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中堅・中小企業に“Zoom全力活用”のコンサルティングを展開

船井総研グループが“powered by Zoom”な新オフィスで進める社内DX

2024年04月23日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 ZVC JAPAN(Zoom)は、2024年4月12日、ユーザー向けカンファレンスイベント「Zoom Experience Day Spring」を東京で開催した。“AIの活用と働き方の未来”をテーマに掲げ、約700名の来場者に対し、キーノートや多数の事例セッションが展開された。

 本記事では、「Zoomテクノロジー実装型オフィスにおける社内DX推進&顧客への展開」と題した船井総研ホールディングスの事例セッションの様子をお届けする。

“powered by Zoom”で新オフィス全体にZoomを実装、Zoom用の個室ブースを“53室”設置のフロアも

 船井総研グループは、中堅・中小企業向けにデジタルと経営のコンサルティングを展開しており、約9500名のオーナー企業とネットワークを構築していることが強みだという。

 同グループは、2024年4月1日に東京ミッドタウン八重洲に本社オフィスを移転。Zoomのサービスをフル活用するために最適化された、Zoomを実装したともいえるオフィスとなっており、Zoomのお墨付きで、オフィス名に“powered by Zoom”を付けるほどだ。

 船井総研ホールディングスで、新オフィスのIT戦略を担当した石田朝希氏は、新オフィスにZoomを全面実装した経緯を振り返った。

 同社では、2017年にZoom Webinarsのトライアルを開始。その後、2019年にZoomの米国本社に訪問して創業者兼CEOのユアン氏の話を直接聞き、その後からZoomの活用を続けているという。「Zoomによりコンサルティングスタイルも変わった」と石田氏。ただ利便性が高いからZoomを選んだ訳ではなく、顧客である中堅・中小企業にZoomを提案した時に利点を感じてもらえると判断して、使い始めたという。

船井総研ホールディングス グループIT推進部 兼 コーポレートストラテジー部 シニアマネージャー 石田朝希氏

 同社におけるZoomの活用具合を数字でみてみると、従業員が約1500人いる中で、1000人が有料ライセンスを保有。2022年10月から2023年9月までの1年間で、Zoom Meetingsの利用は“20万3549回”、Zoom Webinarsの開催は“3052回”と「会社規模にしてはかなり多いのではないか」と石田氏。

 Zoom Meetingsは顧客の支援からセミナーや研究会の実施に、Zoom Webinarsは、経営方針発表会や社員表彰式、Zoom Roomsは入社式や新入社員研修などに利用。リモートワークの推進のために、DX支援の部署が常時Zoomに繋いで何かあれば質問に答える環境も構築したという。Zoomが従業員の業務だけではなく、ビジネスモデルの一部になってきていた。

Zoomの3大サービスであるMeeting、Webinar、Roomsの活用

 このZoomの活用をさらに加速すべく、新オフィスでは、代表電話も含めてすべての固定電話をZoom Phoneに切り替え、会議室にはZoom Roomsを完備、Zoom Whiteboard用のインタラクティブボードも23台設置した。「これまで基本的な機能を中心に活用してきたが、もはやZoomがビジネスモデルの一部になっているなら、オフィス自体にもZoomを搭載しなければ」という考えのもとで、最新のZoomサービスの活用も始める。

全会議室にZoom Roomsを設置

Zoom Whiteboard用のインタラクティブボードも23台

 例えば、Workspace Reservationによって会議室やブース予約を完結させたほか、「チェックイン・チェックアウト機能」で、効率的な施設稼働を推進している。同サービスでは、施設の稼働状況も分析可能で、より利用用途に適した形で設備を整備していく予定だ。

Workspace Reservationで会議室・ブース予約

稼働率の分析もできる

 極めつけは、ウェブ会議用の個室ブースを“53室”も設置していることだ。防音、高速のZoom専用のネットワーク回線も用意して、Zoomの利用環境を強化した。「ワンフロアに53室の個室ブースを入れる企業はないと思うが、それぐらい整備しないとコンサルティングができない環境になってきている」と石田氏。

個別ミーティングブースを53室設置

 同グループがここまでZoomに振り切った経営判断を下せた理由は、3点あるという。

 ひとつ目は、サイクル型ビジネスモデルの高速化ができること。つまり業績の向上にZoomが貢献してくれるからだ。営業活動が高頻度化して、1日の支援件数も2倍から3倍に増加。「Zoomであれば顧客のリテンション(維持)もでき、成果も上がる」と石田氏。

 2つ目は、働き方・ビジネスモデルの多様化への対応だ。コンサルタントの働き方改革はもちろん、費用がかさむ出張型(対面型)のコンサルティングに加えて、リモート支援で費用を抑えた“プチ・コンサルティング商品”も開発できている。

 3つ目は、中堅・中小企業向けのDXコンサルティングに不可欠なことだ。「中堅・中小企業は、デジタルツールを導入してもフル活用できずに、使用を止めてしまうことがある」(石田氏)。船井総研グループの社員自体が、使いこなして、中小企業の“お手本”になることが大切だといい、それにZoomがマッチした。

Zoom Phone×CRMのインテグレーションを中堅・中小企業に展開

 同グループは、設備面にとどまらず、業務自体もZoomで効率化を進めている。

 石田氏が一押しだという機能がZoomの“文字起こし”だ。クライアント支援の議事録や経営者のインタビュー、オウンドメディアの動画字幕用など、今まで若手コンサルタントが担当していたような業務が省力化できている。今後もZoomのAIアシスタント機能である「AI Companion」や自動化、外部連携などを積極的に活用していく。

 また、開発した外部連携機能は、自社だけではなく中堅・中小企業にも展開する。船井総合研究所では、Zohoの「Zoho CRM」やサイボウズのノーコード・ローコードツール「kintone」における開発・導入支援を手掛けており、Zoho CRM上からワンクリックでZoom Phoneの通話につなげられる「click to call」の機能を、kintoneを用いて“2日”で開発したという。

 同社が現在取り組んでいるのが、Zoom Phoneを経由して発信・着信のログや会話データをZoho CRMに蓄積して、“コール内容を活用につなげる”ための仕組みの構築だ。

click to callの機能を2日で実装

コール内容を可視化してアクションにつなげるような仕組みを構築中

 船井総合研究所の神徳あや氏は、「営業やカスタマーサポート部門において、記録などの手作業での業務がなくなり、コアな業務に集中できるようになる。コール内容の可視化を基に、能動的なアクションにつなげられるような取り組みにしていきたい」と語った。

船井総合研究所 DX支援本部 DXエンジニアリング部 ディレクター 神徳あや氏 

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