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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第84回

画像生成AI「Stable Diffusion 3.5」性能はものたりないが、自由度が高いのは魅力

2024年11月04日 07時00分更新

文● 新清士

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Stable Diffusion 3.5 Largeで生成した日本人女性。しっかりと日本人ぽく出力されているのだが、なにかこうもう少し物足りない印象もする(筆者作成)

 10月23日、「Stable Diffusion 3.5(SD3.5)」が突然発表されました。6月の「Stable Diffusion 3 Middle」の大失敗でだいぶ反省したようで、Stablity AIは公式発表で「コミュニティーの期待にこたえられなかったため、コミュニティーからのフィードバックにこたえた」と述べています。ライセンス条件も大きく変わって、フラッグシップモデルの「SD3.5 Large」も、高速版の「SD3.5 Turbo」、10月29日発表された軽量版「SD3.5 Middle」のすべてが同じ条件となり、誰でもウエイトモデルを落として、気軽に利用することができるようになりました。ただ、発表されたスコアや、実際に触ってみた印象からすると、他社に比べてずば抜けた性能を実現しているというわけでもありません。それでも、画像生成AIコミュニティーの奪還に向けて、積極的に攻めた内容ではあるようです。

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トップ性能というわけではない

 実際、性能は最先端ではあるものの、SD3.5Lはトップ性能とまでは言えません。Stability AIが発表した他の画像生成AIと比較した性能表によると、プロンプトへの追従性(Prompt Adherence)については、Black Forest Labの「Flux.1 dev」に勝っているとしているものの、美的品質(Aesthetic Quality)では、Flux.1 Devに劣っているという結果を公開しています。このElo Scoreというのは、様々なAIの性能を比較するテストを実施しているArtificial Analysisというサイトの評価スコアで、Stability AIの発表ではオープン化されているものだけが掲載されています。

 実は、最新のチャートによると、クローズドモデルの「Midjounery v6.1」や「Flux.1 Pro」には、追従性も、美的品質でも若干ですが劣ったスコアになっています。それでも、SD3の発表時にはクローズドにしていた「Large」まで、オープン化を図ってきたのにはかなり攻めた姿勢と言えるでしょう。

Stablity AIが発表した他社の画像生成AIモデルとの性能比較(出典)

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