3DMarkの新テストSteel Nomadの前にはどのCPUも平等である?
「3DMark」における最も新しいテスト“Steel Nomad Light”“Steel Nomad”を利用し、グラフィックのパフォーマンスを検証する。APIはDirectX 12とした。GPU系検証ではおなじみの“Fire Strike”などではCPUの物理演算性能がスコアーに加味されてきたが、Steel Nomad系テストは物理演算テストそのものがない。
ゲームでは最強とされるRyzen 9 7950X3DやRyzen 7 7800X3Dですら差がでないほどCPU処理の影響が出ないよう慎重に設計されたグラフィック処理がSteel Nomad系テストの特徴だ。そして今回新たに追加されたRyzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xにおいても、その殻を破ることはできない。
どちらのテストにおいてもCPUの差と言えるような差は認められない。描画の軽いSteel Nomad LightではRyzen 9000シリーズにDDR5-6000を組み合わせるとスコアーが伸びるか興味があったが、グラフを見るかぎり誤差としか言えない差にとどまっている。
GPU側のボトルネックが出にくい状況で検証する
これよりゲーム系の検証となる。GPUは現行Radeonでは最強のRX 7900 XTXを使用しているが、これはGPUがCPUの足を引っ張ってしまう事態を極力回避するためである。そして解像度はフルHDに固定し、画質も最低またはそれに近い設定とすることで、GPUの負荷を極力廃した。当然フレームレートは高くなるが、フレームレートが高くなるほどCPU側が遅滞なく処理を進めていくという作業も必要になるため、CPUの性能差がフレームレートの差となって表れる、というわけである。
最初に使用するのは「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー」の公式ベンチマークだ。画質は“標準品質 (ノートPC用)”に設定。ただしFPSに連動する動的な調整機能は使用せず(この後のゲームでも同様)、レンダースケールは100%(RS=100%)とした。ベンチマーク終了後に出るスコアーのほかに、レポートで出力されるフレームレートも比較する。
ゲームではRyzen 7000X3Dシリーズは無敵というべき強さを誇る。Ryzen 9 9950Xや9900XはFF14ベンチ程度の処理ではTDPの高さが活かせず、そもそも並列度を問われるような負荷でもないため、Ryzen 9000シリーズ全体では凡庸な結果にとどまる。普通のRyzen 7000シリーズに対してみてもスコア・フレームレートともに強くなった感じもしない。Ryzen 9000シリーズの中ではRyzen 7 9700Xが良好なスコアーを出しているあたり、FF14のグラフィック処理においては1CCD構成のRyzenの方が相性が良いようだ。
そしてRyzen 9000シリーズとDDR5-6000と組み合わせた時の効果はというと、全般的に最低フレームレートが伸びていることが分かる。スコアーに関しては伸びているが、Ryzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xでスコアーの伸びが大きい一方で、Ryzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600Xの伸びは鈍い。
特にRyzen 5 9600Xにおいては平均フレームレートで見るとDDR5-6000で微妙に下がっているため、ある程度はフレームレートが上がってスコアーが回るが、どこかで息切れし始めて平均フレームレートは下がってしまったと考えられる。なんにせよFF14ベンチにおいてTDP制限の厳しい下位モデルにDDR5-6000を組み合わせても効果は限られることが分かる。
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