最新パーツ性能チェック 第447回

Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか？「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック

「The First Descendant」

　The First Descendantは画質を“低”、レイトレーシングやFSR 3はオフ（FSR 3に関してはこれがデフォルト）に設定。追加でモーションブラーもオフ（これは筆者の好みでもある）とした。マップ“木霊の森”における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

The First Descendant：1920×1080ドット時のフレームレート

　パワー制限をかけたとはいえ、Core i9-14900Kでもゲームで輝くシーンはまだ残されている。Ryzen勢はどれもどこかで頭打ちになっているような平均フレームレートだが、最低フレームレートの傾向を見ると、3D V-Cache搭載モデルの中でもCCDを1基に絞ったRyzen 7 7800X3Dが最も優秀。Ryzen 9 7950X3Dが2番手なのはCCDあたりのコア数に関係がありそうだ。

　肝心のRyzen 9000シリーズはと言うと、Ryzen 7 9700Xがここでも優秀で、TDPの高いRyzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xは今ひとつな結果に終わった。CPUのTDPが高くても、処理が上手く回らないと速くならない、という見本のような結果といえる。

The First Descendant：ベンチマーク中のCPUおよびシステム全体の消費電力（平均値）

　Ryzen 9000シリーズで注目したいのは消費電力の高いモジュール（DDR5-6000）を組み合わせた時の消費電力の増え方だ。Ryzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900XはDDR5-5600の時に比べ14～17W伸びているのに対し、Ryzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600Xの場合は2Wから10Wと増え方が小さい。

　Ryzen 7 9700XもRyzen 5 9600Xも上限は90Wで頭打ちになっているが、これはTDP 65W仕様のRyzenでソケットが受け取れる定格電力、つまりPPTの88Wにほぼ一致している。そして他のゲームでもRyzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600Xの消費電力は90W以下にとどまっている。

「The Riftbraker」

　The RiftbrakerではAPIはDirectX 12を選択。画質類は全て最低のものとし、アンチエイリアスはTAAとした。ゲームに同梱されているCPUベンチマークを再生し、その際のフレームレートを計測した。

The Riftbraker：1920×1080ドット時のフレームレート

　ここではコア数の多いRyzen 9 7950X3Dや7900Xが強く、Ryzen 7 7800X3Dはやや下の位置にある。が、Ryzen 7 9700Xはコア数にハンデがあるにも関わらずトップ2に迫るパフォーマンスを出している。しかしTDPを増やしたRyzen 9 9950Xはむしろ凡庸であり、Ryzen 9 9600X程度の性能にとどまっている。

　The RiftbrakerにおけるCPU処理は2CCD構成のRyzenシリーズではとても不利に働いており、それはTDPの問題ではないことは確かだ。チップレット構造のRyzenはCCD間の連携に弱点を抱えており、Ryzen 9000シリーズでもそれが健在であることを示している。

The Riftbraker：ベンチマーク中のCPUおよびシステム全体の消費電力（平均値）

　Ryzen勢の消費電力に関してはここまで見てきた通りの傾向となる。Ryzen 7 7950XよりもRyzen 9 9950Xの方が若干省電力動作になっているため、ワットパフォーマンスは向上しているようだ。