クラウド利用やAI/データ活用の動きを受け、多様化するデータセンターを知る
2025年からのデータセンター選びは「5つのトレンド」を押さえよう
2025年01月27日 12時30分更新
トレンド4:立地の多様化(郊外型/都心型/地方型)
かつてのデータセンターといえば、「自然災害のリスクが少ない場所」で「都心部からのアクセスが良い場所」に建設されるのが定番だった。しかし近年は、立地の面でも多様化が起きている。たとえば郊外型、都心型、地方型といった、立地の特性をより生かしたデータセンターが登場している。
大都市近郊に立地する郊外型データセンターは、大規模な土地が安価に取得できるメリットから、近年、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)向けのデータセンター建設が相次いだ。大容量の電力供給とネットワーク回線敷設も行われており、AIインフラ/GPUサーバーも導入しやすいケースが多い。
一方、大都市の中心部に立地する都心型データセンターのメリットは、ネットワーク的に“サービスの消費地”や、クラウドのPOP、IXといった接続拠点に近く、レイテンシ(通信の遅延)が抑えられる点だ。都心型データセンターにホストすることで、業務アプリケーションも、顧客に提供するサービスも、より快適に提供できる。一方で、土地コストが高いためラックスペース単価は割高となり、既存の送電網を使うために電力容量に制限があることも少なくない。
地方型データセンターは、郊外型データセンターと同様に土地取得が容易であり、人件費の安さなども反映してサービス料金が抑えられるのが魅力となる。各地域のビジネス中心地に近いメリットを生かした活用だけでなく、災害対策(DR)サイトとしての活用も多い。かつてはネットワークの調達に課題があったが、近年はその課題も解消されつつある。積極的に誘致を図る自治体も多く、今後は特色を持つデータセンターが登場してくることが期待される。
なお、データセンターの立地について、従来ほど「都心からのアクセスの良さ」は重要視されなくなっている。サーバーの仮想化やリモートアクセス技術の進化が進み、物理作業を行う“駆けつけ対応”の必要性が薄れたからだ。さらに、サーバーの設置や結線といった物理作業をデータセンター事業者が代行してくれる、リモートハンドサービスも増えている。
トレンド5:省電力化にとどまらない環境性能の向上
企業の事業活動に社会的責任(CSR/ESG経営)が求められるようになった一方で、データセンターの電力消費量は急増し続けている。ビジネスのデジタル化は進めつつ、環境負荷を可能な限り抑制するために、データセンターには環境性能も問われている。
まず電力面では、政府が主導するかたちでカーボンニュートラル化が推進されている。再生エネルギー電源(再エネ)/実質再エネを活用する取り組みは多くのデータセンターで行われている。さらには“再エネの地産地消”として、地熱発電や風力発電といった電源(発電所)近くへの地域型データセンター誘致も進められている。
そのほか、より高効率な冷却システムの採用、外気冷却の活用、電子廃棄物削減(リサイクル)の促進など、環境負荷を低減する取り組みは幅広く行われている。環境性能が最優先の要件になるケースは少ないと思われるが、複数の選択肢から「選ぶ」うえではポイントになるはずだ。
ちなみに、水資源に恵まれた日本ではあまり話題になっていないが、海外ではデータセンターにおける「水(冷却水)」の大量消費についても、環境負荷として注目が集まっている。今後「WUE(水使用効率性)」といった指標も、日本で注目されるようになるだろう。
* * *
ここまで見てきたとおり、データセンター市場におけるトレンドは、ITのトレンド、企業ビジネスのトレンドに伴って変化していく。多様化する選択肢から最適なものを選ぶためには、「なぜデータセンターを使うのか」「どのようにデータセンターを使うのか」をいま一度考える必要がありそうだ。

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