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アドビ、Figma買収断念 約1425億円の違約金支払い

2023年12月19日 10時55分更新

文● 田口和裕

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2022年10月に開催したアドビのクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2022」に登壇したFigma CEO ディラン・フィールド氏(右)

 アドビとFigmaは12月18日(現地時間)、2022年9月に発表されていた両社の合併を中止することを発表した。理由はイギリスおよび欧州連合(EU)の規制当局から必要な承認を得る明確な道筋がないためとされている。これによりFigmaは10億米ドル(およそ1425億円)の慰謝料を受け取ることになる。

規制当局に買収を阻まれた形

 Figmaは主にウェブベースで利用されるUI/UXに特化したデザインコラボレーションツール。リアルタイムでのコラボレーションとクラウドベースの作業環境を提供し、複数のデザイナーやチームメンバーが同時にプロジェクトに取り組むことができる。

 2022年9月15日に発表された合併案は、アドビがFigmaを200億ドル規模(およそ2兆8500億円)の現金および株式の組み合わせで買収するというもの。しかし、合併後に続く規制の障害が原因で中止となった。

 Figmaは理由について「世界中の規制当局と何千時間もかけて、私たちのビジネス、製品、そして私たちがサービスを提供する市場の違いを詳細に説明したにもかかわらず、この買収を規制当局が承認する道筋が見えなくなった」と、不本意な結果であったことを表明している。

 アドビのシャンタヌ・ナラエンCEOは「アドビとFigmaは共に創造性と生産性の未来を再定義するビジョンを共有していましたが、それぞれの最善の利益のために独立して前進することが最善であると信じています」と述べたが、不本意な結果であることはアドビも同様だろう。

 そもそもアドビがFigmaを買収しようとした理由は、Figmaと直接競合する同社のUI/UXデザインツール「XD」強化のためとも言われている。ユーザーからはウェブベースでコラボレーションワークにもすぐれたFigmaの方を支持する声が強く、買収が失敗したことによりアドビは「XD」のテコ入れをする必要に迫られている。

 

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