders Edition」(12GB GDDR7)、 NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」(24GB GDDR6X)、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」(12GB GDDR6X)、 NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」(12GB GDDR6X)、 AMD「AMD Radeon RX 7900 XTリファレンスカード」(16GB GDDR6)、 ASRock「AMD Radeon RX 7900 GRE Steel Legend 16GB OC」(16GB GDDR6) |
| ストレージ | Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
| 電源 ユニット |
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2) |

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