最高の画質&フレームレートで遊びたい人にとっては福音である
GeForce RTX 5090をゲーム15本で検証、DLSS MFGでRTX 4090を圧倒!!
2025年01月28日 10時00分更新
「Marvel Rivals」
ここより先はレイトレーシングに加え、RTX 50シリーズの本領であるDLSS MFGに対応するゲームでの検証となる。Marvel Rivalsはテスト用βドライバーの段階で、NVIDIA Appを利用してDLSS MFGに対応しているゲームである。
画質は「最高」、DLSS は「クオリティー」に設定し、フレーム生成も有効化。RTX 5090はDLSS FGとMFG(3フレーム挿入する「x4」設定)使用時の違いも比較する。訓練場で一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
フルHDかつDLSS FGのみの状態でも、RTX 5090はRTX 4090を平均フレームレートで20%程度上回っているが、解像度を上げるほどに優位性が際立つという、ほかのゲームと似たような傾向も見られる。最終的には、4KにおいてRTX 4090より50%上のフレームレート(平均・最低ともに)を示した。
そして、DLSS MFGを有効にすると、平均フレームレートはDLSS FGの約1.7〜2倍になる。RTX 5090の主戦場である4KではRTX 4090の2.5倍近くになっていることを考えると、NVIDIAが「RTX 5090はRTX 4090の2倍の性能」とうたう根拠はむしろ控えめであることがわかる。無論、Marvel Rivalsだけの結果だけでNVIDIAが宣伝しているわけではないだろうが……。
このゲームにおいては、DLSS FGだけの状態でもワットパフォーマンスはRTX 4090より若干良い(フルHDは例外)。DLSS MFGを追加するとワットパフォーマンスは1.6倍に改善している。
注目したい点はTBPのほうで、DLSS FG利用時よりもMFG利用時のほうが20〜30W高くなっている。DLSS MFGの処理においては、生成されるフレームそれぞれについてOptical Flowの処理を行うAIが1つ起動するのだが、Tensorコアの利用率が高まることでTBPが上昇することを示している。
「Alan Wake 2(Beta)」
Alan Wake 2はテスター向けに配布されたβビルドで検証した。遠距離にあるオブジェクトの描写に軽微な不具合はあるものの、RTX 5090およびRTX 4090で同じビルドを使用するため、問題なしと判断した。
画質は最高設定とし、DLSSは「クオリティー」およびフレーム生成を有効化。このゲームではゲーム内の画質設定でDLSS MFGの設定と、DLSSのCNN/Transformerモデルを切り替えられる。RTX 50シリーズはDLSS FG/MFGをTransformerのみで、RTX 4090はDLSS FGをTransformerとCNNで比較した。
Legay DLSSという項目にチェックを入れると従来のCNNベース。チェックを外すと最新のTransformerベースの学習モデルでDLSSが処理される。RTX 4090環境ではDLSS FGの設定に「2X」のみが提示される
DLSS FGのみを使用した場合のRTX 5090の平均フレームレートは、RTX 4090を上回っているものの最低フレームレートにおいては逆に下回ってしまった。しかし、DLSS MFGを有効にすることで、RTX 4090を圧倒した。
DLSS MFG使用時の平均フレームレートは、DLSS FGの2倍近く伸びているのに対し、最低フレームレートはせいぜい50%程度しか伸びていない。これはまだ改善の余地があることを示唆している。ただし、前述の通り、オブジェクトの描写に不具合がある(これはリリースノートで明記されていた)ことから、正式版ではもっと改善されていることを期待したい。
そして、もう1つ注目したい点は、RTX 4090のDLSSでTransformerとCNNを使用した時の違いだ。Transformerを使うとAIの負荷が高くなるため、RTX 40シリーズでは性能が低下することが示されている。軽微なフレームレート低下を許容しつつ画質向上をとるかは、ユーザーの選択に委ねられている。
Marvel Rivalsほどではないが、DLSS MFGを利用するとDLSS FG利用時よりも若干TBPが増える。なお、伸び幅が鈍いのは重いレイトレーシングの処理が律速になっていると思われる。さらに、RTX 4090ではTransformerベースのDLSSを利用することで、Tensorコアの負荷が上がってTBPが増えている。
「Cyberpunk 2077」
Cyberpunk 2077もβビルドで検証していたが、前編が掲載される直前にアップデートがかかり、DLSS MFGやTransformerベースのDLSSに正式対応した。そのため、本稿では正式版で再検証している。
画質は「レイトレーシング:ウルトラ」、DLSSは「クオリティー」、フレーム生成も有効化。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。こちらもAlan Wake 2と同様、RTX 4090のみCNNベースのDLSSにおけるパフォーマンスを検証している。
DLSS MFGの効果はCyberpunk 2077においても劇的だ。Alan Wake 2では伸びにくかった最低フレームレートに関しても、このゲームではしっかり伸びている。そのため、よくチューニングされたゲームであれば、DLSS MFGはカクつきの軽減効果も期待できるだろう。
ただし、DLSSのTransformerおよびCNNベースの違いについては、RTX 4090における検証ではまったく差らしい差がなかった。Alan Wake 2の実装上の理由(ただし、理屈上は通っている)なのか、Cyberpunk 2077の処理に関係する理由なのか、ここで断言できるだけの材料はない。
DLSS MFGを利用することでTBPは増えたが、フレームレートは上昇するのでワットパフォーマンスは高くなる。RTX 4090のTransformerとCNNの比較では、Transformerのほうが若干消費電力が高くなっているので、AIの処理はそれなりに重くなっているようだ。

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