NTTドコモは2月2日、通信サービス品質改善の取り組み状況を説明した。筆者は当日、アップル「Apple Vision Pro」をハワイまで買い出しにいくという重要なミッションがあったため、残念ながら参加できなかった。配付された資料によれば「12月までの改善は計画通り完了。対策によってスループットが向上し、SNS上のネガティブな声も減った」とのことだ。
NTTドコモ「どうしちゃったのか」レベルの品質低下
NTTドコモのネットワーク品質低下は、昨年の春頃から顕著になってきた感がある。当初、NTTドコモは「2023年の夏までに改善させる」と宣言していたが、その後、夏を過ぎても、改善に兆しがなく、結局、「2024年の3月まで」と期限が先延ばしにされた。
実際、X(旧Twitter)上では、NTTドコモユーザーの「つながらない」という声を数多く拾うことができた。筆者も電車のなかで「むむっ」と思うことは本当に多かった。ドコモ回線でYouTubeライブ配信をすると、低速で全く流れなくなったり、NTTの記者会見室で速度チェックアプリを走らせると、かなりの低速が記録されるなど「NTTドコモ、どうしちゃったのか」と思うこともあったほどだ。
2月8日にNTTの決算会見が行われたのだが、データを見ると、解約率が悪化しているというわけではなく、実際、2022年と比べても2023年の解約率は改善している。
また、第2四半期に比べて、第3四半期は携帯電話の純増数が67万件なのに対して、3Gや4Gのモジュール、さらには5G Homeという自宅用のWi-Fiルーターの契約者数は61万4000件増えている。つまり、3ヵ月で5万件強、スマホのユーザーが増えているということになる。
島田社長「(嫌気がさして辞めている人は)あまりいないんじゃないか」
NTTの島田明社長は昨今のNTTドコモについて、「irumoが結構売れている。セカンドブランド相当のブランドを出したということの影響がでている。その影響が一定程度あって、そのあと反転してくるんだろう。(中略)MNPの成績が良かったかというと必ずしもそうでもないし、ARPUも完全に反転しているわけではない。春の商戦をどう対応していくのかはまさに今検討中だ」とした。
ここで個人的に気になったのが「ネットワーク品質に嫌気がさして辞めている人はいないのか。契約者数が減ってしまうほどの影響は出ていないのか」ということだ。
この疑問を島田社長に直接ぶつけたところ「アンケートを取っているわけではないのでわからないが、(嫌気がさして辞めた人は)あまりいないんじゃないかとは思っている。自分で言うのも変だが、ドコモはここのところ一生懸命頑張っている。
実際、コロナ禍が明けてからのトラフィック量は、よくよく調査を進めると倍くらい上がっているところもあった。そこへの対応が後手に回ってしまったところは、反省をしている。
ただ、そのあとはしっかり対応できていて、計画していた12月末までの改善はすべてやり尽くした。基地局を増設しなければいけない部分は年や年度をまたいだりすることもあるかもしれませんが、着実に改善していく。
いわゆる通勤路線の沿線部分も、相当改善されている。これからはアプリのところまで管理をして、品質を向上したい。そういったことについて会見をするようなことがないよう、努めていきたい」と語った。
ネットワークは生き物。継続的に資金をつぎ込んでいくべき
この「(嫌気がさして辞めて人は)あまりいないんじゃないかとは思っている」という発言をSNSに投稿したところ、賛否両論、いろんな意見が寄せられた。
「嫌気がさして、1年足らずで乗り換えた」という人もいれば「改善するという言葉を信じて我慢して使っている。早く成果を出して欲しい」というドコモユーザーもいた。
かつては「ネットワークが一番つながるから、多少通信料金が高くてもNTTドコモ」といって、選んでいた人が多くいたぐらいだ。
2008年、ソフトバンクからiPhoneが発売され、その後、何年もNTTドコモからiPhoneが発売されなくても「ソフトバンクは圏外が多いから、NTTドコモからiPhoneが発売されるのを待ち続ける」というユーザーが本当に多かった。
ネットワークは「生き物」であり、常に状況は変化しているなんてことは、NTTドコモ自身が一番、理解しているはずだ。
NTTドコモでは「3月までに改善する」と宣言しているだけに、ドコモユーザーの期待を裏切らないよう、300億円なんていう予算制限をつけることなく、3月までに成果を出しつつ、その後も継続的にネットワーク強化に資金をつぎ込んでいくべきだ。
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