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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第847回

最新技術搭載のデジタル一眼で撮った猫写真で「2023年下半期」を振り返る

2023年12月20日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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住宅街のど真ん中で這いつくばって撮った黒猫。猫の黒とフェンスの白と空の青のコントラストが気持ちいいので、爽やかな感じにしてみた。2023年12月 ソニー α7C II

 いよいよ2023年も終わりますな。コロナ禍の2年ほどちょっと静かだったカメラ業界もちょっと動き出したようで、スマホカメラとは違う撮影体験や写りを求める人も出てきたようで、2024年はさらに面白くなりそうな気配であります。

 そんなわけで今回は、2023年下半期を、外で出会った猫とカメラで振り返ってみようという具合。

 7月は、とにかく暑かった。ちょっと外に出たら猫より先に人が倒れちゃうレベルなのであった。そんな中、屋外で撮影されるという仕事があり、そのついでにぶらぶらしたときの猫を1枚。

 小学生の頃、夏休みになると、夏は暑いので午前中に活動しましょう、とよく言われたのだけど、朝から猛暑なのはいかんともしがたく、こちらは朝9時42分に撮影した猫なんだけど、暑かった。

とある神社の朝。日陰でくつろいでるチャトラのハチワレ。後ろに少し見えているのは、猫の世話をしている方なのだった。2023年7月 OMデジタルソリューションズ OM SYSTEM OM-1

 例年なら、早朝か日没後の涼しい時間に猫と出会いに行ったりしたものだけど、今年は早朝も夜も暑かったものな。毎日、熱帯夜。8月も暑かったけど、秋の新製品が出てくる季節なので、じっとしてるわけにもいかず。

 ソニーの「α6700」は、魅力的なカメラだった。コンパクトで、AFも連写も速いというスピード感がある製品。ブロック塀の向こうにカッコいい模様のハチワレがいたので、隙間から狙ってみた。ぴしっと瞳に合ってくれるAFは素晴らしい。

ブロック塀の穴の向こう。ちょうど目が見えるアングルを探して望遠で。このちょっと横にずれたハチワレがカッコいいのだった。2023年8月 ソニー α6700

 9月になると、カメラ業界も動き出す。注目されたのは、パナソニックの「LUMIX G9PROII」だ。型番的に前モデルを受け継いだものかと思いきや、実は中身もボディも一新した新型で、ボディは年初に登場したフルサイズセンサー機の「LUMIX S5II」と同じもの。だから、マイクロフォーサーズ機としてはちょっと大きいけど、カメラとしては使いやすくていい。

 最近のパナソニックは動画に力を入れていたので、久々に写真向けのマイクロフォーサーズが出た、とファンを安心させたのである。

AFは優秀な動物AFにお任せし、車の下にいたハチワレを左手の人差し指で誘いながら右手に持ったカメラで撮影。2023年9月 パナソニック LUMIX G9PROII

 もうひとつ新しいカメラが発表された。それがソニーの「α7C II」。α6700が登場したとき、使い勝手も性能も魅力的だったので、「ああ、これのフルサイズセンサー版がα7Cの後継機として出ないかな。でも、出るとしても来年だろうな」と思ってたのだ。

 それが、予想より半年早い登場となったのである。さすがに連写速度はα6700ほどではないけど、コンパクトで最新の技術が詰め込まれた魅力的なカメラになっていたのだ。

G9PROIIで撮ったのと同じハチワレ。人差し指を甘噛みされた瞬間を広角で。2023年9月 ソニー α7C II

 10月は、ニコンから「Z f」だ。フィルム一眼レフ時代のNikon FM2を受け継ぐ伝統的なカメラデザインで人気だった「Z fc」の35mmフルサイズセンサー版と思えばいい。フルサイズセンサーになり、中身も最新技術が入っている。

縁側っぽい場所にじっと座ってたキジトラのハチワレを望遠で狙ってみた。2023年10月 ニコン Z f

 10月はもう1台。富士フィルムのフラッグシップ機「GFX100 II」を行きたい。

 35mmフルサイズセンサーよりひとまわり大きなラージフォーマットセンサーを採用した約1億200万画素のカメラで、ボディは大きいけどAFや連写は速くなり、画質命の人にはたまらない製品になったのだった。このカメラだけは、外で出会った猫の写真がなかったので、「保護猫シェルター QUEUE」で撮ったものを。

約1億200万画素の超高画質なカメラで、ソファーの下に隠れてたチャトラを。拡大して見ると、瞳の中に窓の形や這いつくばってる自分のシルエットまで写ってるのだった。2023年10月 富士フイルム GFX100 II

 11月と12月は、カメラを買っちゃったので、それである。

 ソニーの「α7C II」。初代α7Cユーザーとしては、「こういう後継機が出ないかなあ」と思ってたカメラが出ちゃったのだから、買い替えねばしょうがない。猫散歩の友として、今活躍中である。

 次の写真は購入したその日に、モバイルバッテリーで充電しながら撮ったもの。買ったその日が一番テンション高いから、カメラの箱はバックパックにしまい込み(最近のカメラやレンズは箱が小さくてありがたい)、ついいろいろと撮りに行っちゃうのだ。

都内の某公園の片隅で、チャトラとサビネコの2匹。よく見ると、横顔でもちゃんと瞳にAFが来てるのがわかる。2023年11月 ソニーα7C II

 そして、12月の猫は冒頭写真。すごくよく晴れた日、たまたま通りがかった住宅街の行き止まりの生活道路の真ん中に黒猫がちょこんと座っていたのである。日なたぼっこしてる感じで。

 目が合ったら近くの家のガレージにすっといったん引っ込んで、そーっと顔を出したのである。その瞬間を狙った這いつくばって撮影だ。ちなみに、私が去りつつ振り返ると、また道路の真ん中で日なたぼっこを始めたのだった。

 今年のデジタル一眼を見ると、S5IIといい、α7C IIといい、G9PROIIといい、Z fcに対するZ fといい、キヤノンのEOS R8やR50を除けば2代目が多かったのだけど、どれもネーミングからくるイメージ以上に中身が進化してて魅力的だったのが印象的。

 特にデジタル面の進化が著しくて、IT界はAIの話題が席巻したけど、それはカメラでも同じ。ディープラーニングを活用した賢い被写体認識AF(AIを利用したAFといっても過言じゃない)で、ぐっとレベルアップしたのだ。

 AFなんて中央一点しか使わないとか、自分でフォーカシングするのが醍醐味、という人もいるだろうけど、とっさの瞬間に撮りたいもの(まあ、猫だ)にさっと合ってくれると、それ以外の作業(露出やタイミングや構図)に集中できてありがたいのだ。

 私は最新技術大歓迎派なので、そういう進化を見るとうれしいのである。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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