すべての人類を仕事から解放した至高のAIの機能不全を描いた野﨑まどの「タイタン」(講談社)というSF小説がある。2020年に刊行された本書は生成AIの到達点をリアルに予見しており、今こそ読んでほしい一冊なのだが、個人的に注目したのは世界12拠点に分散されたタイタンAIの1つが、北海道の弟子屈にあるという設定だ。
小説の中で、なぜ北海道にAIが置かれたのか? 最大の理由はAIのボトルネックである電力を北海道では自然エネルギーでまかなえるからだと思う。昨今のAIによる電力消費問題の深刻さを考えると、都内や千葉の印西ではなく、AIが北海道にあるという点にとてもリアリティを感じるのである。
現実世界においても、今までさくらインターネットだけだった石狩に複数のデータセンターが構築されるようになったという(関連記事:久しぶりの事業説明会でさくらインターネットの田中社長が話したほぼ全部)。半導体の国産化を目指すラピダスも千歳に次世代半導体工場を建設中。ソフトバンクも苫小牧に50MWという巨大なデータセンターを2026年度にオープンさせる。さくらインターネットの田中氏曰く、このICT(石狩、千歳、苫小牧)地域こそ北海道のITをリードしていくという。ソフト面でも、地域課題を憂うクラウド人材が次々と北海道に集まっているように見える。タイタンの舞台である2205年、北海道がどうなっているのか楽しみだ。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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