本懐を遂げる鍵はDLSS MFGだが、AFMF 2相当の機能も密かに実装
ゲーム15本検証でGeForce RTX 5080がRTX 4090に勝利、ただし……
2025年02月05日 11時00分更新
「Marvel Rivals」
Marvel RivalsはNVIDIA Appを利用して、DLSS MFGにオーバーライドできるゲームである。画質は「最高」、DLSSとFSR 3は「クオリティー」に設定し、フレーム生成も有効化。
なお、RTX 5090およびRTX 5080は、DLSS FGとMFG(3フレーム挿入)使用時の違いも比較する。訓練場で一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
DLSS MFGを使わない場合、RTX 5080はRTX 4080 SUPERより最大15%程度上回るにすぎない。しかし、DLSS MFGをプラスすることで、RTX 4080 SUPERの2倍近いフレームレートを出すことに成功した。
ここまで見てきたタイトルでは、RTX 4080 SUPERとの差異が微妙だったが、DLSS MFGを加えてようやく新世代GPUらしさが発揮されるようになってきた、と言える。
動作中における“TBPの平均値”に関しては、RTX 5080はRTX 4080 SUPERとほぼ変わらない。DLSS MFGを利用すると若干TBPは上昇するものの、RTX 5090ほどではない。
むしろRTX 5080の場合、DLSS MFGを使用しても平均TBPは“誤差程度”と言える。いかにRTX 5090のスペックや挙動が規格外であるか再認識させられる。
「Alan Wake 2(Beta)」
Alan Wake 2はテスター向けに配布されたβビルドで検証したRTX 5090レビュー時と同様に、遠距離にあるオブジェクトの描写に軽微な不具合があるビルドのため、正式リリース版とは若干変わっている可能性がある。
画質はレイトレーシングを含めてすべて最高設定とし、DLSSは「クオリティー」にして、フレーム生成を有効化。また、このβビルドではゲーム内の画質設定において、DLSSはCNNとTransformerを切り替えられる。
そのため、RTX 50シリーズはTransformerのみで検証し、RTX 4090やRTX 4080 SUPERでは、TransformerとCNNの2パターンで比較した。ちなみに、このゲームもRadeon環境ではレイトレーシングの設定上限値が低くなるので、テストから除外している。
RTX 5080はDLSS MFGのない状況だと、RTX 4090を下回る。また、平均フレームレートこそRTX 4080 SUPERに勝ったが、最低フレームレートでは負けるなど、新世代GeForceとしてはシャキッとしない結果だ。
しかし、DLSS MFGが加わると一気に情勢は変わる。RTX 5090以上にDLSS MFG頼りの性能であることは明らかだ。
フルHDやWQHD設定におけるRTX 5080のTBPは、DLSS MFGがなくてもRTX 4080 SUPERよりも低い。重めのレイトレーシング処理においてはメモリー帯域も重要になるが、GDDR7を採用したことでメモリーアクセスの頻度を下げても十分な性能が確保できることが示唆されている。
「Cyberpunk 2077」
Cyberpunk 2077は、RTX 5090レビュー解禁と同時にDLSS MFGに対応した正式版を使用している。画質は「レイトレーシング:ウルトラ」、DLSSとFSR 3は「クオリティー」、フレーム生成も有効化。
ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測。こちらもAlan Wake 2と同様、RTX 4090とRTX 4080 SUPERのみ、CNNベースのDLSSにおけるパフォーマンスも検証している。
Cyberpunk 2077におけるRTX 5080の評価はAlan Wake 2と共通である。DLSS FGだけの状態では、RTX 4080 SUPERを強めにオーバークロックした程度の性能しか出せない。
しかし、DLSS MFGを利用することでRTX 4090をも上回ることができる。幸い、このゲームではIndiana JonesほどVRAMを要求しないため、4K設定でも快適にプレイできるフレームレートは出せている。
RX 7900 XTXのフレームレートについては、”RDNA 3のレイトレーシング性能の弱さがすべて”と片付けても良いところではあるが、フレームタイムの出方については言及しておきたい。
まず、今回の検証ではフレームタイムは画面に更新がかかる瞬間で判断する、MsBetweenDisplayChangeを利用して計算している。この新基準でもこれまでの検証では特に問題は出ていない。
しかしながら、Cyberpunk 2077においてはMsBetweenDisplayChange基準で判断すると、最低フレームレートがやや低めに出る。旧来のMsBetweenPresents由来の判定を使う場合、RX 7900 XTXだとフルHD・WQHD・4Kで、それぞれ89.96fps・58.82fps・28.85fpsとなる。
MsBetweenDisplayChangeのデータをそのまま採用する場合は、FSR 3のフレーム生成は特定条件においてフレームペーシングに問題を抱えていると言える。ただし、ビデオ解析した上でフレームペーシングに問題ありと判断しているわけではないので、あくまでログに残ったデータを分析した範囲での観測と考えていただきたい。
Cyberpunk 2077+WQHD環境におけるRX 7900 XTXのフレームタイムの分析結果。緑のラインはMsBetweenDisplayChangeから求めた画面の更新時間の推移だが、1フレームごとにフレームタイムの変動が激しく上下するためにこんな図になる。この時の最低フレームレートは42.91fpsであることに注目
上のグラフを拡大すると、緑の線が1フレームごとに激しく上下していることがわかる。緑の線に隠されるように青い線が描かれているが、これが毎フレームの処理時間、すなわちフレームタイムの推移である。これがFSR 3によるフレーム生成の仕様なのか、それともCyberpunk 2077側の実装ミスなのかは不明だ
TBPやワットパフォーマンスの傾向はMarvel RivalsやAlan Wake 2と同じ。ここでもフルHDやWQHDでは、RTX 4080 SUPER>RTX 5080となる点に注目したい。

この連載の記事
-
第33回
トピックス
NVIDIA「GeForce RTX 5050」4万4800円から 7月下旬発売 -
第32回
自作PC
GeForce RTX 5060をゲーム11本でベンチマーク、「これでいい」と「VRAM 8GBはつらい」のせめぎ合い -
第31回
自作PC
GeForce RTX 5060、旧世代に動画エンコードやAIの強さを見せつける -
第30回
自作PC
GeForce RTX 5060をプレビュー、VRAM 8GBでも安ければ許される? -
第29回
自作PC
GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない -
第28回
自作PC
GeForce RTX 5060 Ti 16GBをゲーム13本で性能検証、RTX 5070の微妙な立ち位置が浮き彫りに -
第27回
自作PC
GeForce RTX 5060 Tiの16GB版を検証、“xx60 Tiの欠点”は克服できたのか? -
第26回
PCパーツ
NVIDIAがGeForce RTX 5060 Ti&RTX 5060を投入、299〜429ドル帯の最新GPU -
第25回
自作PC
フレームレート集計に革命!?NVIDIAのAIフレームワーク「Project G-Assist」でベンチマークライターは失業する? -
第24回
PC
バッテリー駆動時間ものびる? Razer Blade 16 (2025)でノートPC向けGeForce RTX 5090のゲーミング性能を検証 -
第23回
PC
GeForce RTX 5090 Laptop搭載ゲーミングノートPC、Razer Blade 16 (2025)で内なる平穏を得る - この連載の一覧へ
























