業務を変えるkintoneユーザー事例 第235回
kintoneで事務の“職人技”をデジタル化、バーコードによる入出庫も連携
マニュアル作ってもダメなモノはダメ 名古屋の整備工場が試したのはメリットの共有
2024年08月09日 10時00分更新
2024年6月25日、kintoneユーザーによる事例・ノウハウの共有イベント「kintone hive 2024 nagoya」が開催された。
本記事では、トップバッターを務めたフジ自動車工業の今井明子氏、大久保利春氏によるプレゼン「職人の技をデジタル化しよう大作戦」のレポートを紹介する。
職人のごときExcel管理、紙の作業カード紛失は売上にも影響、そして見当たらない代車
名古屋市昭和区に本社を置くフジ自動車工業は、創業68年の整備会社。社員数140名の平均年齢は52歳と“少々お高め”(大久保氏)である。自動車に加えてフォークリフトの点検・修理も手掛けており、大久保氏、今井氏が所属するのもこのフォークリフト部門だ。
このフォークリフト部門では、現場だけではなく事務側も日々“職人的”な作業をしていた。管理業務の中核となっていたのは、エラーが起きても直せない古いシステムと複雑で種類も多いExcelファイル。すべてを使いこなすは難しく、一部の事務員しかできないような“技”が求められる。
そんな業務に転機が訪れる。会社の休日が、年間で14日も増えたことだ。「みんなでやった!と喜んだのは束の間、だんだん現実が見えてきました。休日が増えるということは、稼働日が減る。でも売上は落とせない…」(今井氏)
なんとか14日分、生産性を向上させる必要がある。そこで立てられたのが「職人にしかできないことを、だれでもできるように」というミッションだ。しかし、3つの問題が立ちふさがる。
1つ目は、整備士の作業指示に用いる「入出庫カード」の問題だ。顧客からの依頼内容が記載されたカードで、このカードがないと作業ができないルールをとっている。
入出庫カードは、まず本社から各工場に“FAX”で送られ、整備士はそのカードを持って顧客のもとへ作業に向かう。戻った整備士は、カードを事務員に提出することで、作業履歴が入力され、売上になる。しかし、入出庫カードは、すべて紙での手書き。月間300枚ほど作成する上に、変更が続くと訂正で“ぐちゃぐちゃ”になる。そして、事務員はカードが届かないと作業自体を把握できず、クレームが発生しても当の整備士しか分からない。
最も困るのは整備士がカードを紛失することで、そのままでは作業履歴も入力されず、売上にも反映されない。「怖い話ですが、現地作業の売上もれは、数百万になっていたかもしれない」と大久保氏。
2つ目は、複数Excelでの「スケジュール管理」の問題だ。フォークリフトを工場で預かって修理する場合、フォークリフトを運ぶトラック、代車、3か所ある工場などのスケジュールをそれぞれ別のExcelで管理していた。
ひとつの案件につき、複数のExcelに手入力する必要があり、同じ内容を何度も入力する。1回の変更に30分以上もかかり、ミスも多発していた。
最後は、「代車」行方不明問題だ。ドライバーが指示を受けて向かうが、あるべきはずの工場に代車がないということが、たびたび発生した。そもそも、事務員が毎日30分をかけて敷地・工場内を歩き、代車の棚卸しをしていたが、それでも行方不明になる。
フォークリストは1台1台仕様が異なり、指定された代車が必要なため、ドライバーは“代車探しの旅”に出なければならない。期日に遅れて、会社の信用も失ってしまう。
これらの壁に頭を悩ませていたフォークリフト部門。救世主になったのはスマートフォンをバーコード・RFIDリーダーとして利用できる「AsReader」、そしてkintoneだった。
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