Fujitsu KozuchiをコアコンピタンスにUvance売上7000億円の達成目指す
富士通、AIを“バディ”としてFujitsu Uvanceに融合
2024年02月16日 08時00分更新
富士通は、2024年2月14日、新たな全社AI戦略に関する説明会を開催した。生成AIをはじめとするAIを、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)や社会課題解決を支援する事業モデル「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」でオファリング(提供する製品/サービス)に組み込んでいく。
富士通はもともと、Fujitsu Uvanceを支える5つのキーテクノロジーのひとつとして、AIを中核に据えていた。富士通の執行役員 SEVP CTO、CPOであるヴィヴェック・マハジャン(Vivek Mahajan)氏は、「富士通は、AIを“わたしたちのバディ(相棒)”と位置付ける。AIは信頼でき、一緒に動き、業務の課題を解決する」と述べる。
Fujitsu KozuchiをAIサービスとして商用化 富士通のAIの3つの強みとは
Fujitsu Uvanceに組み込まれるのは、先端AI技術を試すためのAIプラットフォームであった「Fujitsu Kozuchi」だ。富士通のAIサービスとして改めて商用化していく。
Fujitsu Kozuchiの商用化は、Generative AI/Predictive Analytics/for Text/AI Trust/XAI/for Vision/AutoMLという7つの領域で展開される。「この中でお客様の関心は、4割が“Generative AI(生成AI)”、そして3割が“for Vision(ビジョンAI)”で、富士通の強みとして関心を持っていただいている。残り1割が“AutoML(機械学習の自動化)”。これらを合わせて全体のソリューションを提供していきたい」とマハジャン氏。
マハジャン氏は、富士通のAIの強みを3つ挙げた。ひとつ目は「独自の生成AIとトラスト技術」だ。
ここでは、文書解析やコード生成といった特定業種・業務に特化した生成AIモデルに、OSSや他社IPの生成AIモデルを組み合わせた「生成AIモデル混合技術」を開発。「混合タスクで世界トップレベルの認識精度も達成している。従来できなかった、業務全体の生成AIモデルを作れるようになる」とマハジャン氏。
また、富士通独自のナレッジグラフにより、法規制や社内規制に準拠した正確な出力を保障する「生成AIトラスト技術」も開発しており、生成AIに対する不安も払拭する。
2つ目の強みは「世界最高レベルのAI技術と世界最速レベルの計算技術の融合」だ。
2023年に世界No.1の精度を達成したヒューマンセンシング技術や因果発見技術などのAI技術と、スーパーコンピュータ「富岳」や量子コンピュータといった高速な計算技術を融合していることが特徴だという。
このコンピューティングの力は、富士通独自のグラフAIにも活かされ、「社会をまるごとデジタル化」することも可能になる。これまで、ひとつの店舗だけの顧客行動や商品売上に留まっていたものをサプライチェーン全体に、特定の車両や機器に留まっていたものを都市や建物全体にグラフ化を拡げられる。
3つ目の強みは「7000件以上のAI導入実績」だ。「AIというのは別に新しい分野ではなく、富士通も30年以上取り組んできた。色々なソリューションの中で、富士通独自のAIあるいは他社のAIを組み合わせて提案してきている」とマハジャン氏。
Fujitsu Kozuchiも、2023年4月の発表以降、国内外の500社以上の企業に提案され、高い評価を得てきたという。
Kozuchiの事例のひとつとして、国際体操連盟の採点競技におけるAI判定が紹介された。AI判定には質の高い学習データが大量に必要であり、学習データにタグ付けするアノテーションも手作業で行われていた。富士通では、フォトリアル技術により精度向上に有用な学習データを人工的に大量生成することで、アノテーション作業をなくすことに成功している。