ノキアブランドよ、どこへ行く?
「買いやすいスマホ」の道を選んだノキア
ノキアブランドのスマートフォンを展開しているHMD(HMD Global)は、2024年に入ってからノキアではなく、自社ブランド「HD」のロゴをつけたスマートフォンを立て続けにリリースしています。ノキアといえば老舗のスマートフォンメーカーであり、海外では今でも高いブランド力を誇ります。しかし、最後に登場したノキアモデルは2023年10月発売の「Nokia XR21 Limited Edition」で、これはヨーロッパ工場出の最初の製造を記念した限定50台だけのモデルでした。
ノキアのスマートフォンはSymbian OSからWindows Phoneへ、マイクロソフトの買収によりフィーチャーフォンだけの時代を経て、2017年にHMDから「Nokia 6」が登場して再復活。その後は高級ボディーの「Nokia 8 Sirocco」などを出して話題を振りまいてきました。
しかし、大手メーカーが次々と高性能スマートフォンを出していく中で、ノキアはミドルクラスの「買いやすいスマホ」に特化していきます。サムスン、アップルをはじめとしてシャオミなどが力をつけてていく中で、ノキアのブランドは最新性よりも身近な存在になることを選んだわけです。
2022年には本体に100%のリサイクルアルミニウムと65%のリサイクルプラスチックを採用した、サステナブルなスマートフォン「Nokia X30 5G」などを発表。あわせてスマートフォンのサブスクサービス「Circular」も始めました。月額を払えば端末が故障してもいつでも交換可能、買い替えではなく乗り換えで新しいスマートフォンに交換できるなど、先進的なプログラムでした。しかし2024年に確認してみると、このサービスは新規受付は終了しているようです。
ノキアのブランドにはまだ力はあるものの、ハイエンドモデルがないとなるとなかなか魅力を伝えることが難しくなります。またノキア復活の2017年は、往年のノキアユーザーに加え、「お父さんがノキアを使っていた」という若い世代にもノキアのスマートフォンが注目を集めたのです。
しかし時が流れると、若い世代でノキアを知るユーザーは他社のハイエンドモデルに目が行くでしょう。そして、Z世代層の中にはノキアをそもそも知らないユーザーが多くいます。
そうなるとノキアの現行のコスパモデルは、シャオミのRedmi、realme、HONORの格安モデルなど、中国メーカーの低価格モデルと直接対決することになります。実際にヨーロッパの家電量販店に行くと中国メーカーの低価格モデルがよく売れています。
コスパの点ではノキアの現行モデルも負けてはいませんが、ブランド名が「やや古い」と思われているかもしれません。HMDがきっぱりとノキアをあきらめ、HDブランドでこれからスマートフォンを展開していくとしても、それは時代の流れとして当然のことかもしれません。
長年のノキアファンの筆者にとって、ノキアのスマートフォンが今後出てこないとなるのは寂しい限り。とはいえ、フィーチャーフォンはまだまだノキアブランドとして残るようです。KaiOSを搭載したモデルも多くあるので、日本語入力に対応させて日本でも出してくれないか、という夢だけは残しておきたいです。
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