ルビコン川を渡って約10年、次の時代を切り開く新シリーズ
現代のDALIの魅力が存分に詰まった新スピーカー「RUBIKORE」シリーズ発表
2024年08月26日 11時00分更新
タイムマシンで時代を飛び越えたような感覚
ディーアンドエムホールディングスの試聴室でRUBICON/RUBIKOREの主要モデルを聴き比べられた。曲は女性ボーカル(ダイアナ・クラール)に統一。ブックシェルフ型のRUBICON 2とRUBIKORE 2、RUBICON 6とRUBIKORE 6、RUBICON 8とRUBIKORE 8という形で同クラスの製品を順に比較試聴した。
まずはブックシェルフ型の2機種から。重量は新しいものの方が重くなっているそうだ。RUBICON 2のDALIらしい濃厚で美しい音色感は、最近のヨーロッパスピーカーに増えてきた軽くスッキリとした音調と比べると、少し時代を感じさせる面はあるものの、全体のまとまりがよく、いま聞いても違和感がない。ウッドベースは深くはっきりと沈み込み、声はスピーカーの奥に明快に定位する。
一方のRUBIKORE 2は、解像感、抜けの良さが向上。、音源との距離感やその間の温度感を感じさせるほど明快な空気感の再現ができている。一気に時代が進んだような感覚で、目の前に現代的なサウンドが広がった。
印象的なのは、部屋の湿気が減ったかのように思えるほど、音の手触り感や質感が実感できたことだ。ボーカルはRUBICONでは幾分かドライな印象だったが潤いや滑らかさがあり、より積極的に前に飛んでくる印象を持った。磁性流体の有無は中高域の抜けの良さに影響が出るとの説明だったが、声の再現の違いを聞けばそれも納得だ。
ウッドベースやピアノのタッチなど、アタックの強い音の反応も非常に上がっており、声と楽器の質感の違いをより一層意識するようになった。
RUBIKON 6のボーカルは、RUBIKORE 2と比べても近く感じる。ピアノの音色感、ウッドベースの低域感がより一層リアルになり、バランスがすごくいいスピーカーであることを実感した。ボーカルの勢いの良さは同程度だが、割合柔らかい再現。リップノイズの細かな音もよく拾っているので、情報量は豊富だが、こちらも少し時代が遡ったようなレトロな雰囲気の音色感になる。
ちなみに、RUBIKOREでは、ウーファーの磁気回路の大きさは変わらないが、磁石が2枚になり、その分重くなっている。磁気エネルギーも1割程度アップしているそうだ。
これをRUBIKORE 6に変えると、グッと透明感とか鮮度が変わる。録音環境がわかるぐらいの情報量で、感度も上がっているように思える。楽器のアタックは立ち上がりのスピードが増したようにも思えるし、ベースはよりアグレッシブ。ポルタメント的な弾き方などもよくわかる。音楽の弾む感じがより鮮明になり、声が空間に立ち上がる際のスカッとした爽快感が出て、リップノイズのパチパチとした音もより速く追従していた。
RUBICON 8はウーファーが追加されるぶん能率もアップ。デモではそれを加味して音量が調節された。充実した低域によって音楽全体のスケール感が一回り大きくなる。さらに低域の嘘くささや、録音したものという人工的な感覚がなくなり、本物の音が鳴っているような響きを出す。
ベースの沈み込みもより深く(ここは本当に深い)。ピアノの立ち上がりの硬さなどの表現も完璧に近い。その後に、ボーカルが加わってからのバランスもやっぱりいい。ここの楽器の響きが伝わるとともに、音楽的なまとまり感を持った音でもある。
こうした感想を持ちつつ、真打のRUBIKON 8を聞く。
驚くのはさらに一皮剥けた音が発せられたこと。ストリングスは鮮烈で、擦れる音の質感の良さ、ゴリっとした感触、勢いがある低い音の唸りなどを一連の試聴で初めて意識した。これまではDALIの美音系の音色に注意を奪われていたが、続くベースも弦を弾く音のブリンという張り、ズビンと沈み込む感じが積極的に感じられ、印象的だ。
ピアノの音も極めて自然で、楽器そのものがなっているような感じがより一層増すし、プレーの細かなニュアンスも伝わってくる。
最後に加わるボーカルは声の勢い、音色感、艶やかさなどあらゆる面で他の機種よりも優れているのに加えて、ピアノとの掛け合いが音楽的、つまり演奏者と演奏者の掛け合いとして聞こえてきたのが印象的だった。
RUBICONシリーズは10年経っても褪せない魅力を持つスピーカーだが、RUBIKOREを聴くと一気に時代が変わったような感覚を持つ。明瞭さや抜けの良さ、臨場感が圧倒的に変わるのだ。上位モデルの深く明瞭な低域の再現が印象的だが、全体を通して中音域、高域の抜け感が相当に上がっており、空気の振動が軽く細かく伝わってくる感覚が新鮮だった。















